はじめに
(ここで言う)試験表とは、ソフトウェアの試験項目をExcelにまとめ、テスターが実施時にPASS, FAILを記入し、後から試験結果を参照できるようにしたものである。
Qiitaにはプログラマ層の投稿は多いが、この層の投稿は少ないように見受けられたので、記事を書いてみることにする。
過去の投稿を見ればわかるが、私はこの道(つまり品質保証の)の専門家ではない。おかしなところがあれば、コメントにどんどんツッコミを入れてほしい。
作り方
項目の列挙
最初にExcelを開いてはいけない。まずはテキストエディタ(メモ帳)を開こう。
試験したい項目をリスト状に列挙する。中項目・小項目があれば bullet の数を増やすなりインデントするなりして、なんでもいいので列挙する。
本当なら「どのような観点でこの項目を挙げたのか」があると良いのだが、一朝一夕にできるものではないと思っているし、ここで議論できるほど私のレベルも高くない。
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例:
- アプリの起動
- ログイン画面
- ログインできる
- ユーザIDが間違っていた場合
- パスワードが間違っていた場合
- エラー内容
- フォーカス位置
「ログインできる」と「間違っていた場合」が並列にあるのはおかしいが、列挙するときは後回しにしてよい。余計なことを考えると見落としが増えてしまう。
レビュー
列挙が終わったら、上記のおかしい部分を直した後、チームメンバーとテスト項目をレビューする。
おかしい部分を直すのは後回しにしても良いのだが、レビューアーもおかしなところがあると突っ込みたくなる。雑念をなくすためにも先に直したほうがよいだろう。
ツリー状に列挙されたものを見ると、項目全体のバランスの悪さに目が行くようになる。バランスの悪さとは、何故その試験が不要なのかという疑問へと変わり、レビューしやすい。
試験「表」の作成
レビューが通ったら、列挙した項目をExcelに移していく。
この時「試験手順」と「期待動作」を必ず加えること。これがないと実際にどうテストしてよいのかわからず、途方に暮れ、開発者に聞きに行くという残念な流れになってしまう。
他には実施するときのために「試験実施者」「実施日時」「結果(PASS/FAIL)」「備考」などを加える。
「備考」は試験項目に対する備考と、試験結果に対する備考を分けて書けるようにしておくと良いと思っている。
あとは適時「試験番号」や「試験対象(○/×)」などを加えたりする。
試験番号は顧客や開発者間やトラッカーで「何番のバグが……」と言及するときに使える。しかし試験項目は増えたり減ったりするうえに(この時の番号って普通どうするんでしょうか)Excelの行番号もあるので、なくてもどうにかなると思っている。
試験対象は、今回試験するかスキップするかを記入する。試験としては本来これだけのものを確認するが、とある事情によりスキップする、というのを明示できる。項目自体を削るよりよい運用ができるだろう。
Tips
試験結果をわかりやすくするために、Excelの機能を全力で使うべきである。
試験全体が何件あって、進捗が何%で、PASSが何%で、などといった情報を確認できる別のシートを用意するのがよい。
表のヘッダは固定すべきである。試験実施日の欄にうっかり自分の名前をかいてしまわないように。
PASSの場合は緑、FAILの場合はピンクに自動的に塗る機能がある。試験結果をスクロールしたときFAILが目につくようにやっておくとよい。
セルの結合はせず、繰り返し入力したほうがよい。結合するとスクロール中に見えなくなったり、FAILのものだけフィルタリングした時に変になったりする。
おわりに
私にとって、プログラムを書いているときは幸せだが、試験表を作っていてもテストを実施していても幸せではない。
しかしサボるとツケが返ってくるのはどちらも一緒で、うまくやれば手間を省けるのも一緒である。
やりたくないことなら時間をかけない方向に努力するのがよいだろう。