CSDM講演
レポート
ServiceNow World Forum 2025 / 10月23日聴講
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セッション名
「CSDM(共通サービスデータモデル)で広がるデータモデリングの世界 〜ServiceNowソリューションとの連携価値〜」
概要
本セッションでは、ServiceNowが推奨する Common Service Data Model(CSDM) の全体像と、その構成要素がどのようにServiceNowの主要ソリューション群(ITSM、SPM、EA、SecOps、AI Control Towerなど)で活用されるかについて解説が行われました。
CSDMは単なるデータ整理の枠組みではなく、「ビジネスサービス」「アプリケーション」「構成アイテム」「ビジネス能力」「製品モデル」 といったデータオブジェクトを共通の定義でつなぎ、ServiceNow製品群の統合基盤として機能することが強調されました。
セッションでは、「なぜCSDMが重要か」「OOTB(Out of the Box)構成に準拠することで何が得られるのか」といった実践的なポイントのほか、CSDM5(最新版) における変更点・強化ポイントへの言及もありました。
特に「Foundation(基盤)を整備する重要性」と「段階的に成熟度を高めるCrawl-Walk-Runアプローチ」の必要性が繰り返し強調されました。
仕事に生かせる点
観点 活用の方向性
- CSDMを「ポリシー」として定義する必要性 講演を通じて、単なるデータ構造ではなく、「CSDM準拠」を組織ポリシーとして明文化し、運用ルールに落とし込むことの重要性を再認識しました。COE(Center of Excellence)として、データモデルやサービス定義の一貫性を保つための標準ポリシー策定が求められます。
- Foundation領域の熟読と設計指針の理解 講演ではCSDM5のFoundationに関する資料参照が強く推奨されました。組織・ユーザー・場所・契約・サービス提供などの基礎データ構造が後続機能(ITSM/ITOM/SPMなど)の品質を左右するため、CSDM5ドキュメントの精読と社内適用指針の整理が急務と感じました。
- COEとしての技術ガバナンス強化 CSDMを理解することは、ServiceNow全体設計の"共通言語"を理解することに等しいものです。COEメンバーがCSDMの構造を把握し、新規アプリ開発やデータ拡張時に「CSDM準拠か」を判断できる体制を整える必要があります。
- OOTB準拠設計の徹底 過去のしくじり事例として、CMDBの過剰カスタマイズがメンテナンス困難を招いたケースが紹介されていました。今後はOOTB設計を前提に、CSDMに即した「Fit to Standard」アプローチを徹底すべきと確認しました。
- 製品横断連携への布石 CSDMで定義されたデータモデルを共有することで、複数モジュール間の連携(ITSM↔SPM↔SecOps↔AIなど)が容易になります。今後の拡張プロジェクトにおいてデータモデルの整合性を確保するための基礎知識として活かせます。
実現への課題
課題領域 内容 - CSDM理解度の平準化 現状、CSDMの概念は一部のアーキテクトやCOEメンバーにしか浸透していません。現場レベルの理解促進のため、CSDM5の主要章を題材にした社内勉強会や可視化図解資料の整備が必要です。
- Foundation設計の現行CMDBとの整合性確認 既存CMDBの構造・命名規則・関係定義がCSDM準拠になっているかを点検する必要があります。データモデルのギャップ分析と移行方針(段階的導入)の策定が課題です。
- ポリシー・ルール定義の不足 「どのテーブルをどの用途で使うか」「カスタム拡張をどこまで許可するか」といったルールをCOE主導で定義する必要があります。CSDMを技術ポリシー化するステップが不可欠です。
- 組織的な役割設計と責任の明確化 データ所有者、サービスオーナー、アプリケーションオーナーなど、オブジェクトごとの管理責任を定義しなければ維持できません。
- CSDMバージョン更新への追随 ServiceNowのリリースごとにCSDMも進化するため、バージョン管理/更新検証プロセスをCOEが担う必要があります。継続的改善の枠組みを設けることが課題です。
今後のアクション例(提案)
アクション 目的
🔹 CSDM5ドキュメント読書会(週1ペースで章ごと) Foundationドメインの深い理解と社内定義への反映
🔹 COEメンバー向けCSDM基礎試験/理解度テスト 組織内での知識平準化・人材育成
🔹 自社CMDBとCSDMテーブルマッピング調査 現行データ構造とのギャップ可視化
🔹 Fit to Standard方針の明文化 カスタマイズ抑止・OOTB準拠文化の定着
🔹 今後の拡張(SPM・AI・SecOps連携)へのデータ連動設計 中長期的なプラットフォーム統合基盤の構築
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所感
講演を通じて、CSDMの全体像は理解できたものの、個々のデータオブジェクトの使われ方や各ソリューションとの関係性を"肌感覚で"掴むには至りませんでした。
ただし、CSDM5(Foundationドメイン)を熟読することがCOEの設計基準・ポリシー策定の出発点になることは明確になりました。
CSDMは単なるデータモデルではなく、ServiceNowのプラットフォーム思想を支える技術基盤であり、それを正しく理解して運用できることが今後の全体最適化に直結する、と実感しました。