ServiceNow Lensとは
Yokohamaリリースで登場したAIを活用したデスクトップアプリケーションです。
ServiceNow Lens Core
(引用&日本語で要約)
コンピュータ画面に表示されている情報や、手書きのメモ、画像、メール、ウェブサイト、各種アプリケーションなどの視覚的なデータから情報を自動で抽出し、ServiceNowインスタンスに直接インポートすることで、データ入力の自動化と業務効率化を実現します。1
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珍しく(?)クライアント端末にインストールして使うものになっています。
今回ありがたいことに使える環境が整ったので、使ってみた記録となります。
基本的な部分を検証してみました。
1 準備
利用にあたっていくつか準備が必要なので以下を実施します。
1-1 プラグインインストール
以下2点のプラグインをインストールします。処理は10分くらいで終わりました。(おぼろげな記憶)。
・ServiceNow Lens
・ServiceNow Lens Core
1-2 クライアントアプリのダウンロード
1)フィルターナビゲーターでServiceNow Lens>Downloadsを選択します。
2)ご利用のOSに合わせてインストーラーをダウンロードします。
インストーラーを起動してクライアントアプリをインストールしてください。
インストーラー内の操作は特に複雑な選択肢はありませんので本記事では割愛させていただきます。
インストールが完了するとご利用の端末でLensアプリが表示されると思います。
(筆者Windows11の例)
1-3 Now Assit Skillの有効化&利用ユーザーへ「lens_user」ロールの付与
こちらはLensアプリではなくServiceNowインスタンス側での設定です。
以下の2点を行ってください。
・Now Assist Skills「ServiceNow Lens」の有効化(Platformカテゴリにあります)
・Lensを使うユーザーに「lens_user」ロールの付与
1-4 Lensアプリ内でインスタンスへログイン
Lensアプリを起動してログインします。
1)URL欄にインスタンスURL(service-now.com/まで)入力し、Proceedをクリック。
2)アプリ内でユーザー名とPW入力を求められるのでログインします。(MFA設定しているのであればここでも求められます)
3)以下の画面でログイン完了です。このあとは「Start capturing」をクリックして実際の操作に入ります。
2 使ってみた(基本編)
2-1 基本操作1 Create with Lens→データスキャン→ServiceNowへの入力
今回は、ユーザーがアプリケーション(例でOutlookにします)のエラーのポップアップに遭遇した場面を想定してインシデント起票をLensを通して実施してみます。
1)各種リストビューに「Create with Lens」のUIアクションボタンが表示されているので、こちらをクリックします。(Globalだったので基本どのリストにもあると思います)
2)レコードの新規作成画面とともに、Lensアプリを開くかどうかのポップアップが出るので「ServiceNow Lensを開く」から開きましょう。
3)エラーのポップアップをLensアプリで囲うように範囲設定し、「Analyze」ボタンをクリックします。
処理中は「Generating data...」となります。
4)処理が完了すると、インシデントのフォーム画面にLensでスキャンした情報が各種フィールドに入力されています。
今回は簡単な例ですが、自動入力された情報は合ってますね。
その他必要情報を入力してSubmitするといった感じですね。
エラーのキャプチャだけあるけどインシデント起票はまだ、みたいなときに入力を効率化しよう、という例でした。
Lensが自動で入力をサポートしてくれるフィールドタイプは以下をご参照ください。2
ServiceNow Lens reference Field types supported
※ちなみに2-4でまた似たようなことを書きますが、Lensアプリを経由してスキャンしてフィールドに入力される言語はServiceNowインスタンス内で設定したUser Preferenceの設定言語に依存しました。
(例のように、スキャンしたキャプチャは日本語でもフォーム内は英語になっているということです)
2-2 基本操作2 スキャンして分析
ServiceNowのフィールド自動入力はせず、Lensアプリ単体で使う方法です。
「この状況をインシデントに記載できるように要約して」などで使えるはずです。
他にあまり良い例が思いつかなかったので今回はこれで勘弁いただきたいのですが、チャットでインシデント関連のやり取りを先にしている状況で、後から起票したいときに使うかなーと思いました。
※チャットのやり取りも生成AIに作らせました。(漢字が変ですがたぶん読めると信じて)
"Summarize this exchange so that it can be recorded in the incident form."
としてAnalyzeさせたら以下の結果となりました。
ちょっと愚直すぎたので以下のプロンプトに変更。
"Summarize this exchange so that it can be recorded in the incident form. Write a short description and a detailed description."
少しマシになりました。
右上のCopyボタンでPreviewをコピーできます。
正直これだけで効率化するのかというとちょっと微妙な気がするので、この辺は今後より有効な使い方を模索していきたいと思います。(私の検証例が悪いだけかもしれません)
2-3 注意事項
公式ドキュメントのimportant欄にも"Don't scan any personally identifiable information, such as medical reports, financial reports, or other sensitive data, when using ServiceNow Lens as you don't want to expose the large language model (LLM) to any sensitive information."とある通り、スキャンする情報の取り扱いには十分注意して利用してください。記載の情報以外にも所属会社やプロジェクト内の決まりを守りましょう。3
2-4 日本語での使用感
User Preferenceの設定言語を日本語に設定して先ほどの2-1の例と同じ内容のものをスキャンしてみました。
自動入力されたフォームがこちら。
これくらいの文字量ならという前提ですが、日本語もいい感じですね。
3 使ってみた(応用編)
Lensに関するcommunityを漁っていると、「手書きのフローチャートも読み込んでストーリーなどの文章に取り込めるのでは」という検証もしてたので、こちらは面白そうだなと思い、日本語でやってみました。4
1)Storyのリストビューにも当然「Create with Lens」ボタンがあるのでこちらから。
2)手書きフローをスキャンします。(内容も字のキレイさもテキトーです)
※あらかじめ言語設定は日本語にしてます。
3)結果、あ~~~まぁまぁまぁ、という感じですね。
「ビジネスルール」であることが自動で読み取ってくれなかったですが、ここだけ手動で補足すれば大体は作れますね。
4 まとめ
今回ServiceNow Lensを使ってみた感想としては、実用するにはもう少し文字量やスキャンするデータの種類を業務に合わせて設計、検証が必要そうだなという印象です。
- <もう少し検証したほうが良いと思ったポイント>
- 1)スキャンする文字量、情報量
- 効率化することを念頭に置くと、大量の入力や情報量を一気にフォームに項目ごとに振り分けて入力されると効果がより大きいので、どこまでの情報量を1回で扱うことができるか。
- 2)既存のUIポリシーなどフォームレイアウトにかかるロジックの検証
- 今回OOTBのフォームで検証したのであまり意識しなかったのですが、入力ポリシーなどを定めてるところは自動入力の箇所もうまくやってくれるんだろうか、みたいなところは気になりました。実用するなら確認すべきポイントですね。
画像認識、OCR的な処理をして要約するツールはほかにもあるし既存の生成AIツールの組み合わせでできたりもするので、ServiceNowならでは差別化ポイントを見つけていけると使う価値が出てくると思いました。個人的には手書きフローやホワイトボードの議論結果をストーリーに落とす方が実用的で便利な印象です。(ストーリーなどもServiceNowで管理しているプロジェクトだと良い)
他のユースケースを少し調べてみたところ、以下のYoutubeでは請求書の入力を例にしてで使ってました。5
ServiceNow Lens - Invoice Demo
今後より良い使い道思いついたり、実例が出たらまたアップデートしようと思います。
それでは!