はじめに
新規プロジェクトの立ち上げ時、設計ドキュメントからタスク管理ツールへのタスク起票は地味に手間がかかる作業です。Confluenceに書いた設計資料を見ながら、ClickUpに一つずつタスクを作成し、担当者をアサインし、マイルストーンを設定する...。
この記事では、Claude CodeとMCP(Model Context Protocol)を活用して、この作業を半自動化した取り組みを紹介します。
なぜ「半自動化」なのか
完全自動化ではなく半自動化を選んだ理由は以下の通りです。
- タスクの粒度や表現は人の判断が必要
- 担当者のアサインには文脈的な判断が必要
- 作成前に内容を確認・修正できる余地を残したい
AIが下書きを作成し、人間が確認・承認するフローにすることで、効率化と品質担保の両立を目指しました。
構成
┌───────────────────┐ ┌───────────────────┐ ┌───────────────────┐
│ Confluence │────▶│ Claude Code │────▶│ ClickUp │
│ (Design Docs) │ │ (MCP Client) │ │ (Task Manager) │
└───────────────────┘ └───────────────────┘ └───────────────────┘
│ │ │
│ │ │
Design docs Atlassian MCP ClickUp MCP
prepared here fetches docs creates tasks
使用技術
| 技術 | 用途 |
|---|---|
| Claude Code | AI対話型開発環境 |
| Atlassian MCP | Confluenceとの連携 |
| ClickUp MCP | ClickUpとの連携 |
準備
1. MCP設定
プロジェクトのルートに.mcp.jsonを作成します。
{
"mcpServers": {
"atlassian": {
"type": "sse",
"url": "https://mcp.atlassian.com/v1/sse"
},
"clickup": {
"type": "http",
"url": "https://mcp.clickup.com/mcp"
}
}
}
2. タスクテンプレートの準備
Claude Codeに作業指示を与えるためのテンプレートファイルを作成します。
tasks.txt(クリックで展開)
ステップ1
以下のURLにある設計資料を確認し、タスクの洗い出しに必要な情報を収集してください。
https://<your-domain>.atlassian.net/wiki/spaces/<space-key>/pages/<page-id>
ステップ2
以下の資料にマイルストーンとそれに紐づくタスクが箇条書きでまとまっています。
タスクのタイトルと概要、完了条件を簡潔に記載してください。
担当のアサインは、Backendの場合は<backend-assignee>、SREの場合は<sre-assignee>にアサインしてください。
https://<your-domain>.atlassian.net/wiki/spaces/<space-key>/pages/<page-id>
タスクの一覧をtasks_list.txtにまとめてください。
マイルストーンの一覧をmilestones_list.txtにまとめてください。
ステップ3
tasks_list.txtとmilestones_list.txtの内容を確認してください。
確認が完了したら、次のステップに進んでください。
ステップ4
ClickUpでタスクを作成してください。
以下のリストにタスクを追加してください。
https://app.clickup.com/<workspace-id>/v/l/<list-id>
ステップ5
ClickUpでマイルストーンを作成してください。
作成するSpaceは以下でお願いします。
https://app.clickup.com/<workspace-id>/v/s/<space-id>
実行手順
ステップ1: Claude Codeの起動
プロジェクトディレクトリでClaude Codeを起動します。
cd <your-project>
claude
ステップ2: 作業指示の実行
タスクファイルを読み込ませて作業を開始します。
> tasks.txtの内容に従い作業を開始してください
ステップ3: Confluenceからの情報収集
Claude CodeがAtlassian MCPを使用してConfluenceページを取得します。
# Claude Codeが実行する内部処理(イメージ)
mcp__atlassian__getConfluencePage({
cloudId: "<cloud-id>",
pageId: "<page-id>"
})
設計資料から以下のような情報を抽出します。
- マイルストーン名と期間
- タスク名と概要
- 担当者情報
- 完了条件
ステップ4: タスク・マイルストーン一覧の確認
Claude Codeがタスク一覧とマイルストーン一覧をテキストファイルに出力します。
# プロジェクト タスク一覧
================================================================================
## マイルストーン1: 設計フェーズ
================================================================================
### タスク1: API設計
- 担当: Backend (<assignee-email>)
- 概要: サービスのAPI仕様を設計する
- 完了条件:
- API仕様書がConfluenceに作成されている
- エンドポイント、リクエスト/レスポンス形式が定義されている
### タスク2: インフラ設計
- 担当: SRE (<assignee-email>)
- 概要: サービスに必要なインフラを設計する
- 完了条件:
- アーキテクチャ図が作成されている
- 必要なリソースが洗い出されている
...
この時点でtasks_list.txtとmilestones_list.txtの内容を確認し、必要に応じて修正できます。
ステップ5: ClickUpへのタスク作成
確認後、Claude CodeがClickUp MCPを使用してタスクを作成します。
# Claude Codeが実行する内部処理(イメージ)
mcp__clickup__clickup_create_task({
name: "API設計",
list_id: "<list-id>",
description: "サービスのAPI仕様を設計する\n\n## 完了条件\n- API仕様書が...",
assignees: ["<user-id>"]
})
ステップ6: マイルストーンの作成
同様にマイルストーンも作成します。
# Claude Codeが実行する内部処理(イメージ)
mcp__clickup__clickup_create_task({
name: "設計フェーズ",
list_id: "<space-id>",
// マイルストーンとして作成
})
実行結果
今回の取り組みでは、以下の成果が得られました。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 作成したタスク数 | 28件 |
| 作成したマイルストーン数 | 12件 |
| 所要時間 | 約15分(確認時間含む) |
手動で同じ作業を行った場合、1タスクあたり2-3分かかると想定すると、約1時間の作業が15分に短縮できました。
ポイント
1. 人の確認を挟む設計
タスク一覧をテキストファイルに出力することで、以下のメリットがあります。
- 作成前に内容を確認・修正できる
- Gitで変更履歴を管理できる
- 後から参照できるドキュメントになる
2. テンプレート化による再利用性
tasks.txtをテンプレート化することで、類似のプロジェクトでも同じフローを適用できます。
3. MCPによるシームレスな連携
MCPを使用することで、Claude CodeからConfluenceとClickUpの両方に直接アクセスできます。APIキーの管理やOAuth認証などは、各MCPサーバーが処理してくれます。
注意点・制限事項
認証について
- Atlassian MCPとClickUp MCPは初回利用時にブラウザ認証が必要です
- 認証情報はローカルに保存されるため、チームメンバーそれぞれが認証を行う必要があります
タスク作成の制限
- ClickUp MCPではタスクの親子関係(サブタスク)の一括作成に制限がある場合があります
- 大量のタスク作成時はAPIレート制限に注意が必要です
運用上の考慮
- 設計ドキュメントの構造が統一されていると、抽出精度が向上します
- 担当者名とClickUpユーザーのマッピングは事前に定義しておくとスムーズです
まとめ
Claude CodeとMCPを活用することで、プロジェクト管理の定型作業を半自動化できました。
- 効率化: 手動1時間 → 半自動15分
- 品質担保: 人の確認を挟むことでミスを防止
- 再利用性: テンプレート化により横展開が容易
完全自動化ではなく「半自動化」というアプローチにより、AIの効率性と人間の判断力を組み合わせた実用的なワークフローが実現できました。
今後の展望
今回はプロジェクト管理作業の「一歩目」として、タスクとマイルストーンの起票を半自動化しました。
プロジェクト管理には多くの定型作業が存在します。これから始まるプロジェクトで、これまでの経験を活かして「どこまで自動化できるか」「どこに人の判断が必要か」を見極めながら、半自動化の範囲を広げていければと思います。
プロジェクト立ち上げ時の定型作業に悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。
参考
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