はじめに
私は趣味で『Age of Empires IV』(以下、AoE4)をプレイしています。
下手の横好きではありますが、今シーズン(シーズン14)のソロランクはシルバーからスタートし、連敗に次ぐ連敗を乗り越えつつも、ようやくゴールドまで上がってきました。過去の最高到達ランクはプラチナ3です。あと1勝でダイヤモンド、というところまで行ったことはあるのですが、最近は成績が頭打ちで、あまり上達している実感がありません。
そこで、ふと思いました。
GPT-6 Astra(以下、Astraと記述)に対戦リプレイを見てもらえば、自分では気付いていない問題点を指摘してもらえるのではないか?
スクリーンショットを何枚か渡して分析してもらうことは当然可能なのですが、もう一歩踏み込んだ分析を試しました。具体的には、AoE4を実際に起動しAstra自身にリプレイを操作・再生してもらい、試合の流れを確認したうえで、AoE4のルールや戦術に基づいた改善点を指摘してもらうことを試しました。
RTSのリプレイには、内政、軍編成、戦闘、位置取りなど、時間の経過とともに変化する大量の情報が含まれています。Astraは自分でリプレイを操作しながら、それらを適切に読み取ることができるのでしょうか。
そして、単に試合内容を説明するだけでなく、プレイヤーが上達するための有用なアドバイスまで出せるのでしょうか。Astraに聞いてみたところ、「できる」とのことでしたので早速試します。
Astraに今回聞きたいことは以下の2点です
- この試合の勝者の勝因、敗者の敗因は何か?
- 私がさらに上達するために取り組むべきことは何か?
なお、結論から先に書くと、戦況の主要な変化を把握し、勝因・敗因や改善点について、私自身の認識と概ね一致する分析が得られました。
本記事では、実際にどのような手順でリプレイを分析したのか、Astraがどのようにリプレイを操作したのか、そして得られたアドバイスがどの程度妥当だったのかを確認していきます。
AoE4を知らなくても検証内容自体は追えると思いますが、本記事の戦術的な分析には、AoE4の知識を前提とする部分があります。
検証環境と費用について
今回の検証環境は以下の通りです。
- OS:Windows 11
- ChatGPT:Windowsデスクトップアプリ v26.908.40834
- 使用モデル:GPT-6 Astra 軽
- ゲーム:Age of Empires IV dr-activerelease1 age4 16.3.11308.0
- 対象:対戦終了後のリプレイ
- Computer Useスキルの使用を許可して検証
本記事は、ChatGPT Plusに加入したアカウントで検証しています。無料プランでも同じ手順を再現できるかは未確認です。実際に試す場合は、使用するモデルとComputer Useスキルが利用可能か、あらかじめ確認してください。
また、今回の検証ではリプレイ分析の途中で利用上限に達しました。その後、付与されていたリセット枠を使用することで分析を再開できましたが、Plusに加入していても、1試合分の分析を中断なく最後まで完了できるとは限りません。リプレイ分析は実際にゲーム画面を長時間確認しながら進めるため、プランに含まれる利用枠を多く消費する可能性があります。ただし、分析開始時点の残り利用枠は記録していないため、このリプレイ分析だけでどの程度消費したかは分かりません。
検証手順
今回の検証は、以下の手順で行いました。
- ChatGPTのWindowsデスクトップアプリを起動する
- Codexに切り替える
- 使用モデルがGPT-6 Astraになっていることを確認する
- Age of Empires IVを起動する
- 分析したい対戦リプレイの再生を開始する
- ゲーム開始直後の状態でリプレイを一時停止する
- Astraに、リプレイの準備ができたことを伝える
- Astraからスキルの使用許可を求められた場合は、内容を確認したうえで許可する
- 今回の検証では、Computer Useスキルの使用を許可しました
- AstraがAoE4のリプレイを操作し始めたら、以降はマウスやキーボードに触れず、そのまま分析を任せる
- 人間がマウスやキーボードを触るとAstraの分析を阻害する可能性があるので、触れずに見守る。
ここから先のリプレイ操作はAstraに任せます。私が手動で行ったのは、AoE4の起動、分析対象リプレイの選択、開始直後での一時停止までです。その後はAstra自身がリプレイを再生し、必要に応じて再生速度の変更、一時停止、カメラ移動などを行いながら分析を進めます。
今回は、同じ会話内で先にAoE4 Worldのゲームページを渡し、分析してもらっていました。リプレイ分析は、その情報から考えられた勝因や注目場面を、実際のゲーム画面で確認する形で行っています。リプレイだけを渡した場合に、同じ分析になるかは未検証です。
Astraはどのようにリプレイを分析したか
AoE4を起動し、リプレイ再生の準備を終えた旨を伝えると、Astraは自分でリプレイの再生を開始しました。
序盤は大きな戦闘が起こらないと判断したのか、再生速度を最大8倍まで上げて一気に進めます。この動きからは、単にリプレイを最初から最後まで眺めているのではなく、「見るべき場面までは高速で進める」という意図を感じました。
最初にAstraが注目したのは、ゲーム開始から約12分後、セカンドTC周辺で発生した攻防でした。この場面まで来ると、Astraはリプレイを一時停止し、視点を戦場へ移動して戦況を確認します。具体的には自軍と相手軍の軍量、軍編成、軍の位置関係、双方にとっての戦果を把握して分析していました。
TC(Town Center):農民を生産する町の中心。2TCはそれを2つ運用すること。
ビルドオーダーだけでは読み取れないところまで読み取れるのがリプレイ分析の強みです。確認が終わると、再び再生速度を上げ、次に試合展開を左右する戦闘まで一気に進めます。
その後も、
- 重要な場面まで高速再生する
- 戦闘前後など、確認したい場面で一時停止する
- 必要に応じて視点を戦場へ移動する
- 戦況を確認する
- 確認後、次の重要な場面まで再び高速再生する
という流れを何度か繰り返し、ゲーム終了時点まで分析を進めていました。
ここで特に印象的だったのは、AstraがAoE4のリプレイ画面のUIや操作方法を理解しているだけでなく、試合の中で「どこを見るべきか」まで判断していたことです。
少なくとも今回の検証では、
リプレイの操作を理解する
↓
重要な場面を見つける
↓
その場面で必要な情報を確認する
という、人間がリプレイを振り返るときに近い流れで分析を進めていました。
実際の分析ログ
各ポイントでは、主に次のような内容を確認していました。
- マップ内のどこで戦闘が起きているか
- 両軍の位置関係、軍量、軍編成はどうなっているか
- その戦闘でどの程度の損害・戦果が出たか
- その時点で、内政を支える農民数にどの程度の差があるか
- その時点で、保有資源や資源配分にどの程度の差があるか
単に「どちらが勝っているか」だけを見るのではなく、戦闘の結果と、その後の再建を支える内政状況をあわせて確認している点が印象的でした。
以下は、Astraが実際にリプレイを操作しながら行った分析の実況です。
長いため、細かな挙動に興味がない方は読み飛ばしてください。
なお、プレイヤー名は「あなた」「相手」に加工・置換しています。
この試合の勝因・敗因は何だったのか
リプレイを一通り分析し終えたあと、Astraにこの試合を総括してもらいました。分析結果を要約すると、次のようになります。
勝者の勝因
最大の勝因は、序盤の攻撃を耐えながら2TCの経済を維持できたことでした。
11:31の時点では、相手が軍39+破城槌2台、私は軍22と、明確な軍量差がありました。実際に家や生産施設には被害を受けています。
しかし、相手は私の内政そのものを止めるところまでは至らず、私はその後も2TCから農民を生産し続けることができました。その結果、時間が経つにつれて農民数と経済力の差が広がり、一度軍を大きく失ったあとでも、再び軍を補充して戦える状態まで立て直すことができました。
つまり、
序盤の攻撃を耐える
→ 2TCの経済を維持する
→ 経済力を使って軍を再建する
という流れが、勝利につながったと分析されています。
敗者の敗因
敗者側は、11:31からの攻撃で建物を破壊するなど一定のダメージを与えることには成功していました。しかし、相手の2TC経済に致命的なダメージを与えることができなかったことが大きな問題でした。その後も1TCを継続したため、農民数と経済力の差が徐々に拡大していきます。
序盤では軍量で優位に立っていたものの、その優位を決定的な戦果につなげられないままゲームが進行し、後半になると軍の再建力で差が出始めました。最終的には、24:39から25:10にかけての交戦で軍量が大きく減少し、戦力差が決定的になりました。
この試合を左右した最大の分水嶺
Astraが最大の分水嶺として挙げたのは、13~14分頃、最初の破城槌攻撃が終わった時点でした。
私は序盤の攻撃を受けながらも2TCの経済を維持できており、この時点で試合の条件が、「消耗しても補充し続けられる側」と「補充力で劣る側」へ傾き始めたと分析しています。
そして実際に勝敗を決定づけたのは、24:39~25:10の最後の本隊同士の交戦でした。
Astraの表現を借りれば、
勝つ土台を作ったのは13~14分の防衛、勝ちを決めたのは24~25分の再編後の交戦
ということになります。
分析結果は妥当だったか
今回の分析結果については、かなり妥当だったと感じました。まず、その時点での軍量、農民数、資源量、軍編成、戦闘の位置関係など、事実関係の把握はかなり正確でした。
また、「最初のラッシュを耐え抜いたことが、この試合の大きな分水嶺だった」という評価も、私自身の認識と一致しています。私もこの試合については、序盤の攻撃を耐えたことで、その後の経済差を生かせる展開になったと考えていました。
一方でAstraは、そこからさらに、
- 農民数の差
- 2TC対1TCという経済構造の差
- 戦闘後の軍の再建力
- 終盤の資源配分
- 前衛と射撃兵の構成
まで確認していました。
そのため、大まかな勝敗の認識は私と同じでも、そこに至る根拠についてはAstraの方がより細かく整理できていたと感じました。
ただひとつ惜しい点として、私はホワイトタワーを建てたにもかかわらず、その防御力を活かした戦闘ができなかったことを反省点の一つとして考えていました。しかし、この点はAstraから改善点として挙げられませんでした。
以下は、Astraによる分析結果です。
長いため、細かな内容に興味がない方は読み飛ばしてください。
こちらもプレイヤー名は「あなた」「相手」に加工・置換しています。
私がさらに上達するために取り組むべきこと
最後に、この試合を踏まえて、今後どこを改善するとよいかAstraにアドバイスを求めました。主な提案は、次の3点です。
1. 前衛の残数を意識する
これは、その通りだと思いました。普段、軍を生産するときは相手の兵種を見て、何を出すべきかを考えることが多いです。一方で、自軍の前衛と後衛の軍量バランスを見ながら補充するという意識はあまりありませんでした。
今回のように射撃兵が十分に残っていても、前衛が崩れてしまえば、その火力を十分に発揮できません。
今後は相手との兵種相性だけでなく、前衛がどの程度残っているかも意識して軍を補充したいと思います。
2. 余剰資源と農民配分を見直す
これも心当たりがあります。ゲームに集中していると、余剰資源まで意識が回らず、気づいたときには木が大量に余っていることがあります。その後、慌てて軍事施設を追加することもあります。今回も23分台には木が約3,000余っていたため、もっと早い段階で生産施設や軍へ変換できていれば、途中の損失を抑えられた可能性があります。
今後は、余剰資源をこまめに確認する癖をつけたいところです。
また、木が余っているときは、生産施設を追加するだけでなく、農民を不足している食料や金へ振り分ける必要があります。施設の数と、それを稼働させる資源の両方を確認したいと思います。
3. 経済で優位なら、決着を急ぎすぎない
最初の攻撃を防いだあと、こちらは2TCによる経済優位を維持していました。
Astraからは、こうした状況では無理に決着を急ぐよりも、軍の強化や増援を整えてから戦う方がよいと指摘されました。これは、防衛後にこちらから攻めて損害を出した場面に対する指摘だと思われます。
ただし、実際のプレイ中に相手の農民数や経済力を正確に把握することは難しいため、この判断をどう実戦に落とし込むかは今後の課題です。
実際のAstraからの指摘事項は、以下の通りです。
限界・注意点
今回の分析は画面を取得して確認し、操作することを繰り返していました。すべての交戦を連続して観察できたわけではなく、細かな操作や損失の直接原因まで確認できなかった場面もあります。画面から確認できた数値と、それをもとにした戦術的な推測は分けて読む必要があります。
また、今回の検証では、約25分のリプレイを分析している途中で利用上限に達しました。その後、付与されていたリセット枠を使用して、途中から分析を再開しています。このことから、長時間のリプレイ分析は、それなりに利用量を消費する可能性があります。
そのため、毎回すべての試合をリプレイから分析するのではなく、リプレイ分析が本当に必要な試合に限定して使うのが現実的だと感じました。
軽い振り返りであれば、AoE4 Worldの試合ページを分析してもらう方法もあります。AoE4 WorldのGames URLを渡し、Webブラウザスキルを使用させると、タイムラインやビルドオーダー、研究履歴、生産履歴などをもとに分析してくれます。
この方法では、リプレイのように、
- 実際にどこで戦闘が起きたのか
- 両軍がどのような位置関係だったのか
- どのような陣形で交戦したのか
- どのタイミングで撤退したのか
といった、具体的な戦闘内容までは確認できません。
一方で、内政、ビルドオーダー、研究、軍生産などについては、AoE4 Worldの情報だけでもかなり詳細に分析できます。
そのため、内政やビルドオーダーを振り返るならAoE4 World、具体的な戦闘内容まで見てほしい場合はリプレイ分析という使い分けが、現時点では実用的だと感じました。
結論
今回の検証では、GPT-6 AstraはAoE4のリプレイを自ら操作しながら、試合内容を分析することができました。
単にリプレイを再生するだけではなく、
- 重要な場面まで高速で進める
- 戦闘前後で一時停止する
- 必要に応じて視点を移動する
- 軍量、軍編成、農民数、資源量などを確認する
といった形で、見るべきポイントを選びながら分析を進めていました。
また、試合の勝因・敗因についても、私自身の認識と大きく外れることはなく、農民差や資源配分、軍の再建力など、自分では十分に意識していなかった部分まで具体的に指摘されました。さらに、今後の改善点についても、この試合内容に基づいた実践的なアドバイスを得ることができました。
少なくとも今回の検証結果からは、Astraを「AoE4のリプレイを一緒に振り返るAIコーチ」として使うことは十分可能だと感じました。毎試合すべてをリプレイ分析するのは利用量の面で現実的ではなさそうですが、重要な試合や「なぜ負けたのか分からない試合」を振り返る用途では、かなり面白い使い方になりそうです。
次にまた派手に負けたときは、Astra先生にリプレイを見てもらおうと思います。
そろそろダイヤモンド帯に行きたいぞ。







