はじめに
ラズベリーパイ(Raspberry PI)はRaspberry PI OSで動作する手のひらサイズのパソコンで、様々なアプリをインストールして使うことができます。ここでは、FreeCADというオープンソースの3D-CADをRaspberry PI 5(RAM4GB仕様)にインストールして、梁の3点曲げモデルの作成と応力解析を行います。
FreeCADのインストール
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FreeCADのサイト
https://www.freecad.org/index.php?lang=ja
で「今すぐダウンロード」をクリックします。
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Linuxの「aarch64 AppImage」をクリックしてAppImageをダウンロードします。
AppImageについては以下のサイトなどで解説されています。
https://virment.com/how-to-use-appimage-linux/ -
ダウンロードしたファイルを適当なフォルダに格納します。ここではデスクトップの「FreeCAD」というフォルダを作成して、そこに格納します。
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ダウンロードしたファイルをダブルクリックしても実行できないため、次のように権限を付けます。
LXTerminalを起動して、FreeCADのファイルがあるフォルダまで移動します。
次のコマンドを実行して、ダウンロードしたファイルに権限を付けます。「FreeCAD_1.0.2-conda-Linux-aarch64-py311.AppImage」の部分にはダウンロードしたファイルの名前を入力します。
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初期設定を行います。
編集メニューの設定をクリックします。
標準-標準で言語、単位系、テーマなどを設定
表示-ナビゲーションでマウスの動作などを設定
設定が終わったら、右下の「OK」をクリックします。
設定後の画面です。テーマを「dark」にしています。
梁の3点曲げモデルの作成
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寸法をクリックしてから、長方形の縦の辺をクリックして寸法を入力します。同様に、横の辺をクリックして寸法を入力します。ここでは、縦10mm、横20mmとしています。
寸法が入力されると長方形が緑色になります。緑色は形状が確定したことを表します。
左側のタスク内にある「閉じる」をクリックしてスケッチを終了します。
スケッチが終了した状態です。
なお、左側のモデル内にあるSketchをダブルクリックすると、再びスケッチを編集することができます。 -
梁の上面について、上半分に長方形を描く、次のようなスケッチを作成します。
スケッチが終わったら、閉じるをクリックします。
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Ctrlキーを押しながら、左端のモデルで分割したい面のある形状(ここではPad)と分割に使用するスケッチ(ここではSketch001)の順にクリックします。
※FreeCADによる面分割の方法は次の記事に掲載されています。
梁の3点曲げモデルの応力解析
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境界条件を設定します。
変位境界条件をクリックして
追加をクリックし、梁の裏面の片方のエッジをクリックして、YとZの変位を0に設定します。
同様に、梁の裏面のもう片方のエッジをクリックして、Zの変位を0に設定します。
設定が終了した状態です。
梁の中央に荷重を加えます。荷重負荷をクリックして
追加をクリックし、梁の表面の中央線をクリックし、加力に荷重値を入力します。ここでは1kNとします。
荷重の向きを定義するために、梁の表面に垂直なエッジをクリックして、方向をクリックします。ここでは、梁の厚さ方向のエッジをクリックして、それを方向としました。荷重の矢印が梁を押している方向になっていない場合は、逆方向をチェックします。
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メッシュを作成します。Bodyを選択してから、Netgenによる形状からのFEMメッシをクリックします。
適用をクリックするたびに、設定された条件でメッシュが作成され表示されます。
ここでは、最大サイズ2mmとし、2次精度にチェックを入れた条件でメッシュを作成しました。最後にOKをクリックします。
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SolverCcxToolsをダブルクリックします。
.Inpファイルの書き出し、Calculix実行の順に実行します。21秒で解析が終了しました。閉じるをクリックします。
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CCX_Resultsをダブルクリックして結果を表示します。
最大たわみは0.48mm(0.488mm)、最大引張応力は148.86MPa(150MPa)という結果も得られました。ここで、カッコ内は材料力学による理論値です。
終わりに
参考までに、私のノートパソコン(CPU Core i7-1065G7 1.3GHz、RAM16GB、Windows11、SSD512GB)でこのモデルを解析したところ17秒かかりました。