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北風と太陽に学ぶITコンサル:説得する前に、使わない理由を聞く

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ITツールが使われないときは、説得する前に、使わない理由を聞く。

「便利なのに、なぜ使ってくれないんだろう?」

AIや新しいシステムを導入するとき、このように感じる場面を考えてみます。そこで参考にしたいのが、イソップ寓話の「北風と太陽」です。

北風と太陽は、何が違ったのか

北風と太陽は、旅人の上着を脱がせられるのはどちらかを競います。

北風が強く吹くほど、旅人は上着をしっかり押さえます。太陽が暖めると、旅人は自分で上着を脱ぎました。寓話:米国議会図書館

旅人が上着を手放せなかったのは、寒かったからです。風を強めると、その理由はさらに強くなります。

この話から、IT導入でも次の姿勢を大切にしたいと考えます。

使わない理由を知り、その理由に合った対策を考える。

ここから先は、寓話を仕事に当てはめた私の解釈です。

AIを使わない理由を聞いてみる

以下は架空の例です。

社内の資料を探して、質問に答えてくれるAIを試すことになりました。

ところが、担当者は今までどおり自分で資料を探しています。そこで、次のように聞いてみます。

導入を支援する人:「AIの答えを仕事で使うとき、何が気になりますか?」

担当者:「どの資料をもとにした答えか分からないんです。間違っていないか、結局、自分で資料を探し直しています。」

これで、困っていることが具体的になりました。

AIはすぐ答える。でも、その答えを確認する手間が残っている。

この状況で便利さの説明を増やしても、調べ直す手間は減りません。次に試したいのは、答えの横に「もとになった資料へのリンク」を付けることです。

この架空例では、次の行動がこう変わる

青は便利さの説明を続ける流れ、黄色は使わない理由を聞いて対策を試す流れです。

対策は、小さく試して確かめる

リンクを付けただけで、問題が解決したとは言えません。実際の使いやすさを確認します。

この例なら、次の3点から試せます。以下は未実施の検証案です。

  1. 質問を絞る。 よくある質問を数件選び、担当者が読んでよい資料だけを対象にする。
  2. 答えを確認する。 リンク先の資料とAIの答えを読み比べる。リンクがあっても正解とは限らない。根拠を確認できない答えは使わず、元の資料を調べる。
  3. 手間を比べる。 今までの検索と比べ、確認や修正まで含めて楽になったかを見る。

試す前に、間違いが見つかったときの相談先と、試行を止める担当も決めます。

評価するのは、「AIが答えた速さ」と「担当者が仕事を終えるまでの手間」です。

利用者が実際に何をしていて、どこで困っているかを調べる姿勢は、英国政府のサービス設計ガイドでも重視されています。GOV.UK:利用者とニーズを理解する

ITコンサルを目指すうえで、大切にしたいこと

IT導入では、その道具を使うことで仕事がどう良くなるかを確かめたいと思います。

確認の手間が減らなければ、仕組みを直したり、導入を見送ったりする判断もできます。

ITコンサルを目指すうえで身につけたいのは、相手の話を聞き、困りごとを具体的にし、役立つ対策を一緒に確かめる力です。

「なぜ使ってくれないのか」と感じたら、まずこの一問から始めます。

「このツールを仕事で使うとき、何がいちばん困りますか?」

この記事を書いた人✏️@YushiYamamoto
ITPRODX.com代表。AI × Web × 業務自動化の開発・検証に取り組んでいます。
技術選定・品質・運用の判断材料を、検証範囲と制約を示して発信しています。
AI導入や業務自動化の技術選定・設計整理については、対応できる範囲を確認のうえご相談を承ります。

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