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Claude Managed Agents の自社サンドボックスとMCPトンネル:エンタープライズ境界内でエージェントを動かす設計判断

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Last updated at Posted at 2026-06-15

2026年5月19日、AnthropicはClaude Managed Agentsに2つの機能を追加した。
自社サンドボックス(Self-Hosted Sandboxes、パブリックベータ)とMCPトンネル(リサーチプレビュー) だ。

これまでのManaged Agentsは「エージェントループ」も「ツール実行」もAnthropicのクラウド上で動いていた。
今回の変更でツール実行だけを自社インフラに移せるようになった。コードは自社ネットワーク外に出ない。

ただし「どこで何を動かすか」の設計判断を誤ると、かえって運用が複雑になる。この記事はその判断基準を整理した実務ノートだ。

結論:何が変わったのか

項目 従来のManaged Agents 自社サンドボックス使用時
エージェントループ(オーケストレーション) Anthropicインフラ 変わらずAnthropicインフラ
ツール実行(Bash・ファイル操作) Anthropicクラウドサンドボックス 自社インフラ(または選択プロバイダ)
社内ネットワーク接続 不可 MCPトンネル経由で可能(リサーチプレビュー)
コンプライアンス対象データ Anthropicサンドボックスを通る 自社境界内に留まる
ゼロデータリテンション(ZDR)対象 非対象(セッション状態が永続化) 同左(変わらず非対象)

「エージェントループ(コンテキスト管理・エラーリカバリ)はAnthropicのインフラ上に留まる。ツール実行だけが自社環境に移る」という分離がポイントだ。

セッション履歴やサンドボックス状態はサーバサイドで永続化されるため、ZDRやHIPAA BAAの対象外である点は変わらない。

自社サンドボックスを選ぶべきケース

自社サンドボックスが必要になるのは、主に以下の状況だ。

  • コード・ファイルが自社ネットワーク外に出せない:社内のGitHub EnterpriseやプライベートGitLabからクローンしてテストを回すような用途
  • 特定のコンピューティングリソースが必要:大規模ビルドや画像生成など、デフォルトサンドボックスより多くのCPU・メモリが必要なジョブ
  • 既存のネットワークポリシーや監査ログ基盤をそのまま使いたい:社内に整備済みのセキュリティツールとの統合

逆に「公開APIを叩くだけ」「外部パッケージをダウンロードするだけ」のジョブは、Anthropicのクラウドサンドボックスで足りるケースが多い。インフラ管理コストとのトレードオフをまず確認する。

サンドボックスプロバイダの選択肢

自社インフラを直接使う以外に、Anthropicが動作確認済みのマネージドプロバイダが4つある。

プロバイダ 特徴 向いているユース
Cloudflare microVM+isolate。ゼロトラスト秘密情報注入、エグレスプロキシ設定可 監査・エグレス制御が重要な用途
Daytona フルコンピュータ、長時間ステートフル。SSH接続・一時停止&復元 数時間動き続けるエージェント
Modal AI特化クラウド。サブ秒起動、CPU/GPUオンデマンド、大量並列対応 大量並列・GPU必要な計算タスク
Vercel VMセキュリティ+VPCピアリング。ネットワーク境界でクレデンシャル注入 金融・フィンテックなど厳格なセキュリティ要件

選択の最初の分岐は「長時間ステートフルか、バーストでスケールさせたいか」だ。数時間動かし続けてSSHで接続したいなら Daytona、大量並列をコールドスタートで回したいなら Modal が起点になる。

MCPトンネルの仕組みと制約

MCPトンネルは「社内ネットワーク上にあるMCPサーバをエージェントから呼べるようにする」機能だ。

仕組みはシンプルだ:自社側に軽量ゲートウェイをデプロイし、そこから外向き1接続だけAnthropicのインフラに張る。インバウンドのファイアウォール解放は不要で、通信はエンドツーエンドで暗号化される。
エージェントから見ると、社内DB・プライベートAPI・ナレッジベース・チケットシステムが「ツールとして呼べるMCPサーバ」として見える。

設定はClaude ConsoleのWorkspace settingsから組織管理者が行う。現状リサーチプレビューのため、利用には事前申請が必要だ。

実装チェックリスト

事前確認

  • Claude PlatformのAPIキーを取得している
  • すべてのManaged AgentsリクエストにBetaヘッダ managed-agents-2026-04-01 を付与している
  • 自社サンドボックスが本当に必要か、クラウドサンドボックスで足りるかを確認した
  • MCPトンネルが必要な場合、アクセス申請を済ませた(claude.com/form/claude-managed-agents

サンドボックス設定

  • サンドボックスプロバイダを選定した(Cloudflare / Daytona / Modal / Vercel / 自社インフラ)
  • サンドボックス内のネットワークポリシーを自社標準に合わせた
  • 機密ファイルやシークレットの扱いを定義した(サンドボックスに持ち込む vs MCPトンネル経由で参照する)
  • セッション削除ポリシーを決めた(セッションはAPIで手動削除可能)

MCPトンネル設定(申請済みの場合)

  • 軽量ゲートウェイを社内ネットワーク上にデプロイした
  • ゲートウェイからの外向き接続のみ許可(インバウンド解放は不要)
  • ConsoleのWorkspace settingsでトンネルを設定した(Organization Admin権限が必要)
  • エージェントから呼び出すMCPサーバのツール一覧を確認した

失敗パターン

「全部自社サンドボックスに移せばいい」と考える
エージェントループはAnthropicのインフラに残る。
自社サンドボックスはツール実行だけだ。「コンプライアンス上クラウドに出せないデータのみ自社に置く」が基本で、全部移そうとするとインフラ管理コストが増えるだけになる。

MCPトンネルを汎用プロキシ代わりに使おうとする
MCPトンネルはMCPサーバへの接続専用だ。
任意のHTTPリクエストをトンネリングする汎用プロキシではない。社内DBを直接叩きたい場合は、DBの前にMCPサーバを立てる構成が必要になる。

ZDR・HIPAA BAAが必要な用途に使う
現時点でManaged Agentsはセッション状態が永続化されるため、ZDR・HIPAA BAAの対象外だ。
規制上これらが必須の場合は、Messages APIで自前のエージェントループを実装する構成を選ぶ必要がある。

事前申請なしにMCPトンネルを利用しようとする
MCPトンネルはリサーチプレビューで、デフォルトでは有効になっていない。APIが 403feature not enabled 系のエラーを返す場合は申請が通っていない可能性が高い。

参考リンク


この記事を書いた人✏️@YushiYamamoto
ITPRODX.com代表 / AIアーキテクト
Next.js / TypeScript / n8nを活用した自律型アーキテクチャ設計を専門としています。
日々の自動化の検証結果や、ビジネス側の視点(ROI等)に関するより深い考察は、以下の公式サイトおよびnoteで発信しています。

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