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Freer Effectsが、だいたいわかった: 11-2 TypeOperators拡張

Last updated at Posted at 2017-10-17

Freer Effectsが、だいたいわかった: 11-2 TypeOperators拡張

目次

(0). 導入

  1. Freeモナドの概要
    • Freeモナドとは
    • FreeモナドでReaderモナド、Writerモナドを構成する
  2. 存在型(ExistentialQuantification拡張)の解説
  3. 型シノニム族(TypeFamilies拡張)の解説
  4. データ族(TypeFamilies拡張)の解説
  5. 一般化代数データ型(GADTs拡張)の解説
  6. ランクN多相(RankNTypes拡張)の解説
  7. FreeモナドとCoyoneda
    • Coyonedaを使ってみる
    • FreeモナドとCoyonedaを組み合わせる
      • いろいろなモナドを構成する
  8. Freerモナド(Operationalモナド)でいろいろなモナドを構成する
    • FreeモナドとCoyonedaをまとめて、Freerモナドとする
    • Readerモナド
    • Writerモナド
    • 状態モナド
    • エラーモナド
  9. モナドを混ぜ合わせる(閉じた型で)
    • Freerモナドで、状態モナドとエラーモナドを混ぜ合わせる
      • 両方のモナドを一度に処理する
      • それぞれのモナドを、それぞれに処理する
  10. 存在型による拡張可能なデータ構造(Open Union)
  11. 追加の言語拡張
    1. ScopedTypeVariables拡張
    2. TypeOperators拡張
    3. KindSignatures拡張
    4. DataKinds拡張
    5. MultiParamTypeClasses拡張
    6. FlexibleInstances拡張
    7. OVERLAPSプラグマ
  12. Open Unionを型によって安全にする
  13. モナドを混ぜ合わせる(開いた型で)
    • FreeモナドとOpen Unionを組み合わせる
    • 状態モナドにエラーモナドを追加する
  14. Freer Effectsで、IOモナドなどの、既存のモナドを使用する
  15. 関数を保管しておくデータ構造による効率化
  16. いろいろなEffect
    • 関数handleRelayなどを作成する
    • NonDetについて、など

直積と直和

Haskellでは型を組み合わせることができる。組み合わせかたには「ふたつの型の両方の値をもつ型をつくる」、または、「ふたつの型の、どちらかの値をもつ型をつくる」というやりかたがある。それぞれ、「直積」「直和」のようによぶ。

直積

ふたつの型の両方の値をもつ値は、つぎのように表現できる。

> ('c', True)
('c',True)
> :type it
it :: (Char, Bool)

代数的データ型では、つぎのようになる。

> data Product a b = Product a b deriving Show
> Product 'c' True
Product 'c' True
> :type it
it :: Product Char Bool

これを直積とよぶ。値の「数」を考えると「積」であることが直観的によくわかる。TrueとFalseとの、ふたつの値をもつBool型と、A、B、Cという、みっつの値をもつT型との直積型は、つぎのようになる。

(Bool, T)

この型に属する値は、つぎのようになる。

(False, A)
(False, B)
(False, C)
(True, A)
(True, B)
(True, C)

このように2個の値をもつ型と、3個の値をもつ型との直積である型は、6個の値をもつ。「2かける3で6」だ。

直和

ふたつの型の、どちらかの型の値をもつ型の値は、つぎのように表現できる。

> Left 'c' :: Either Char Bool
Left 'c'
> :type it
Either Char Bool

代数的データ型では、つぎのようになる。

> data Sum a b = L a | R b deriving Show
> L 'c' :: Sum Char Bool
L 'c'
> :type it
it :: Sum Char Bool

これを直和とよぶ。値の「数」を考えてみよう。TrueとFalseの、ふたつの値をもつBool型と、A、B、Cという、みっつの値をもつT型との直和型は、つぎのようになる。

Either Bool T

この型に属する値は、つぎのようになる。

Left False
Left True
Right A
Right B
Right C

このように2個の値をもつ型と、3個の値をもつ型との直和である型は、5個の値をもつ。「2たす3で5」だ。

直積型と直和型を定義する

タプルとEither型は、そのまま直積と直和である。また、代数的データ型も、そのままで直積と直和を表現できる。なので、ここで新たな「直積型」「直和型」を定義する理由はないが、説明の都合上、定義することとする。ファイルproductSum.hsを作成する。

productSum.hs
data Product a b = Product a b deriving Show
data Sum a b = L a | R b deriving Show

x :: Sum (Product Char Bool) (Product String Integer)
x = L $ Product 'c' True

試してみる。

> :load productSum.hs
> x
L (Product 'c' True)
> :type x
x :: Sum (Product Char Bool) (Product String Integer)

値構築演算子

値構築演算子を使うと、直積型はより読みやすくなる。productSum.hsの、データ型Productの定義を修正する。

productSum.hs
data Product a b = a :*: b deriving Show

値構築演算子は、ふつうの演算子と名前空間がおなじなので、区別するために、その名前には:(コロン)から、はじまる識別子を使う。最後にも:(コロン)をつけたのは、そのほうが見た目のバランスがいいからで、とくに深い意味はない。サンプルの値xの定義も修正する。

productSum.hs
x = L $ 'c' :*: True
> :reload
> x
L ('c' :*: True)
> :type x
x :: Sum (Product Char Bool) (Product String Integer)

型構築演算子

さて、関数にたいして演算子があり、値構築子にたいして値構築演算子がある。それでは、型構築子にたいして型構築演算子は使えるだろうか。使える。そう、GHCならね。つぎのようにファイルproductSumTypeOp.hsを作成する。

productSumTypeOp.hs
{-# LANGUAGE TypeOperators #-}

data a * b = a :*: b deriving Show
data a + b = L a | R b deriving Show

x :: (Char * Bool) + (String * Integer)
x = L $ 'c' :*: True

演算子と型構築演算子とは、名前空間が異なるので、おなじ名前を使うことができる。対話環境で試してみよう。

> :load productSumTypeOp.hs
> x
L ('c' :*: True)
> :type x
x :: (Char * Bool) + (String * Integer)

型構築演算子の結合力

型構築演算子の結合力を変えることもできる。つぎのように結合力の宣言を追加する。

productSumTypeOp.hs
infixl 7 *
infixl 6 +

サンプルの値xの型宣言を書き直す。

productSumTypeOp.hs
x :: Char * Bool + String * Integer

ただし、演算子と型構築演算子の結合力をばらばらに設定することは、たぶん、できない。対話環境で試しておこう。

まとめ

関数にたいして演算子が、値構築子にたいして値構築演算子がある。GHCでは言語拡張TypeOperatorsを有効にすることで、型構築子にたいして型構築演算子を使うことができる。

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