前回の続きです
経営戦略を作り、経営戦略に必要な機能を特定し、機能を実現する組織を設計したら次は、事業戦略と機能戦略を創る必要があります。
今回は事業戦略について考えていきましょう。
事業戦略
事業戦略とは、企業が各事業分野で競争優位性を確立し、持続的な成長を実現するための具体的な計画です。以下の要素を中心に展開していきます
事業ドメインの定義
- 顧客は誰か(Who)
- 顧客のどのようなニーズに応えるのか(What)
- どのような方法・技術で提供するのか(How)
を明確にし、事業の範囲と方向性を定めます。
競争戦略の策定
- 市場での位置づけ(ポジショニング)の明確化
- 差別化要因の特定(品質、コスト、スピード、ブランド等)
- 競合他社との関係性の設定(競争、協調、すみ分け等)
ビジネスモデルの構築
- 収益構造の設計(収益源、価格設定、コスト構造)
- バリューチェーンの最適化
- リソース配分の決定(人材、設備、資金等)
成長戦略の立案
- 市場浸透(既存市場・既存製品)
- 市場開発(新市場・既存製品)
- 製品開発(既存市場・新製品)
多角化(新市場・新製品)
リスク管理
- 市場リスクの分析と対応策
- 技術リスクの評価と対策
- 競合リスクへの対応
KPIの設定と評価システム
- 財務指標(売上、利益、ROI等)
- 非財務指標(顧客満足度、市場シェア、品質指標等)
- PDCAサイクルの確立
このような内容を作成していきます。このシリーズで伝えてきたプロセスでは、最初のターゲットを決めて、MVPを作り、起業フェーズを終えて経営戦略を作ってきての流れを説明してるので、この事業戦略については経営フェーズを扱います。
この段階になると、持続的な成長とスケールを実現するための体系的なアプローチが必要になってきます。
【Phase 1: 現状分析と目標設定】
- これまでの実績の体系的な分析
- 売上の内訳(顧客セグメント、製品・サービス別)
- 利益構造(固定費、変動費の詳細分析)
- 顧客フィードバック、解約理由の整理
- 成功事例・失敗事例の要因分析
- 市場環境の詳細分析
- 市場規模と成長率の把握
- 競合他社の動向調査
- 業界トレンドの分析
- 規制環境の確認
- 中期目標の設定(3-5年)
- 売上・利益目標
- 市場シェア目標
- 顧客数目標
- 組織規模目標
【Phase 2: 成長戦略の策定】
- コアビジネスの強化
- 既存製品・サービスの改善点特定
- 価格戦略の最適化
- 顧客満足度向上施策
- オペレーション効率化
- 新規事業展開の計画
- 新規市場への展開計画
- 新製品・サービス開発計画
- クロスセル・アップセル戦略
- 戦略的提携の検討
- リソース配分計画
- 必要な人材の特定と採用計画
- 設備投資計画
- システム投資計画
- 研究開発投資計画
【Phase 3: 実行体制の構築】
- 組織体制の整備
- 部門構成の設計
- 役割・責任の明確化
- 意思決定プロセスの確立
- 評価・報酬制度の設計
- マネジメントシステムの構築
- KPIの設定と管理体制
- 予算管理システム
- リスク管理体制
- 品質管理体制
- 人材マネジメント体制
- 採用システムの確立
- 教育研修制度の整備
- キャリアパスの設計
- 評価制度の確立
【Phase 4: モニタリングと改善の仕組み作り】
- 進捗管理の仕組み
- 定期的なレビュー会議の設定
- 報告システムの確立
- 課題管理の仕組み
- フィードバックループの確立
- 市場動向の把握体制
- 顧客の声を集める仕組み
- 競合情報の収集体制
- 市場トレンド分析の定期実施
- 技術動向の把握
- 改善・修正プロセス
- 戦略の見直しタイミングの設定
- 計画修正の判断基準
- 緊急時の対応プロセス
- イノベーション促進の仕組み
まぁ、並べるとたくさんありますよね。実際にはこれ全部を一気に準備するほど優秀な人はいないので、少なくとも僕は無理なので、優先順位をつけてミルフィーユを作るような形でサイクルを回しながら作成していく形で進めています。
当然、先に進む中で新たな条件や知見が得られて、戦略を見直すような動きもしてるので、3歩進んで2歩下がるというイメージで進んでるような気がしてます。