はじめに
フロントエンド開発における主要な技術スタックとしてよく登場するのが Vue や React、そしてそれぞれを拡張した Nuxt や Next.js です。
これら4つのライブラリ/フレームワークは用途や役割に違いがあり、「どれを選べばいいのか?」と迷うことも多いと思います。
この記事では、Vue / Nuxt / React / Next.js の違いを比較・整理していきます。
4つの関係をざっくり理解する
技術 | 主な役割 | 構成方針 |
---|---|---|
Vue | UI を構築するフレームワーク | プログレッシブ |
Nuxt | Vue ベースのフルスタックフレームワーク | 規約優先 |
React | UI を構築するライブラリ | 自由度高め |
Next.js | React ベースのフルスタックフレームワーク | 柔軟かつ実践的 |
2025年7月時点の npm trends は以下の通りです。
Vue ― 小さく始めて大きく育てられる「プログレッシブフレームワーク」
Vue は 「プログレッシブフレームワーク」 として紹介されています。
「プログレッシブ」とは、小さな機能から段階的に導入でき、必要に応じてフル機能のフレームワークへと拡張できる柔軟性を指します。
例えば、既存のWebサイトにあるお問い合わせフォームや商品の絞り込み検索ウィジェットなど、特定の「動く部分」だけをVueで開発し、既存のHTMLに <script>
タグを数行追加するだけで組み込めます。
<body>
<h1>私の素敵なWebサイト</h1>
<div id="app">
<button @click="count++">カウント: {{ count }}</button>
</div>
<script src="https://unpkg.com/vue@3"></script>
<script>
Vue.createApp({
data() {
return { count: 0 }
}
}).mount('#app')
</script>
</body>
Vue の利用範囲を広げたい場合、.vue
ファイルを使ってコンポーネントとして管理できます。さらに広げたい場合、Webアプリ全体をVueで作ります。
その他の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 学習コスト: 低めでHTMLやCSSの基本的な知識があれば、直感的に始めやすい
- テンプレート: HTMLライクな書き方なので、Webデザイナーにも馴染みやすい
- リアクティブ: データの変更を検知して、Webページの見た目(UI)を自動で更新してくれる
Nuxt - Vue を土台にしたアプリケーション開発フレームワーク
Nuxt は Vue をベースにした Web アプリ構築用のフレームワーク です。
Vueプロジェクトを効率的に開発するための強力な規約と自動化機能(ルーティング、SSR/SSGなど)を提供しています。これはNuxtの「規約優先(Convention over Configuration)」という考え方に基づいています。
-
pages/
ディレクトリにファイルを置くだけでルーティング自動生成 - SSR(サーバーサイドレンダリング)や SSG(静的サイト生成)を簡単に切り替え可能
- Nuxt 3 では
server/api
ディレクトリで API 開発もできる(フルスタック対応)
React - 柔軟で自由な UI ライブラリ
「UI構築のためのJavaScriptライブラリ」です。
Reactは、UIを構築する際に、HTMLとJavaScriptを分離せず、JSX (JavaScript XML) というJavaScriptの構文拡張を使って、JavaScriptコードの中に直接HTMLのようなマークアップを記述します。
- コンポーネントベースの設計
- JSX による柔軟な記述
- 状態管理・ルーティング・SSR などは別途導入(自由度が高い)
- エコシステムが巨大: 世界中で使われているため、関連ライブラリや情報が非常に豊富
よく使われるライブラリ
機能 | ライブラリ例 |
---|---|
状態管理 | Redux, Zustand, Jotai |
ルーティング | React Router |
フォーム | React Hook Form |
SSR / SSG | Next.js(後述) |
Next.js - React をベースにしたフルスタックフレームワーク
Next.js は React をベースにした Web アプリケーションフレームワークです。
ページルーティングや SSR 機能、APIルートなどを包括的に提供しています。
-
pages/
やapp/
ディレクトリによるルーティング - SSR / SSG / ISR を柔軟に選択可能
-
pages/api/
で API を構築可能 - Vercel との親和性が高く、デプロイもスムーズ
使いどころの考え方の例
開発目的・状況 | 向いている選択肢と理由 |
---|---|
はじめてフロントエンド開発に触れる |
Vue HTMLライクな構文で分かりやすく、学習コストが低いため、Web開発の基本を学ぶのに最適です。段階的に機能を足していけます。 |
Vueの知識を活かして、SSRやSEOに対応したWebアプリを作りたい |
Nuxt Vueの書き方そのままに、SEOに強いSSR/SSG機能や、ルーティングの自動生成といった便利な機能が最初から使えるので効率的です。 |
柔軟な構成で自分好みに開発したい |
React UI構築に特化しているので、ルーティングやデータ管理など、必要な機能を自由に組み合わせて自分だけの開発環境を作れます。 |
Reactベースで本格的なWebアプリを構築したい |
Next.js Reactの強力なUI構築能力に加えて、SSR/SSG、APIルート、画像最適化など、プロダクションレベルのWebアプリに必要な機能がすべて揃っています。 |
フロントエンド+APIを一体で構築したい |
Nuxt または Next.js 両フレームワークが提供するAPIルート機能を使えば、フロントエンドとバックエンドの簡易的な処理を一つのプロジェクトで管理でき、開発がシンプルになります。 |
まとめ
この記事では、フロントエンド開発の主要な技術である Vue / Nuxt / React / Next.js の違いを記載しました。これらの違いを理解して、開発目的や状況に応じた最適な技術選択ができるようにしていきたいですね。