この記事はZOZOアドベントカレンダーSeries1の21日目の記事です。
我々のチームでは、スクラムを始めて30スプリントを超えるぐらいの経験を積んできました。
当初はスクラム経験者はおらず自分がスクラムマスター研修を受けてきたぐらいの練度でのスタートでした。
スクラムを始めたきっかけは、実装の優先順位の問題であったり、多すぎるMTGだったり、バス係数の問題だったり色々あったのですが、スクラムを導入したことで多くの問題が解決に向かっていったと思います。
スプリントは回せていると思っていました。スプリント期間は1週間。毎週スプリント計画を実施し、スプリントを回し、レビューも振り返りもやる。リファインメントでは優先順位も決め、デイリースクラムももちろん行っていました。
そんなある時ですが、他のチームがお世話になっていたアジャイルコーチと話をする機会をいただき、以来毎週会話させていただき多くのアドバイスをいただいております。
そこで気がついた色々なことを今回は共有したいと思います。
スプリントゴール・VISION/MISSION
Scrumに関わらずアジャイルな開発をしていくなら、当然プロダクトゴール、スプリントではスプリントゴールがあるべきですが、今までそれがなかった。なくても開発がまわっていたので良かったと思っていたのかもしれません。
しかし、スプリントごとに成果物を出すのはなぜか?
それは少しずつでも早く市場の反応を見るためであり、ステークホルダーに少しでも早く見てもらいフィードバックを求めるためです。
測定するのは成果物ではなく成果です。得られた反応やフィードバックからいつでも方向の向き直りができるようにするのです。
そう考えたときにプロダクトの向かう先がなくては方向を考えるのは難しい。北向いているのか東向いているのかわからないのに西を向くことはできません。
ゆえにプロダクトゴールが必要であり、さらにVISIONが必要で、MISSIONが必要であるわけです。
その辺りを書いたのがプロダクトにVISIONがなぜ必要なのか?の記事になります。
アウトサイドインとインサイドアウト
さきほども書きましたが、測定すべきは成果物ではなく「成果」です。
なので、スプリントで作られたインクリメントはKPIやUU/PVなどで計測が可能です。それがどのように顧客にインパクトを与えたか、ユーザー数の推移や売上、GMVで確認することになるでしょう。
その結果、改善策が新たにプロダクトバックログに積まれていくわけですが、この流れは「アウトサイドイン」つまり、外部要因でプロダクトバックログを積んでいく流れです。
この場合、顧客の維持や満足度の向上には繋がっていきますが、新規顧客の獲得を目指すのは難しい。
ゆえに「インサイドアウト」つまり、自分たちは何を顧客に提供したいのか?プロダクトから社会をどう変えたいのかという観点から生まれる施策が必要になります。
このような考え方をこれまでしてこなかった、アジャイルコーチとの会話で新たに得られた知見になります。
また、これらを実施する上でも、VISION・MISSIONは必要になります。「何を顧客に提供したいのか」はVISIONとして可視化され、プロダクトの方向性を定めるものとなるでしょう。
ほかにもこれからのプロダクト開発に必要なスキル「問いかけ」の作法の記事もアジャイルコーチに共有していただいたものから書いた記事になります。
結論アジャイルコーチは必要か?
メンバーでアジャイルコーチの支援を受けて開発した経験がない場合は絶対必要だと思います。
研修だけ、本だけの知識だけで勝負しても、おそらく何かが欠けている、考慮できていないことが多いはず。
それをコーチに支援してもらいながら気づきを得て、プロダクトを良くしていくことが必要です。
よくコーチの支援はアジャイル開発をしていくための「近道」なんて聞きますが、「近道」ではなく「進むべき道」であるように思います。
なんとなく開発をしているチームと自覚がある方にこの記事が参考になればよいと思います。