この記事はZOZOアドベントカレンダー2023 Series1 10日目の記事です
今関わっているプロダクトには「VISION」はありますか?プロダクトには「VISION」の必要だということを今日はお話しします。
成功して、継続しているプロダクトほど「VISION」が必要です。
ユーザーからのフィードバックやKPIを活用し改善しているプロダクトは多いと思います。
一見成功し、社会にインパクトを与え続けているように見えますが、こういうケースは新規顧客の獲得するために営業や広告といったいわゆるPRによる獲得が主かと思います。
それが悪いわけではないですが、長い目で見れば、時代の変化に追いつけず衰退に向かう可能性も大きいです。
「両利きの経営」ではそれを「サクセストラップ」と呼び、「組織を芯からアジャイルにする」では「最適化の呪縛」、「プロダクトマネジメント」では「プロダクトの死のサイクル」と呼び警鐘を鳴らしています。
それを防ぐには、既存の顧客や営業など外部から得られる情報から改善を続ける「アウトサイドイン」の策に加え我々が本当に顧客に提供したいと心から思えるものを作る「インサイドアウト」の策が必要になります。
VUCAの時代と言われるように、複雑化した社会でソフトウェアが適用できる分野もどんどん広がっていく中で、顧客が欲しいものは顧客自身もわからない時代となっています。
つまり我々は「未知の知」を探していく必要があり、そこから価値を提供しなければならないということです。
下記(出典:プロダクトマネジメント ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける)図でいえば、上半分は既に我々が提供しているプロダクト(事実)と営業やユーザーからのフィードバック、アンケートなどで得られる情報(疑問)いわゆるアウトサイドインの範囲です。
必要なのは下半分。我々がまだ知らないところを知りに行く作業。(直感)からの実験、仮説検証、(発見)のためのワークショップなど、そこから新しい策を探っていく必要があります。。
さあ、「未知の知」を探しに行こう!と行きたいところですが、闇雲にアイデアを出しに行ってもそれは無理な話。霧の中どうやって前に進むのでしょう。
そこで必要なのが「VISION」です。
たとえば、東大大学院情報学環特任助教の安斎勇樹先生が講演で話されていた事例。
AIを活用した新しいカーナビをどうするか?を企画検討していたある企業の話です。自動運転の技術が目の前に迫っている時代にカーナビ自体が売れなくなってくるのが見えている中でAIを活用した新しいカーナビをどうするか?UIをどうするか?AI?運転者目線?
なかなかいい案が出てこないなかで安斎先生から投げられた問い「なぜカーナビを作っているのですか?」
そこで発せられた答えは「カーナビを作っているのではない。自動運転社会になっても車で移動する時間は変わらない。その時間、搭乗者に快適に社内で過ごしてもらう。快適で豊かな時間にしたい」という答えが返ってきて、「それだ!!!」となってそこから議論が加速したそうです。
この「搭乗者に快適に社内で過ごしてもらう。快適で豊かな時間にしたい」がまさにVISIONであり、そこから本当に顧客に提供したいと心から思えるものを作るという「インサイドアウト」の案が出てくるという好例です。
「VISION」は我々が何者何かを提示するものになります。霧の中はっきり見えるもの、向かう先になります。ここから「未知の知」を探すのです。「未知の知」を探す過程で「VISION」を定めるということもあるかもしれません。
今回の話しの必要性を理解してもらうための問いを提示してみますので、自分のプロダクトと照らし合わせて考えてみるとよいと思います。
- 今携わっているプロダクトの成長のためにしていることは?営業やユーザーからのフィードバック、アンケートからの改善に留まっていないだろうか?
- 今携わっているプロダクトを通して、顧客にどうなってもらいたいのだろうか?社会を世界をどう変えたいのだろうか?
最後に、VISIONが持つ効果は他にもあるので紹介して終わります。
- ビジネス側・開発側で同じVISIONを持つことで共通の目的をもつことができ、同じチームとしてはたらくことができる。
- 企業の理念やVISIONと結び付けられるプロダクトVISIONを持つことで、新しい企画の方向性を違えないようにすることができる。
- インサイドアウトの企画とはすなわち、「未知の知」まだ自分たちも、顧客も知らない世界を探す旅。VISIONは発見した何かを一言で表すことができるツールとして活用できる。それが他社との差別化にもつながる
- 強固なVISIONはメンバーのモチベーションにつながる
今VISIONがなく闇雲に突き進んでいる渦中にある方々にこの記事が目にとまればと思います。