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6歳娘「パパ、条件によって変わる型を作りたいの」

Last updated at Posted at 2022-06-01

とある休日

娘「パパ」

ワイ「なんや?娘ちゃん」

娘「あのね、お友達が」
娘「TypeScriptの便利な型を忘れちゃったの」

ワイ「そうなんや」
ワイ「便利な型を忘れてもうて、どうなってんねんそれ」
ワイ「ほな、ワイも一緒に考えてあげるから、その型の特徴を教えてみてよ」

娘「ええとね、例えば」

type User = {
  firstName: string
  familyName: string
}

娘「↑この型を」

type PartialUser = {
  firstName?: string // オプショナルになった
  familyName?: string // オプショナルになった
}

娘「↑こんな型に変身させてくれる」
娘「そんな便利な型らしいんだけど」

ワイ「おー、Partial<T>やないか」
ワイ「その特徴はもう完全にコーンフレーク・・・やなくてPartial<T>やがな」

娘「コーンフレーク?」

ワイ「いやPartial<T>のことやがな」

Partial<T>

// 全てのプロパティをオプショナルにした PartialUser 型を定義する
type PartialUser = Partial<User>

ワイ「↑こうするだけやがな」
ワイ「型を渡すと、それを元に別の型を返してくれる」
ワイ「型の関数みたいな、便利なやつやで」

娘「でも分からないの」

ワイ「何が分からへんのよ」

娘「いや私もPartial<T>だと思ったんだけどね」
娘「お友達が言うには」

type User = {
  tag: string
  firstName: string
  familyName: string
}

娘「↑こんな風に、tagっていうstring型のプロパティがあった場合には」
娘「その便利な型を使っても」

type PartialUser = {
  tag: string // ここだけオプショナルにならない
  firstName?: string
  familyName?: string
}

娘「↑こんな風に、tagだけはオプショナルにならないって言ってた」

ワイ「ほなPartial<T>と違うか」
ワイ「Partial<T>は、全てのプロパティをオプショナルにしてしまうもんな」

娘「そうなの」

自作の便利型

ワイ「ほな、こんな便利な型を自作すればええんとちゃうか?」

// tag 以外のプロパティをオプショナルにしてくれる便利型
type PartialWithoutTag<T> = Partial<T> & { tag: string }

ワイ「↑こうや」
ワイ「この型を使えば」

type User = {
  tag: string
  firstName: string
  familyName: string
}

ワイ「↑この型を」

type PartialUser = PartialWithoutTag<User>

ワイ「↑こうして」

type PartialUser = {
  tag: string // ここだけオプショナルにならない
  firstName?: string
  familyName?: string
}

ワイ「↑こんな型を作ってくれるイメージやで」

娘「でも、その型って」

  • 全てのプロパティをオプショナルにしつつ
  • tagというプロパティを追加する

娘「↑こんな感じの型だから」

type Hoge = {
  aaa: string
}

娘「↑こう、元々tagを持っていない型を渡したときに」

type Hoge = {
  tag: string // プロパティが増えている
  aaa?: string
}

娘「↑こう、tagプロパティが増えちゃうでしょ」

ワイ「せやな」

勝手にtagプロパティを増やして欲しくはない

娘「元々tagプロパティがない型を渡した場合には」
娘「tagプロパティを増やして欲しくはないの」

ワイ「ぐぬぬ」
ワイ「つまり・・・」

  • 元の型を加工して返してくれる便利な型
  • 全てのプロパティをオプショナルにしてくれる
    • tagプロパティがあった場合
      → そこだけはオプショナルにしない
    • tagプロパティがない場合
      → ないままでいい

ワイ「↑こういうことか・・・」

娘「そう」
娘「そういう、条件によって変わる型を作りたいの」

ワイ「ほなConditional Typesやないか」

Conditional Types

ワイ「ええと」

type PartialWithoutTag<T> =
  T extends { tag: string } // 条件
  ? Partial<T> & { tag: string } // 真の場合に返す型
  : Partial<T> // 偽の場合に返す型

ワイ「↑こうやな」
ワイ「三項演算子みたいに書くねん」
ワイ「いや、四項演算子か」

娘「そっか、なるほど」
娘「Conditional Typesを使えばよかったんだね」
娘「ちょっと、コメントを変えてみていい?」

ワイ「おお、ええで!」

娘「ありがとう」
娘「えっと・・・」

type PartialWithoutTag<T> =
  T extends { tag: string } // tag という string 型のプロパティを持っていた場合
  ? Partial<T> & { tag: string } // tag プロパティ以外をオプショナルにする
  : Partial<T> // そうでない場合、全てのプロパティをオプショナルにする

娘「↑こういうことだね!」

ワイ「せやな!」

娘「渡された型Tが、tagプロパティを持っていた場合には」
娘「tag以外をオプショナルにしてくれるし」
娘「そうでない場合には」
娘「全てのプロパティをオプショナルにしてくれる・・・」
娘「できたね!」
娘「パパ、ありがとう!」

ワイ「かめへん、かめへん!」

娘「でも分からないの」

ワイ「いやまだあんのかい」

tagプロパティがstring型じゃないこともある

娘「そういえばお友達が」

お友達「tagプロパティは必ずしもstring型じゃないんだ」

娘「↑こう言ってた」
娘「tagプロパティの型は、場合によって色々だって」

ワイ「ぐぬぬ」
ワイ「ほなany型やないかい」
ワイ「その特徴はもう、なんでも許してくれる便利なany型や!」

娘「any型は危険だから、tsconfig.jsonで禁止してるってお友達が言ってた」

ワイ「ほなany型と違うか」
ワイ「ええと、さっきの型は」

  • tag という string 型のプロパティがあった場合

ワイ「↑こういう条件やったけど」
ワイ「それを」

  • tag という何らかの型のプロパティがあった場合

ワイ「↑こういう条件に変えなアカン訳やな」
ワイ「どうすればええんや・・・?」

娘「あ、分かった!」

inferを使う

娘「ええと、extendsの右側の部分だけど」
娘「{ tag: string }とは限らないから」
娘「条件を広げるために」
娘「{ tag: infer U }に変えるね」

type PartialWithoutTag<T> =
  T extends { tag: infer U } // string から infer U に変更
  ? Partial<T> & { tag: string }
  : Partial<T>

娘「↑こうだね」
娘「extendsの右側で{ tag: infer U }ってすることで」
娘「tagプロパティの型を推論して」
娘「Uという型変数に入れてくれるの」

ワイ「おお」
ワイ「tagプロパティの型、つまり何か分からん型に」
ワイ「Uっていう名前をつけるイメージやな」

娘「うん」

ワイ「なるほどな」

  • tag という string 型のプロパティがあった場合

ワイ「↑こういう条件を」

  • tag という何らかの型のプロパティがあった場合

ワイ「↑こういう条件に広げたい場合に」
ワイ「inferが使えるんやな」

娘「そうだね」
娘「そして、その型変数Uを」
娘「後ろの部分で使ってあげないといけないから」

type PartialWithoutTag<T> =
  T extends { tag: infer U }
  ? Partial<T> & { tag: U } // string から U に変更
  : Partial<T>

娘「↑こうだね!」

ワイ「なるほどな」
ワイ「コメントを付け直すとすると」

type PartialWithoutTag<T> =
  T extends { tag: infer U } // tag プロパティがあった場合、その型を U とする
  ? Partial<T> & { tag: U } // tag プロパティの型は U のまま引き継ぐ
  : Partial<T>

ワイ「↑こんな感じやね」

娘「そうだね」
娘「ちなみにinferというのは、推論するって意味だね」

ワイ「なるほどな」
ワイ「tagプロパティの型を推論して、Uという型変数に入れてくれる訳やもんな」

娘「そうだね」

ワイ「そうかー」
ワイ「inferってよく分かってなかったけど」
ワイ「Conditional Typesextendsの右側で使うものだったんやな」
ワイ「そんで、条件を汎用的にできるんやな」

娘「そんな感じだね」

ワイ「さすが娘ちゃんや」
ワイ「これで、自作の便利型が1つ作れたやないか」

娘「えへへ」

まとめ

  • A extends B ? C : Dという形式で、条件分岐のロジックをもった型を作れる
    • A extends B条件にあたる
    • C真の場合に返す型
    • D偽の場合に返す型
  • Bの部分でinferというキーワードを使うことができる
    • 型を推論し型変数に格納できる
    • 何か分からない型でも条件に使うことができる
    • 型変数に格納した型は、返す型を書くときに使える

その日の夜

ワイ「Conditional Typesを忘れてしまって、思い出したいなんて」
ワイ「変わったお友達がおるんやね」
ワイ「一体どんなお友達なん?」

娘「そんなお友達はいないの」

ワイ「ファッ!?」

娘「パパに、Conditional Typesinferの使い方を理解して欲しくて」
娘「仮の問いをしてみたの」

ワイ「そ、そうなん・・・?」
ワイ「ま、まあ、おかげで勉強になったからええわ」
ワイ「ありがとうやで」

〜おしまい〜

Findy Engineer Labさんにも記事を寄稿しましたやで

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