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ご年配のお客様「公開鍵と秘密鍵とは何ですじゃ?」

Last updated at Posted at 2022-06-19

※実話を基にしたフィクションです。

IT系コールセンター勤務時代ワイ

電話機「プルルルル・・・」

ワイ「おっ、お客様からお電話や!」
ワイ「簡単なお問い合わせだとええな・・・」
ワイ「ガチャッ(受話器を取る音)」
ワイ「お電話ありがとうございます!」
ワイ「インターネットプロバイダNEMUMIでございます」

お客様「あ、あの、ネムミさんですか?」

ワイ「はい、NEMUMIのやめ太郎と申します」
ワイ「本日はどういったお問い合わせでしょうか」

お客様「わしはネムミさんのサービスを使っとってな」
お客様「インターネットとメールのサービスを契約しとるんじゃが」
お客様「メールアドレスをもう一つ追加で欲しいんじゃ」

ワイ「かしこまりました」
ワイ「インターネット上から追加のお申し込みができますので」
ワイ「弊社のホームページにアクセスしていただけますでしょうか」

お客様「ほいほい」
お客様「パソコンでネムミさんのサイトを開きましたぞい」

ワイ「ありがとうございます」
ワイ「それでは、ページの一番右上に『お申し込み』というボタンがありますので」
ワイ「そちらをクリックしていただきまして・・・」

お客様「ほえ?クリニック?
お客様「病院なら、今朝もう行ってきましたぞい」

ワイ「クリックでございます」

お客様「・・・」

ワイ「が、画面上の矢印のやつで、押していただけますでしょうか?」

お客様「(カチッ)」
お客様「『お申し込みページ』に移りましたぞい」

ワイ「そちらのページで『お客様ID』と『パスワード』をご入力ください」

お客様「ほいほい」
お客様「入力して『ログイン』ボタンを押しましたぞい」
お客様「そしたら、入力画面みたいなのが表示されましたぞい」

ワイ「ありがとうございます」
ワイ「それでは『メールサービス』という部分の右側の『数量』のところに」
ワイ「1とご入力いただけますでしょうか」

お客様「ほいほい、入力しましたぞい」

ワイ「ありがとうございます」
ワイ「それではお客様」
ワイ「ページの一番下の『次へ進む』ボタンを」

お客様「『メールサービス』の下にある『電子証明書』というのは、どんなサービスですじゃ?」

ワイ「(ぐぬぬ、電子証明書か・・・説明が難しいサービスや・・・)」
ワイ「そちらのサービスは、普通にメールを送ったり受け取ったりする分には必要ございません」

お客様「そうかい」

ワイ「はい」
ワイ「それではお客様」
ワイ「ページの一番下の『次へ進む』ボタンを」

お客様「それで、どんなサービスなんですじゃ?」
お客様「メールに関係あるんかの?」

ワイ「(ぐぬぬ・・・)」
ワイ「はい、メールにも関係のあるサービスでございます」
ワイ「メールの内容を暗号化することで、盗み見されるのを防ぐことができます」

お客様「具体的に、電子証明書とはどんな物なんじゃ?」

ワイ「物としては、ファイルですね」
ワイ「電子証明書ダウンロード用の専用ページから」
ワイ「証明書ファイルをダウンロードしてご利用いただく形になります」

お客様「ほうほう」
お客様「ダウンロードして使うんかいな」
お客様「わしのパソコンに入っとる、ミクロソフトオートロックでも使えますかいな?」

ワイ「MicrosoftマイクロソフトOutlookアウトルックでございますね?」
ワイ「はい、ご利用いただけます」
ワイ「ですが、普通にメールを送ったり受け取ったりする分には必要ございません」
ワイ「(もう、これ以上は聞かんといてくれ・・・!)」

お客様「どうやってメールを暗号化するんですじゃ?」

ワイ「(ぐぬぬ・・・まだ聞きよるか・・・)」
ワイ「ええと、公開鍵と秘密鍵というものがありまして」
ワイ「公開鍵で暗号化して、秘密鍵で元に戻します」

お客様「ほうほう」
お客様「そうなんじゃな」

ワイ「それではお客様」
ワイ「ページの一番下の『次へ進む』ボタンを」

お客様「秘密鍵とは何ですじゃ?」

ワイ「(!?)」
ワイ「ええとですね、鍵なので、パスワードみたいなものですね」
ワイ「長〜いパスワードみたいなものです」

お客様「ほう、鍵はパスワードなんか」
お客様「それは、どうしてじゃ?」

ワイ「ええと・・・」
ワイ「例えば家の鍵って、自分とか家族だけが持ってるじゃないですか」
ワイ「それで、鍵がかかっていると、自分や家族以外は、家の中に入れない」
ワイ「鍵を持っている人だけが入れる・・・」

お客様「そうじゃな」

ワイ「パスワードも似たような役目なんです」
ワイ「自分だけが知っているパスワードを使って、自分専用のマイページなどにログインすることができますし」
ワイ「自分以外は、ログインすることができません」

お客様「ほうほう」
お客様「言われてみれば、パスワードって鍵みたいじゃのう」
お客様「よう分かったわ」

ワイ「ありがとうございます」
ワイ「それではお客様」
ワイ「ページの一番下の『次へ進む』ボタンを」

お客様「じゃあ、公開鍵とは何ですじゃ?」

ワイ「(ぐわぁああああああっ!!!)」
ワイ「こ、公開鍵は、公開してもいい鍵でございます」
ワイ「つまり、誰かに渡してもいい鍵でございます」

「鍵」を誰かに渡してもいい・・・?

お客様「鍵を誰かに渡したら、大事なものを勝手に開けられてしまわんか?」

ワイ「公開鍵は、この場合閉める専用の鍵なんです」
ワイ「なので、誰に渡しても大丈夫です」
ワイ「秘密のものを開けられてしまう心配はありません」

お客様「ほうほう」

ワイ「メールのお話で言いますと」
ワイ「公開鍵・・・つまり『閉める用の鍵』を、お知り合いの方に渡して」
ワイ「メールの内容に鍵をかけてもらって、送ってもらうんです」
ワイ「そうすることで、他の人から盗み見られるのを防げます」

お客様「盗み見るって、具体的にどうするんじゃ?」

ワイ「ええと、例えばお客様のメールアドレスパスワードが第三者に知られてしまった場合」
ワイ「その第三者が、弊社ホームページ上にある『Webメール』にアクセスすれば」
ワイ「メールボックスの中身が見られてしまうんですよ」

お客様「そうなんか」
お客様「ミクロソフトオートロックがなくても」
お客様「メールアドレスパスワードを使えば」
お客様「Webメールからもメールを見ることができるんじゃな」

ワイ「はい」
ワイ「でも、先ほどの公開鍵を使って暗号化して送ってもらったメールは」
ワイ「Webメールにログインされても、読むことはできません」
ワイ「暗号化されていますので」

お客様「ほうほう」

ワイ「電子証明書をダウンロードした、お客様ご自身のパソコンでしか」
ワイ「見ることができないんです」

お客様「なるほどな」

ワイ「お客様のパソコンには、秘密鍵が入っていますので」
ワイ「暗号化されたメールを元に戻して読むことができます」

お客様「ほうほう」

ワイ「秘密鍵の方は、開けるための鍵ですので」
ワイ「誰にも渡してはいけません」

お客様「ほうほう」

ワイ「つまり、公開鍵秘密鍵は」
ワイ「さきほどの使い方をする上では」
ワイ「南京錠みたいなものですね」

契約者「おーい、南京錠を渡すから、これで錠をしてからメールを送ってくれ〜い!」

相手「はいよ〜」
相手「メールに南京錠をガチャリンコ、と」
相手「これで誰にも見られへんな」
相手「ほな送るで〜」

契約者「おっ、届いたで〜」
契約者「よっしゃ、秘密の鍵で開けてから読むで〜」

ワイ「↑と言ったイメージでございます」

お客様「ほうほう」
お客様「よう分かったわ」

ワイ「ありがとうございます」

お客様「鍵がかかるから、メールソフトの名前もオートロックなんじゃな」

ワイ「ファーーーーー(何も伝わってなくて失神)」

〜おしまい〜

参考資料

もっと詳しく知りたい方は

今回の記事ではフワッと説明しましたが、もっと詳しく知りたい方は、6月24日(金)のQiita Conference 2022にご参加いただき、スミス 祐一郎ルークのセッション「ハッカー入門:公開鍵で学ぶ、ものごとの裏側を考える技術」をご視聴ください!

追記

今回はメールの暗号化についての記事を書きましたが、公開鍵は暗号化のためだけのものではありません。むしろ他の目的で使われるケースの方が多いです。
以下の記事が非常に詳しく書いてあり、参考になると思います。

新しい記事もよろしくやで

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