ある日の我が家
娘(10歳)「ねぇ、パパ」
ワイ「なんや、娘ちゃん」
娘「わたし思うんだけど」
娘「凡ミスの多い人って、プログラマーに向いてるんじゃない?」
ワイ「え、何を言うてんの」
ワイ「ミスが多い人はアカンやろ」
ワイ「そんな同僚いたら困るで」
娘「いや、そんなことないと思う」
娘「どっちの意見が正しいか、パパの𝕏でアンケートしてみてよ」
ワイ「まぁいいけど、結果は見えてるで」
ワイ「向いてる訳ないんやもん」
ワイ「カタカタカタ・・・ッターーーン!」
ワイ「アンケート投稿したで!」
24時間後
ワイ「お、𝕏に通知が来とる」
ワイ「アンケートの結果が出たみたいや」
ワイ「・・・まじか」
ワイ「わずかやけど『向いている』の方が多いやん・・・!」
娘「やっぱりね」
ワイ「てっきり『向いていない』が圧勝かと思ってたわ・・・」
ワイ「でも、なんでなんやろ」
ワイ「そもそも、娘ちゃんは何で向いてるって思ったの?」
娘「えっとね」
娘ちゃんの言い分
娘「ママってADHD(注意欠如・多動症)じゃん?」
ワイ「せやな。よめ太郎さんはADHDの診断を受けとるな」
娘「で、忘れ物とか、うっかりミスが多いじゃん」
ワイ「せやな」
娘「で、それによって──」
よめ太郎「気をつけても、やっぱミスした」
娘「──っていう学習データを、人生の中で何度も積んできてるじゃん」
ワイ「まぁ、せやな」
娘「だからこそ、逆に──」
- 自分を信じるべからず
- 仕組みで解決すべし
娘「──っていう思考モデルができてると思うの」
ワイ「・・・と言いますと?」
娘「ママってさ」
娘「ゴミ出しの日の前日には必ずアラームが鳴るように設定したりとか」
娘「財布を忘れた時のために、5,000円だけ入れたSuicaを全てのカバンに入れてあったりとか」
ワイ「おお、確かにそういう工夫が上手よな」
娘「そう」
娘「忘れないようにするんじゃなくて、忘れても何とかなるようにする」
娘「そういう『仕組み化』が得意になってるじゃん」
ワイ「なるほどな」
娘「そこがプログラミングとか開発にも活きるかな?って思ったの」
- コーディング規約を破らないように皆で気をつける
- デプロイをミスしないように皆で気をつける
- バグが出ないように皆で気をつける
娘「↑こう、みんなで気をつけるのもいいけど」
娘「それを仕組み化するのも凄く大事じゃん?」
娘「例えば──」
- リンターやフォーマッターを導入して、コーディング規約を強制する
- CI/CDを使用して、自動テストや自動デプロイを強制する
- 単純なミスによるバグは、型システムやコンパイラで静的解析して事前に修正する
娘「──とかさ」
ワイ「おぉ〜、確かに」
娘「チームの中にそういう人がいると、結果的にチーム全体のミスが減るじゃん?」
ワイ「おお〜、そうやなぁ」
ワイ「そう考えると、めっちゃメリットあるかもな」
必要だから、存在する
娘「そもそもさ」
娘「その特性が致命的に有害だったならさ」
娘「その遺伝子は現代まで生き延びていないはずなんだよ」
ワイ「まあ、進化論的には」
ワイ「ほんまに有害な特性だったら淘汰されてるはずやもんな」
娘「それなのに、発達障害の人は世界中に何億人も存在する・・・」
娘「どうしてだと思う?」
ワイ「えーと、それはな」
ワイ「・・・分かりませんやで」
娘「何らかのメリットがあったからだよ」
娘「例えば、不注意な傾向が強い個体がいたことで」
娘「逆に、ミスを防ぐ仕組みが強化されて、群れ全体にもメリットが生じた、とか」
ワイ「なるほどな」
ワイ「人間は社会的な動物やから」
ワイ「群れレベルで考えるのが大事なんやな」
娘「そうそう」
娘「ほかにも、ひねくれた思考をする個体がいたおかげで」
娘「そういう考え方もあるのか?という議論が生じて」
娘「群れ全体の中庸な思考を促進させた、とか」
ワイ「なるほどなぁ」
ワイ「発達特性のある個体も、何らかの形で群れに寄与していたからこそ」
ワイ「群れ全体の生存や繁栄に貢献していたからこそ」
ワイ「群れとともに現代まで生き延びたんかもな」
娘「そうだよ」
娘「現代・・・っていうかここ200年くらいは」
娘「画一的な学校教育の中で、みんなを均質に扱おうとするから」
娘「そういった特性が『障害』なんて呼ばれてるけど」
娘「本当は、色んな人が必要なんだよ」
娘「実際、今回のアンケートでも似たようなご意見をいただいてたよ」
ワイ「おぉ〜、賢い人がおるもんやな」
ワイ「っていうか、人類の歴史の中で、ミスを防ぐ便利な道具たちを生み出してくれたのは」
ワイ「実はそういう人たちなのかもしれんよな」
まとめ
- 凡ミスの多さはマイナス要素もあるが、それを補う工夫が強みに転じることもある
- 「自分を信じず、仕組みで解決する」思考は、ソフトウェア開発において重要な資質
ワイ「↑ってことやな!」
娘「まあ実際、凡ミスが多いかどうかだけじゃ」
娘「プログラマーとしての資質があるかどうかは測れないと思うし」
娘「凡ミスが多い人だけを集めても困りそうだし」
娘「だからこそ、アンケート結果も割れてたのかもね」
娘「でも、そういった特性がメリットになることも十分ありそうだよね!」
〜おしまい〜