📝 はじめに
こんにちは、シュートです。
最近、開発中にふと手が止まる瞬間があります。
「これ、自分が考えたコードなのか、AIが提案したコードを採用しただけなのか。」
アルバイトと個人開発で React と TypeScript を書いています。コードを書く速度は上がった。理解できる範囲も広がってきた。でも、自分がエンジニアとして成長しているのか、AIが進化しているだけなのか、正直わからなくなってきました。
就活を通じて、様々な現役エンジニアの方と話す機会がありました。「AI時代にエンジニアとして何が大事だと思いますか?」——そんな問いを投げかけながら、自分なりの答えを探してきました。
この記事では、自分が感じている4つの「境界線問題」を正直に書いた上で、面接で現役エンジニアの方々から得た言葉も踏まえて、今の自分なりの答えを出してみます。
答えが正しいかどうかは分かりません。でも、同じように「自分は本当に成長しているのか?」と感じているジュニアエンジニアに、何かしらの参考になれば嬉しいです。
この記事は以下の記事の続編として書いています。
🤔 問い① 「自分で考えた」のか「AIの提案を採用した」のか
一番モヤモヤしているのが、これです。
例えば、コンポーネントを実装するとき。最初に「こういう構造にしたい」というイメージはある。でも実際にコードを書くとき、AIに聞いて返ってきたコードを見て「あ、これでいいじゃん」と採用することがほとんどです。
これは「自分で考えた」と言えるのか。
「イメージを持っていた」のは自分です。「それを形にした」のはAIです。でもそのイメージ自体、過去にAIが書いたコードを見て形成されたものかもしれない。
どこからどこまでが「自分の思考」なのか、境界線が曖昧になっています。
レビューで指摘を受けたとき、まず AI に「この指摘についてどう思う?」と聞いてしまいます。返ってきた回答を読んで「確かに」と思い、修正する。理解はしている。でもその理解のプロセスに、どれだけ自分が介在しているのか。
これはコードに限った話ではないかもしれません。「自分で考えた」という感覚そのものが、AI時代においてどんどん曖昧になっていく気がしています。
「自分で考えた」と「AIの提案を採用した」の境界線は、今後もずっと曖昧なままかもしれない。でもその曖昧さの中でも 「なぜこうなのか」を考え続けることが、自分の判断基準を育てる唯一の方法だと思っています。
📖 問い② 「理解できる」と「書ける」は別物なのか
正直に言います。AIなしだと、コードをゼロから書けません。
でも、人のコードを読んで意図を理解することはできます。レビューのコメントを読んで「なぜそう指摘されたか」も分かります。ある程度説明もできます。
これは成長と言えるのか。
学校の勉強に例えると、「教科書を読んで理解できる」けど「白紙から問題を解けない」状態に近いかもしれません。理解と実践の間には、思っていたより大きな溝がある。
ただ、ふと思うことがあります。
「理解できる・説明できる」は、実はかなり重要なスキルなのではないか。
コードレビューで的外れなコメントをしてしまうエンジニアと、意図を正確に読み取って議論できるエンジニアでは、チームへの貢献度が全然違います。コードを書く速度より、コードを読んで判断する力の方が、実務では求められる場面が多いかもしれない。
でも同時に、こうも思います。
「理解できる」を言い訳にして、「書く練習」を避けていないか。
この問いには、まだ自分の中で答えが出ていません。
「理解できるけど書けない」は成長なのか。今の自分にはまだ答えが出ていません。ただ、読んで判断できる力は、書いた量より考えた量に比例する気がしています。
🤖 問い③ 「AIなしで書けない」は弱さなのか
試したことがあります。AIを使わずにコードを書いてみる。
結果は、全然書けませんでした。構文は何となく分かる。でも「次に何を書くか」が出てこない。手が止まる時間が長くて、普段の何倍も時間がかかる。
これは弱さなのか。
よく言われる例えがあります。「電卓が使えるから暗算できなくていい」。計算機という道具が生まれたことで、人間は暗算の訓練をしなくなった。でもそれは退化ではなく、道具を使いこなすことに能力をシフトしたとも言えます。
AIも同じなのかもしれない。
「AIなしで書けない」のは、「電卓なしで暗算できない」のと同じことで、道具が変わっただけ。AIを使いこなして良いアウトプットを出せるなら、それで十分なのではないか。
でも、電卓とAIには決定的な違いがある気がしています。
電卓は「計算する」という限定的なタスクを代替します。でもAIは「考える」というプロセスそのものに介入してきます。電卓を使っても、「何を計算するか」は自分が決めていました。でもAIを使うと、「何を書くか」まで提案されてしまう。
道具が思考を代替し始めたとき、それはもう「道具を使いこなしている」と言えるのか。
「AIなしで書けない」は弱さではない。ただし、AIに考えさせて自分は何も考えない状態は弱さだと思っています。道具を使いこなすのと、道具に使われるのは違う。
🔮 問い④ コードを書く力は今後必要なのか
正直、「コードを書く力はいらなくなるかもしれない」という感覚があります。
今でも、自然言語で「こういう機能を作りたい」と伝えるだけで、それなりのコードが出てきます。「それなり」というより、個人的には学ぶことが多いコードが返ってくることも多い。AIの出力から新しい書き方を知ることの方が、今は多いくらいです。
エンジニアを目指したのは、コードを書くことが楽しかったからです。小さな機能でも自分で実装できた瞬間、自分で考えたものが形になった瞬間——その感覚が忘れられなくてこの道を選びました。
でも今、その「楽しさ」がどこから来ていたのか、少し分からなくなっています。
「自分で考えて実装できた」と思っていたあの瞬間、本当に自分で考えていたのか。学び始めた頃からAIが隣にいた自分にとって、「自分で考えた」と「AIの提案を採用した」の境界線は、最初から曖昧だったかもしれない。
読めるのは、考え続けてきたからだと思っています。
たとえ短い期間でも、AIの出力を見ながら「なぜこう書くのか」「自分ならどう書くか」を考え続けてきた。その積み重ねが、今の「理解できる」につながっている気がしています。AIに全部任せていたら、「このコードが正しいかどうか」を判断する基準すら、自分の中に生まれなかったかもしれない。
「書く力」が不要になる時代が来るとしても、考え続けた上でその時代を迎えるのと、一度も考えずに迎えるのとでは、全然違うはずです。
💡 面接で聞いた言葉から、考えたこと
就活で現役エンジニアの方と話す中で、繰り返し出てきたテーマがありました。
「コードを書く業務は、これからほぼなくなる」
想定はしていました。でも、その先の話が面白かった。
そもそもエンジニアがコードを書いている時間は今でも短い。設計・レビュー・要件整理——実務の大半はそういった時間で、コードを書くこと自体はその一部に過ぎない。AIによってその実装部分がさらに圧縮されていく。だから意思決定や要件整理といった部分の重要性が、これからより高まるという話でした。
これを聞いて、自分なりに考えました。
実装が速くなった分、その前後にある思考と判断のサイクル全体も速くなるんじゃないか。「何を作るか」「どう設計するか」を、以前より速く、より多く求められる時代になっていく。そのサイクルを回すために必要なのが「情報を素早く処理する力」だと思っています。
コードを読んで意図を掴む、ドキュメントを読んで判断する、AIの出力を見て正しいか評価する——これ全部、情報処理です。
「書く力」より「読んで判断する力」が求められる時代に、自分はすでにその入口に立っているのかもしれない。
そう思えたとき、問い②で「理解できるけど書けない、これは成長なのか」と感じていた問いの答えが、少し見えた気がしました。
🙌 自分なりの答え
4つの問いを書いてきました。正直、どれも完全な答えは出ていません。でも今の自分なりの答えを出してみます。
境界線は、曖昧なままでいい
「自分で考えた」のか「AIの提案を採用した」のか、この境界線は今後もずっと曖昧なままだと思っています。
でもその曖昧さの中でも、「なぜこうなのか」を考え続けることが、自分の判断基準を育てていく唯一の方法だと思っています。
「理解できる」は、立派な成長だと思う
「理解できるけど書けない」は、今の時代においては成長の一形態だと思っています。
読んで判断できる力は、書いた量より考えた量に比例する気がしています。
道具に使われるのではなく、道具を使いこなす
「AIなしで書けない」は弱さではないと思っています。
ただし、AIに考えさせて自分は何も考えない状態は弱さだと思っています。道具を使いこなすのと、道具に使われるのは違う。
考え続けることをやめない
「コードを書く力」より「読んで判断する力」の方が、これから先は重要になっていく。
でもその判断力は、考え続けてきた積み重ねの上にある。だから今の自分に必要なのは、書く速度を上げることより、考えることをやめないことだと思っています。
以前の記事にこう書きました。
AIを使えば調べ物も実装も以前より格段に速くなった。でも、速くなった分だけ、頭に入っていないことも増えていました。コードの意味をちゃんと理解しないまま貼り付けて動かして次へ、という繰り返しをしていたせいで、面接の場では「なぜこう書いたのか」が全く説明できなかったのかもしれません。
一つひとつを自分の言葉で説明できるようになるまで理解してから次に進む、を心がけようと思っています。
「スピードが求められる時代に、ゆっくり学ぶのは矛盾じゃないか」と思う方もいるかもしれません。
でも自分はそう思っていません。判断のスピードを上げるには、判断の土台が必要です。 理解が浅いまま速く動いても、間違った判断を速くするだけになる。ゆっくり考え続けてきた積み重ねが、速い判断を支える土台になると思っています。
AIが先か、人間が先か。
たぶん答えは出ない。でもその問いを持ち続けること自体が、今の時代のエンジニアとしての成長なのかもしれないと、今は思っています。
同じように「自分は本当に成長しているのか」と感じているジュニアエンジニアの方に、少しでも届けば嬉しいです💪
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事は2026年6月時点での自分なりの答えです。半年後には違う答えを書いているかもしれません。それもまた成長だと思っています。