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XBRLで記述されたデータを探してみよう(3/10)

Last updated at Posted at 2019-12-13

Advent Calendar 3回目の投稿では、実際に世の中に開示されているXBRLデータをネット上で探してみます。

1. EDINETから探す

1.1 EDINETとは

EDINET(エディネット)は、金融庁所管の開示文書に関する電子情報開示システムです。有価証券報告書、有価証券届出書等の開示書類について、その提出から公衆縦覧等に至るまでの一連の手続を電子化することにより、提出者の事務負担の軽減、投資家等による企業情報等へのアクセスの公平・迅速化を図り、証券市場の効率性を高めるものとして運用されています。財務局等に提出された開示情報は、インターネット経由で誰でも自由に閲覧可能です。

EDINET概要図.png

※2013年のEDINET更改に伴い、多くの様式では、開示書類全体がXBRL対象範囲となっています。

1.2 有価証券報告書とは

有価証券報告書とは、金融商品取引法にもとづき、上場会社が事業年度ごとに作成を義務付けられている書類のことです。事業年度の終了後、3ヶ月以内に財務局長・上場証券取引所に提出することが義務付けられています。略して有報(ゆうほう)とも呼ばれます。
有報には、企業の概況(事業内容、従業員の状況など)、事業の状況(キャッシュフローの状況、対処すべき課題、抱えているリスクなど)、設備の状況(どのような設備投資をしたかなど)、提出会社の状況(大株主の状況、ストックオプションの内容、配当、株価、役員の状況など)、コーポレート・ガバナンスの状況経理の状況(貸借対照表や損益計算書など)など、企業の様々な情報が記載されます。
スクリーンショット 2019-11-25 21.07.03.png

1.3 XBRLデータを探す

EDINETのサイトを開きます。その後、[書類検索]タブをクリックすると、書類簡易検索画面に移ります。「提出者/発行者/ファンド」欄に、自分の興味がある企業名を記入して検索をかけてみます。(書類種別や決算期/提出期間の条件を付与することも可能です)

EDINET-検索画面_hitachi.png

以下は、「提出者/発行者/ファンド」欄に、日立製作所と記入し検索した結果です。四半期報告書と有価証券報告書(訂正含む)が7件ヒットしました。

EDINET-検索結果.png
次に、XBRL列にあるXBRLのファイルオブジェクトをクリックすると、zipファイルのダウンロードが開始されます。ここでは、2019年6月19日に提出された有価証券報告書に対応するXBRLデータをダウンロードしてみました。

このzipファイルを解凍すると、ixbrl.htm.xbrl.xsdなどのファイルが出現します。詳細は一旦割愛しますが、これらが有価証券報告書の情報を保持するXBRLデータ(インスタンスとタクソノミ)になります。EDINETでは、過去5年分の書類をストックしていますので、過去のXBRLデータもこのように取得することができます。また、書類詳細検索という機能もあり、提出者EDINETコードや提出者業種でフィルターをかけたり、より細かな書類種別による検索も可能となっています。
EDINET-解凍フォルダ.png

2. TDnetから探す

2.1 TDnetとは

TDnetは、東京証券取引所が運営しています。上場会社の適時開示情報を投資家に向けて配信するシステムです。各上場会社が適時開示情報をネットワークを通じて登録し、その情報が各取引所のホームページや適時開示情報閲覧サービス、情報ベンダー等を通じて投資家に配信されます。TDnetでは、2008年から一般事業会社の決算短信におけるXBRLデータの提供を開始しました。現在、東京証券取引所のみならず名古屋、福岡、札幌取引所および日証協のグリーンシート等、日本の証券市場に上場する全ての上場会社の適時開示情報がTDnetを通じて配信されています。

TDnet-概要図.png

2.2 決算短信とは

決算短信とは、取引所の適時開示ルールにもとづき、上場会社が作成する書類のことです。事業年度の終了後、45日以内に証券取引所に提出することが適当とされています。決算短信は、上場会社の貸借対照表・損益計算書をはじめとした決算情報が最も早く開示される資料であり、決算情報は、投資判断上、重要な会社情報の一つとされていることから、投資者・マスメディアからの注目度が高い文書となっています。
決算短信には、経営成績(売上高、営業利益、当期純利益など)、財政状態(資産合計、資本合計など)、業績予想(次期の売上高予想、営業利益予想など)などが記載されています。
スクリーンショット 2019-11-25 21.29.07.png

2.3 XBRLデータを探す

TDnetのサイトを開きます。その後、「適時開示情報検索へ」をクリックすると、開示情報検索
の画面がポップアップで表示されます。この画面で検索期間とキーワードを記入し、検索します。
TDnet-検索画面.png
以下、検索結果になります。7件ヒットしました。
TDnet-検索結果.png
次に、XBRL列にあるXBRLのファイルオブジェクトをクリックすると、zipファイルのダウンロードが開始されます。このあたりはEDINETの仕組みとほぼ同じです。ここでは、2019年10月29日の第2四半期決算短信に対応するXBRLデータをダウンロードしてみました。

このzipファイルを解凍すると、EDINETと同じように、ixbrl.html.xsdなどのファイルが出現します。これらが、決算情報や財務諸表の情報を保持するXBRLデータになります。なお、Attachmentフォルダには財務諸表に対応するXBRLデータ、summaryフォルダには決算短信の1枚目に対応するXBRLデータがそれぞれ格納されています。
TDnet-zip解凍.png

3. コーポレート・ガバナンス情報サービスから探す

3.1 コーポレート・ガバナンス情報サービスとは

コーポレート・ガバナンス情報サービスは、2008年から東京証券取引所が運営しています。東証上場会社が提出する「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の情報をもとにした内容を、本サービスで自由に閲覧可能です。世界に先駆け、財務情報以外の情報がXBRL化され開示されているということで、実証事業中である環境省の環境情報開示基盤整備事業と同様に、世界から注目を集めています。
なお、約10年分の蓄積されたXBRLデータを利用した調査レポートとして、日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための資料(コーポレート・ガバナンス白書2019)が、東証にて公開されています。是非興味のある方はご覧になってみてください。

以下、コーポレート・ガバナンス白書2019より抜粋。

東証に提出されるCG報告書は、2008年7月7日以降、XBRLファイルが生成される仕組みとなっており、今回の分析も全社のXBRLファイルを使用して、数値データの分類及び集計を行っている。

3.2 コーポレート・ガバナンスに関する報告書とは

証券取引所の定める適時開示制度の一環として、上場会社が提出を求められるコーポレート・ガバナンスの状況を記載した報告書のことです。コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方資本構成企業属性などの基本情報、社外取締役や独立役員の選任状況など経営上の意思決定執行及び監督に係る経営管理組織や、その他コーポレート・ガバナンス体制の状況などが記載されています。
スクリーンショット 2019-11-25 21.38.17.png

3.3 XBRLデータを探す

コーポレート・ガバナンス情報サービスのサイトを開きます。検索条件入力画面では、上場会社の市場区分や業種などの会社属性情報、組織形態や親会社の有無、社外取締役や独立役員の人数、情報更新日等によって条件を絞り込むことができます。自分の興味がある企業名などを記入して検索をかけてみましょう。
スクリーンショット 2019-11-18 11.41.35.png
スクリーンショット 2019-11-18 11.42.20.png
以下、検索結果になります。2件ヒットしました。
スクリーンショット 2019-11-18 11.47.13.png
次に、XBRL列にあるダウンロードボタンをクリックすると、zipファイルのダウンロードが開始されます。ここでは、2019年8月7日に更新された企業のXBRLデータをダウンロードしてみました。

このzipファイルを解凍すると、.xbrl.xsdなどのファイルが出現します。これらがコーポレート・ガバナンスに関する報告書の情報を保持するXBRLデータになります。
スクリーンショット 2019-11-18 11.50.04.png

4. 海外から探す

アメリカの米国証券取引委員会(SEC)が管理・運営するEDGAR(日本のEDINETに相当する電子情報開示システム)から、米国に上場している企業の有価証券報告を、XBRLデータで自由にダウロードすることができます。例えば、EDGARでは、Appleの年次報告書(日本の有価証券報告書に相当)のXBRLデータを取得することができます。具体的には、a10-k20199282019_htm.xmlaapl-20190928.xsdがXBRデータになります。英国のCompanies House(会社登記所)HMRC(歳入関税庁)でも、無料で開示されているXBRLを自由にダウンロードすることができます。英国におけるより詳細なXBRLの活動が知りたい方は、XBRLJapan翻訳の英国における企業報告-XBRL活用の成功事例をご覧ください。

5. 問合せ先

本記事に関する問い合わせは、以下のメールアドレスまでお願いします。
e-mail:xbrl-tech-qa@xbrl.or.jp
(もちろん、qiita上でのコメントも歓迎します)

本メールアドレスは、qiitaの記事を執筆しているXBRLJapanの開発委員会の問合せ窓口になります。
そのため、組織に関する一般的な問合せなどは内容によって回答できかねますが、XBRLに関する技術的な質問、意見、要望、助言等はお気軽にご連絡ください。
なお、委員会メンバが有志で対応しているため、回答に時間がかかることもありますが、ご了承ください。

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