マルチプレイサーバを公開する際、ポート解放やグローバルIPアドレスといった言葉がわからず躓いた経験は誰しも少なからずあるのではないでしょうか。この記事ではサーバを建てる際に最低限必要な概念や用語をマイクラサーバ向けにざっくり紹介していきたいと思います。
# LAN, WAN
ローカルエリアネットワークの略であるLANは生活の中では「LAN線」「無線LAN」「有線LAN」といった言葉で耳にしていると思います。家屋や事務所の1フロアなど狭い区域で接続されたコンピュータネットワークが該当します。それに対しインターネットサービスプロバイダ(ISP、通称プロバイダ)が管理する複数のLAN同士が接続された中規模のネットワークをWANと言います。WANは最終的にインターネットに接続されているの、LAN側がローカル、WAN側がインターネットと考えておくとよいでしょう。
# ルータ
ルータは通信経路を管理する機器です。家庭でプロバイダ契約をしていて固定回線を引いてインターネットを使っているのならば、WAN側とLAN側で通信を行うために必ずルータが家のどこかにあるはずです(一部契約せずにインターネットが使えるマンションでは無いかもしれません)。ルータはLANとWANを分離する役割があります。これによってインターネットからの攻撃からLAN内の機器を守っています。こういったセキュリティの観点からルータの設定画面にはパスワードがかけられています。初回設置時に自分でパスワードを設定するものがほとんどなので、忘れてしまった場合はリセットしかありません。
ルータが管理するLANにはコンピュータだけでなく、ツリー状に別のルータを接続することもできます。二重ルータや多重ルータと言われています。ルータの設定にはブリッジ接続というモードがあるかもしれません。これは、機器が直接上流ネットワークに接続されているかのように振る舞う機能で、二重ルータの面倒な部分を避けられるかもしれません。しかし、もとに戻したくなったとしてもルータが見えなくなってしまっているので設定画面には容易にアクセスできなくなるかもしれません。大抵ブリッジ接続モードを持つルータの説明書には対処法が書かれているので参照できるようにしておいてください。
# モデム
モデムはルータと混同されることが多いのですが、役割が異なります。光ファイバーからやってきた光信号を電気信号に変換するなど、信号の変換を行う機器がモデムです。モデムとルータが一体となっている機器が普及したこともあり同一視されてしまいがちです。
# Wi-Fiアクセスポイント
「Wi-Fi = インターネット」のような意味合いでWi-Fiという言葉を使っている方を見かけますが、Wi-Fiとは何かについて把握はしておくべきでしょう。Wi-Fiは無線接続でネットワークに参加するための方法であり、Wi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi AP)とは無線接続を受け付ける窓口のようなものです。プロバイダから提供される最近のルータには最初からWi-Fi APの機能がついていて、有線でルータに接続するだけでなくWi-Fiを使って無線でLANに接続することもできます。なのでWi-Fiといえばインターネット、というイメージがついているのでしょう。また、Wi-Fi APとして販売されている機器は必ずルータとしての機能が付属しています。これは複数端末が接続するときに必要となるからです。よって家が広かったり階をまたいで電波が届かないためにWi-Fi APを増やした場合は二重ルータとなっている可能性があります。
# MACアドレス
ネットワークに接続するあらゆる機器に設定された識別番号であり、全世界で被らないように割り振られています。と必ずといっていいほど説明されますが、プライバシーの問題から最近のOSでは定期的にMACアドレスをランダムに変更しています。確率的に被ることはほぼありません。無線LANで最接続する際には、このMACアドレスをもとに以前割り振ったIPアドレスが再度設定されます。
# IPアドレス
ネットワークに接続された機器に設定されるアドレスです。MACアドレスと同様に機器を識別する役割を持ちますが、通信経路を選択する際の住所のような役割も持っていてより柔軟に扱えます。IPv4とIPv6があり、IPv4自体は約43億通り、IPv6は約3.4×10^38通りのアドレスを表せます。しかし実際にはそれぞれ特別な用途のアドレスが予約されており、全てが使えるわけではありません。IPv4は既に使えるアドレスが枯渇していると言われており、各社がグローバルIPアドレスを譲り合っている状態です。IPv6は事実上無限にあると言ってもいいほど大量に余っています。現状マインクラフトでは諸々の面倒を避けるためにIPv4を使うことが一般的だと思います。
# グローバルIPアドレス, ローカルIPアドレス
インターネット上で識別されるアドレスをグローバルIPアドレスといいます。ローカルIPアドレスはルータによって管理されているLAN内でのアドレスです。インターネットに接続しているときルータは自身が管理するLAN内のローカルIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換しています。マイクラサーバを建てるときにインターネット経由で友達を招待したければグローバルIPアドレスを伝えましょう。192.168.x.xという数字の並びはIPv4のローカルIPアドレスの代表的なものです。「グローバルIP」とググれば現在のグローバルIPを教えてくれるページが出てきます。
# ポート番号
サーバソフトは指定したポート番号で通信を待ち受けます。例えばHTTPサーバは80番ポート、HTTPSだと443番ポートで接続を待ち受けます。統合版マインクラフトだと19132番、Java版マインクラフトだと25565番がデフォルトのポートです。待ち受けるポートはソフトの設定で自由に変えられます。ただし、同じポートを複数のソフトが同時に使うことは原則できません。
# ポート解放
ルータの解説で「インターネットからの攻撃からLAN内の機器を守っています」と述べたようにLANからWANへの通信は問題なく通しますが、その逆はフィルタリングしてしまいます。これでは友達を招待して遊べません。そこで、WAN側のこのポートに接続要求が来たらLAN内のこのアドレスのこのポートに繋いで、というようにルータに設定します。二重ルータでは、この設定を数珠繋ぎのようにして1つ1つ行っていく必要があります。
ポート解放は危険と言われ、不用意に様々なポートを解放すると確かに危険ですが、インターネット側からLAN内にアクセスできるのは転送先に指定したサーバ機の特定のポートに制限されます。インターネットから好き勝手にLAN内の機器にアクセスされるわけではありません。ただし、これはサーバ機のOSとサーバソフトにセキュリティ上の欠陥がなく、サーバ機内部に侵入されないことが前提です。一度サーバ機に入られれば、そこを足がかりにネットワーク内の別の機器も侵害されてしまうため、サーバソフトの選定とアップデートには気をつけましょう。
まとめ
マイクラでサーバを建てるのに最低限知っておくとスムーズに進められる用語をパッと思いつく限り紹介してみました。文章ばかりになってしまったは申し訳ないです。今後も図や用語を追加していこうと思います。
間違っていたり、不適切であるという部分があればバシバシ指摘してください。