はじめに:AIで量産したサイトがAdSenseに弾かれた
私はAIを使って記事を量産し、副業をテーマにした情報サイトを運営しています。新規ドメインで立ち上げ、コツコツと記事を増やし、ある程度の本数になったところでGoogle AdSenseに申請しました。結果は不承認でした。理由として通知されたのは「有用性の低いコンテンツ(質の低いコンテンツ)」というものです。
最初は「どこがダメなのか」が具体的に書かれていないため、途方に暮れました。記事は法務的なチェックも通していたし、プライバシーポリシーも整えていました。それでも通らない。冷静に状況を整理すると、不承認になりやすい条件が三つ重なっていることに気づきました。新規ドメインであること、AIによる量産であること、そしてYMYL(Your Money or Your Life、お金や健康に関わる領域)のテーマであることです。
この記事では、その三重苦のサイトを、記事の生成にも使っていたClaude Code(AnthropicのCLI型コーディングエージェント)に「立て直し」までやらせた全工程を記録します。重複記事の301統合、薄い記事の加筆、E-E-A-Tの実体験補強、そして公開本数を絞り込む判断を、AIにどう実行させたか。要点を先に言うと、AIで作らせたものをAIで畳む、という両輪で密度を上げました。
なお最初に断っておくと、これは一つの事例であり、ここに書いた手順で審査が通ることを保証するものではありません。Googleの審査基準は非公開で、かつ変動します。あくまで「私のケースではこう考えてこう動いた」という記録として読んでください。
なぜ不承認になったのか:三つの条件が重なった
まず原因を分解します。AIで量産したこと「それ自体」が悪かったわけではない、というのが私の整理です。問題だったのは、量産の結果として生まれた「重複」「薄さ」「一次情報の欠如」の三つでした。そして、その三つが審査で厳しく見られやすい条件と重なっていました。
一つ目は新規ドメインです。立ち上げて間もないドメインには、Googleから見た実績も信頼の蓄積もありません。同じ内容でも、運用歴の長いドメインなら大目に見てもらえる粗さが、新規ドメインでは容赦なく減点される、という前提で考える必要がありました。
二つ目はAIによる量産です。量産の過程で、似たテーマの記事が複数できていました。たとえば「業種別のホームページ制作テンプレ」を業種ごとに書いていくと、構成も言い回しも近い記事が何本も並びます。人間が読めば別記事ですが、検索エンジンから見ると「同じ意図を薄く分散させた重複」に見えます。さらに、AIが書いた文章は一般論で埋まりがちで、運営者自身が体験した一次情報が入っていないものが多くありました。
三つ目はYMYLです。私のサイトの主題は「副業でお金を得る」こと、つまりお金に直結する領域です。YMYLは検索品質評価でとりわけ厳しく見られます。新規ドメイン × 量産 × YMYL。この三つが揃うと、Googleは「質を疑う側」に倒して審査してきます。つまり、こちらが「十分」と思う水準では足りないということです。
立て直しの方針:本数を増やすのをやめ、密度を上げる
ここで方針を決めました。多くの人が不承認になると「記事をもっと増やそう」と考えますが、私は逆に振りました。本数を増やすのではなく、薄い重複を畳んで、残った記事の密度を上げる。これを基本方針にしました。
理由は単純です。不承認の原因が「重複・薄さ・一次情報の欠如」なのだから、本数を増やせば原因も比例して増えます。新規ドメインで量産を続けるのは、減点要素を量産することと同じです。それよりも、似た記事を一本の網羅記事に統合し、薄い記事を意思決定に使える濃さまで加筆し、各記事に運営者の実体験を入れる。総量を絞ってでも、一本あたりの有用性を上げるほうが筋がいいと判断しました。
実際、この方針のもとで公開本数は51本台から40本台まで減りました。普通に考えれば「コンテンツが減った」のですが、Googleに見せたいのは本数ではなく密度なので、これは前進だと考えています。
Claude Codeに何をさせたか
ここからが本題です。私はこの立て直しを、ほぼClaude Codeに実行させました。やらせたことは大きく三つです。
一つ目は、重複の洗い出しと統合判断です。全記事のタイトル・見出し・本文をエージェントに読ませ、「検索意図が近い記事のクラスタ」を挙げさせました。どれとどれが実質的に同じ意図を狙っているのか、統合すべきか、それとも切り口が違うので残すべきか。その候補出しと一次的な判断をAIにやらせ、最終決定は私がしました。
二つ目は、薄い記事の特定と加筆です。文字数だけでなく「読者の意思決定に使える内容になっているか」という観点で、薄い記事を挙げさせました。そのうえで、なぜその手順なのかという理由、よくある失敗、職種別の活用例といった具体を足して増補させました。
三つ目は、E-E-A-Tの整備、特に各記事への実体験セクションの完備です。これは後の章で詳しく書きます。
そして、これらすべてに共通してかけた制約が一つあります。捏造させないことです。
AIに「捏造させない」制約をかける
立て直しでAIに加筆させるとき、最大のリスクは「AIが空欄を埋めるために、もっともらしい嘘を書く」ことです。AdSenseもYMYLも、嘘や根拠のない断定をもっとも嫌います。せっかく密度を上げても、中身が創作なら台無しどころか有害です。
そこで、加筆・統合のどの作業でも、次の線引きを徹底させました。裏取りできない数値は書かせない。料金・単価・シェア・統計のたぐいで確認が取れないものは、推測で埋めず「要確認」のマーカーを残して未確定のままにする。同様に、運営者が実際に体験していないことを、体験したかのように書かせない。実体験のセクションは、運営者から提供された一次情報を言語化するか、無ければ空欄のプレースホルダのまま残す、というルールです。
具体的な収入額のような、検証も再現もできない数値は最初から書かない方針にしました。「○○円稼げた」と書けば訴求は強くなりますが、それは捏造のリスクと景品表示法のリスクを同時に背負うことになります。AIは指示すれば平気で具体的な金額を生成しますが、そこは人間が線を引いて止める必要があります。
結局のところ、AIに任せたのは「作業」であって「事実の創作」ではありません。何を書いてよくて何を書いてはいけないかの境界は、人間が定義してエージェントに守らせる。この境界設定こそ、AI量産の出口で一番重要な仕事だと感じています。
301統合の具体と、.htaccessリダイレクトの役割
次に、実際に行った統合の中身です。「畳む」と一言で言っても、ただ記事を非公開にするだけではいけません。すでにインデックスされたURLを消すと、そのURLへのリンクや評価が宙に浮きます。そこで301リダイレクト(恒久的な転送)を使い、古いURLを統合先のURLへ正しく引き継がせました。
代表的な統合は次のとおりです。
| 統合前 | 統合後 | 内容 |
|---|---|---|
| 業種別のHP制作テンプレ記事 6本 | 1本のpillar(網羅記事)へ | 業種ごとに分散していた近い内容を1本に集約 |
| ChatGPT入門の薄い記事 3本 | 2本へ | 重複部分を畳み、入門の導線を整理 |
| クーポン狙いの薄い記事 2本 | 実体のある記事へ | 訴求だけで中身の薄かった記事を本文のある記事に統合 |
リダイレクトの実装は public/.htaccess で行いました。Apache系のサーバーで動くサイトであれば、.htaccess に転送ルールを書くことで、旧URLにアクセスがあった場合にサーバー側で301を返し、統合先へ恒久転送できます。これにより、検索エンジンは「このページは恒久的にこちらへ移った」と理解し、旧URLの評価を統合先に引き継ぎつつ、旧URLをインデックスから落としていきます。
「6本を1本に畳む」という判断について補足します。一見、6本あったほうがカバー範囲が広く見えますが、内容が近い6本は互いに検索評価を食い合います(キーワードのカニバリゼーション)。これを1本の網羅記事に集約すると、評価が分散せず一本に集まり、しかも網羅性が上がるため、読者にとっても「この一本を読めば足りる」状態になります。本数を増やすより、薄い重複を畳んで密度を上げる、という方針がここに具体化されています。
E-E-A-T、とりわけExperience(実体験)を入れる意味
立て直しのもう一つの柱が、E-E-A-T、なかでもExperience(経験)の補強です。E-E-A-Tは、経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字で、Googleが品質評価で重視する観点です。YMYL領域では特に効きます。お金の話を、実際にやったこともない人が一般論で語っているのか、それとも自分で手を動かした人が一次情報で語っているのかを、Googleは見ようとします。
そこで、全公開記事に運営者の実体験セクション(私のサイトでは <Experience> というコンポーネントにしています)を完備させました。さらに、サイトの主要なハブ記事には、運営者が実際に体験して得た一次情報を追記しました。一般論ではなく「自分はこうやってこうなった」という具体です。
ただし、ここでも線引きは崩しません。Experienceが効くからといって、実体験が無いのに体験談を創作するのは完全にNGです。これをやると、E-E-A-Tを上げるどころか、嘘の体験談として景品表示法に抵触するリスクを抱えます。だから、実体験のメモがある記事はそれを言語化し、無い記事は無理に埋めず、運営者の記入待ちとして未公開のままにする、という運用にしました。「実体験を入れることが大事」と「実体験が無いのに創作してはいけない」は、矛盾せず両立させるべき二つのルールです。
フラッグシップとして、サイトの主題を体現する網羅記事(pillar)を、実体験入りで公開しました。これによって「このサイトは何の専門家が、何を一次情報として語っているのか」が明確になります。新規ドメイン × 量産 × YMYLの不利を、最終的にひっくり返す力があるとすれば、それはこの「実体験に裏打ちされた密度」だと考えています。
再申請までの段取り:実質改善と再クロール待ちの両方が要る
立て直しが終わっても、すぐに再申請して通るわけではありません。ここを誤解すると時間を無駄にします。重要なのは、同じ状態での再申請はGoogle側が自動的に弾く、という前提です。実質的な改善と、その改善をGoogleが認識するための再クロール期間、その両方が必要になります。
私が踏んだ段取りはこうです。まずSearch Consoleでsitemapを再送信し、主要記事の再インデックスを申請します。これは「中身を変えたので、もう一度見に来てほしい」という合図です。次に、おおむね2〜4週間の再クロール待ちを置きます。Googleが統合したURLのリダイレクトを認識し、薄いページが索引から落ちていくには、この時間が要ります。即日では反映されません。
そして再申請の前に、必ず確認することがあります。統合した記事がきちんとリダイレクト扱いになっているか、そして畳んだ薄いページが検索インデックスから落ちたか、です。これがまだ反映されていない状態で再申請すると、Googleは依然として旧い(薄い・重複した)状態を見ている可能性があり、また弾かれます。改善が「Googleに見えている」ことを確認してから再申請する、という順番が大事です。
なお、立て直しの過程で、プライバシーポリシーのAdSense・Cookie開示はすでに完備していること、内部リンクの404はゼロであること、法務的なチェックはPASSしていることも確認しました。これらは審査の土台であり、欠けていると中身以前の問題で落ちます。私のケースではここは元から整っていたので、本丸である「重複・薄さ・一次情報」に集中できました。
まとめ:AI量産の出口戦略は「畳む・濃くする・一次情報を足す」
ここまでの工程を振り返ると、AIで量産したサイトの立て直しは、次の三つに集約できます。畳む(重複を301で統合し本数を絞る)、濃くする(薄い記事を意思決定に使える密度まで加筆する)、一次情報を足す(実体験を入れてE-E-A-Tを上げる)。この三つです。
そして特徴的なのは、その作業の多くをAI自身にやらせたことです。重複の洗い出しも、薄い記事の特定も、加筆も、Claude Codeに実行させました。AIに作らせ、AIに畳ませる。この両輪で回したのが今回のポイントです。ただし、何を書いてよくて何を書いてはいけないか、具体的にどれを統合するかという最終判断と境界設定は、人間が握り続けました。捏造させない制約をかけ続けたのも、人間の仕事です。
最後に、繰り返しになりますが但し書きを置きます。本記事は一つの事例にすぎず、ここに書いた手順でAdSenseの審査が通ることを保証するものではありません。Googleの審査基準は非公開で変動し、サイトの状況によって結果は変わります。AIで量産したこと自体が悪いのではなく、その結果生まれた「重複・薄さ・一次情報の欠如」が問題だった、という整理を共有するための記録として受け取っていただければと思います。同じように三重苦で詰まっている方の、考え方の一助になれば幸いです。