プロトタイプにおけるAPIの利用ランキング
プロトタイプにおけるAPIの利用ランキング2020年度版を出してみましたよ。(ここで言うAPIとは、Hackableな素材全般:API,デバイス,ハードウェアなどを便宜的にひっくるめて言っています)
ハッカソンや開発コンテストなどで作られたプロトタイプ作品の登録サイトProtoPediaには、現在1,600を超えるプロトタイプが登録されており、各作品に制作にあたって使用したAPIなどの素材が紐付けられております。
※例:断末魔レモン搾り には、素材としてAWS、Twilio for KDDI Web Communicationsなどが紐付けられています。
今回はこのProtoPediaに登録された全作品データ(2018年以降の約1,600作品)に紐づく、APIを抽出しランキング化しました。
まずは上位5位まで作例と共に紹介いたします。
※注意:ProtoPediaに登録されているプロトタイプは、一般社団法人MAが運営するハッカソンやコンテスト、それらと近しいコミュニティ活動での登録が割合としては多いため、国内のスタンダードであると言い切る事はできません。よって、それを念頭においていただき、ご確認ください。
■Messaging API (LINE)が利用1位!
Messaging APIを利用することで、LINEのトークルーム上でサービスを提供することができる。
比較的プロトタイプまでの実装がしやすいのと、ユーザーインターフェースをLINEに依存できるので、ハッカソンなどのプロトタイピングでは非常によく使われる傾向があります。
■第2位 kintone API
ハッカソンなどにおける、kintoneの使われ方は少し違います。
主にバックエンドのデータベースとして使用されることがおおく、REST APIを利用し、他サービスやデバイスとの連携でkintoneのデータベースを活用されます。
公式でもハッカソンでkintoneを使おう!
というBlogを公開しているくらい、プロトタイピングには有用です。
作例:ロジねこ
■第3位 Arduino
AVRマイコンや入出力ポートを備えた基板、Arduino言語や専用の統合開発環境によって構成されるシステム。ProtoPedia上では細かなバージョンの違いなどは無く、ひとくくりで登録されています。
IoTやメイカームーブメントなどに押され、ここ数年でProtoPedia上での作品登録数は非常に伸びています。
作例:授心機
■第4位 Microsoft Azure
マイクロソフトが提供する、現在も拡大を続けるクラウド サービスの集合体。PHP,Node.jsや、Linuxも使用可能。
作例:じゃんけん魔法陣
■第5位 Twilio for KDDI Web Communications
電話&SMSならびにあらゆるコミュニケーションを簡単に実装することができるAPI。
Twilioでは、現在「Twilio オンラインコンテストが開催中です!(2020年4月-8月)興味ある方はぜひご参加ください!
https://we-are-ma.jp/news/protopedia-kddi-webcommunications/
作例:Push痛知
上位20位を5年前と比較
ProtoPediaを運営する一般社団法人MAのメンバーでは、時々このようなデータを公開しており、以前公開した2015年時点のデータと比較し、一覧化いたしました。
5年前はスマートフォンアプリケーションのプロトタイピングがまだまだ多く生み出されていた実験的時期でありましたので、mBaaSの利用数などは相対的に多かったようですね。
5年前と様々に技術トレンドも変わっておりますが、特筆すべき点を3つ以下にあげそれぞれについて簡単にコメントを残しておきます
①会話によるインターフェース
筆頭となったLINE のMessaging APIを代表し、コミュニケーションAPIのTwilioなどから、VoiceUI(Alexaなど)まで、ユーザーインターフェースが静的なものから、会話により有機的に変化する動的なインターフェースに移行していっています。
このトレンドは引き続き続いているものと感じており、音声、テキスト、アバター、など複合的な領域で成熟していくと思われます。
②IoTやハードウェアの簡単な実装
ハッカソンやコンテストに応募される作品も、IoTやハードウェアなど物理を伴う作品が非常に増えてまいりました。
また、物理世界とソフトウェアをつなぐ際の仕組みとして、kintoneAPIや、DateSpiderや、AWSA、MicrosoftAzureなどのクラウドの総合サービスを使用される割合も増えております。
こちらも引き続き続くトレンドだと感じており、より一層、シームレスにハードとソフトを繋ぎ合うハブサービスの存在感がプロトタイピング領域では注目されそうです。
③VRの台頭
Vtuberやアバターの利用などが一般的になっていくにつれ、VR作品も増えてきました。
以前はHMDを持つ人のための限られたプラットフォームとして認識されがちだったのかもしれませんが、今ではプロトタイピングのアウトプットの1つとしてVRを使用したインターフェースを検討するケースが増えてきたと感じております。
試行錯誤がまだまだ続く領域だからこそ、引き続き盛り上がっていくのではないでしょうか。
2015年と2020年のAPI利用ランキング上位20の比較
プロトタイプ作品はProtoPediaに登録しよう!
ProtoPediaは、ITクリエイターの「つくろう」や「つくった」を発表する場で、日頃の制作活動にて生まれたモノやコトを記録、登録するWEBサイトです。
誰でもいつでも登録可能です。
以下に登録方法をまとめておりますので、ご覧いただきぜひご登録ください!
[ProtoPediaの作品登録の仕方](https://qiita.com/WeAreMa/items/747f66027e363183884e)
最後に
APIやHackableなサービスを提供されている、団体・企業の皆様。
ハッカソンやコンテストを通じて、サービスの利用を促進したり、開発者の方に使ってもらいたいという方は、ぜひProtoPediaを通じて様々な取組をしませんか?
興味ある方は以下一般社団法人MAのサイトよりお問い合わせください!
https://we-are-ma.jp/contact/