アクセス解析を見ながら、放置ゲームのバランスを調整した記録
ブラウザで遊べる放置系クリッカー「ヒマネジ」を、実装は Claude Code、レビューは Codex という分担で作っています。公開してからの数週間、Google アナリティクス 4(GA4)の数字を見ては、バランスと序盤の作りを直してきました。当たったことより、外れたことのほうが多かったので、その記録です。
- 遊べるところ: https://scgf.net/neji/ (無料、登録不要、日本語・English・繁體中文)
どんなゲームか
機械を叩いてお金を稼ぎ、そのお金で機械を買い足して、工場を大きくしていくゲームです。放っておいても機械が働くので、叩くのをやめても稼ぎは増えます。
ある程度育ったら「転生」をします。育てた工場をいったん手放すかわりに、「設計図」という恒久の強化の元手がもらえて、次の周は速く育ちます。さらに育つと、ロケットを「打ち上げ」て次の星へ進めます。星は全部で6つで、進むほど値段も稼ぎも大きくなる作りです。全部の星を踏破したあとには、星をまとめてやり直す「銀河転生」が待っています。
後半には、連打すると床に出る「基盤チップ」という第二の通貨があります。集めると、叩く人向けの強化ツリーを伸ばせます。
計測の前提
ゲームには、節目ごとに1回だけ送るイベントを入れています。最初のタップ、最初の機械、最初の解放、最初の転生、最初の打ち上げ、最初の銀河転生です。これを順に並べると、どこで人が止まるかが見えます。転生や打ち上げのような繰り返しのイベントは、回数と人数を別々に取っています。
数字が膨らみすぎていた
最初に気づいたのは、よく遊んでくれている方の動きでした。1つの星で転生を何十回も繰り返し、設計図(転生でもらう恒久の強化)が桁違いに増えています。そうなると1周が数秒で終わって、何を押しても数字が伸びるだけになります。実際に、押しても手応えがない、という声も届きました。
そこで、10月10日に次の5点を変えました。
- 使っていない設計図のボーナスを、設計図の数ではなく桁に比例させた
- 打ち上げたときの設計図2倍を、その星で初めて打ち上げたときだけにした
- 転生でもらう設計図の増え方を、緩やかにした(最初の転生の量は据え置き)
- 星が進むごとに、稼ぎの伸びを10分の1にした
- 銀河の欠片の基準を、設計図の伸びに合わせた
効果は、1日あたりの転生回数を、転生した人の数で割って見ました。
| 日 | 転生した人 | 転生の回数 | 1人あたり |
|---|---|---|---|
| 10/8 | 330人 | 7,188回 | 約22回 |
| 10/9 | 258人 | 8,576回 | 約33回 |
| 10/10 | 162人 | 3,253回 | 約20回 |
| 10/11 | 151人 | 2,827回 | 約19回 |
| 10/12 | 131人 | 2,746回 | 約21回 |
調整の前後で、1人あたりの転生は約33回から約20回に減りました。ただし、この比較はきれいではありません。遊ぶ人の顔ぶれも同時に変わっていて(新しく来た人が減り、よく遊ぶ人が残っている)、調整だけの効果とは言い切れません。
もう一つ、意図どおりにならなかった数字があります。打ち上げの回数は、転生した人1人あたり1日11〜13回のまま、ほとんど動いていません。1つの星で育てたら次の星へ進む流れにしたかったのですが、周回する人はまだ周回しています。ここは未解決で、次に直す箇所です。
序盤で人が離れる場所と、効かなかった施策
新規の人の動きを節目ごとに追うと、最初の機械を買う人は約4割でした。残りの約6割は、そこに届く前に離れています。最初の機械を買った人は、約94%が最初の解放まで進み、そこから最初の転生に届くのは約52%でした。
最初の1分が弱いと考えて、「機械をタップ!」の案内を新規の半分にだけ出す A/B テストをしました。
| 最初のタップ | 最初の機械を買った | 割合 | |
|---|---|---|---|
| 案内あり | 86人 | 70人 | 81% |
| 案内なし | 99人 | 81人 | 82% |
ほとんど差がありません。人数が少ないので断言はできませんが、タップの仕方が分からないことは、離脱の主な原因ではなさそうです。そこで、案内は全員に出す形に戻し、仮説を変えました。タップしたあとに何をすればいいかが分からないのではないか、という見立てです。いまは、最初の機械が買えるようになった瞬間に、買うボタンを光らせて「機械を買ってみよう」と出しています。この効果は、これから見ます。
第二通貨は、シミュレーションと自分のセーブで確かめた
連打すると出る「基盤チップ」(第二通貨)を足すときは、強すぎないかをシミュレーションで確かめました。自動で遊ぶプレイヤーに、叩いている時間の割合(100%、約33%、約10%)を持たせて、星を踏破するまでの時間を比べます。
最初から全部の強化が使える形だと、踏破までの時間が約27〜30%短くなりました。叩く人が、いきなり3割近く速くなります。そこで、解放を最初の打ち上げのあとに遅らせ、値段を2倍にしたところ、短くなる幅は、叩く割合100%で21%、約33%で10%、約10%で14%に収まりました。
設計の穴は、自分のセーブデータを調べて見つかりました。銀河転生を5回しているのに、最初の星は打ち上げていない状態で、解放の条件を満たしていなかったのです。このままだと、この人には基盤チップが一生出ません。条件に「銀河転生をしたことがある」を加えて、直しました。
数字の限界
見ていて気づいたのは、母数の小ささです。公開直後の X での広がりが落ち着いて、1日に新しく来る人は、1,100人台から50人台まで減りました。翌日に戻ってくる人は、新規の3〜4割ほどです。A/B テストのように、数十人単位の差は、まだ判断材料になりません。いまは、数字で見えた方向を、次の仮説にして、少しずつ直している段階です。
ヒマネジは、いまもベータ版です。感想や不具合は、サイトのお問い合わせか、itch.io のページで受け付けています。序盤の進め方はこちらの記事にまとめました。
