はじめに
初めまして、株式会社ウイズ・ワン、ServiceNow担当のH-Hです。
ServiceNowはエンドツーエンドによるプラットフォーム開発の実現に向けて、生成AI機能のリリースに力を入れています。
その中でも「Now Assist」は特にリリースが活発で、記事執筆時点もその勢いは衰えていません。
本記事ではまずNow Assistの概要を示した後、使用できる機能を独自に6つに分類して説明したいと思います!
本記事は2025/03/31時点での情報となります。
~関連リンク~
Now Assist スキル
ServiceNow World Forum 2024 基調講演
Now Assistとは?
Now AssistはNow Platform上の様々な製品に生成AIを適用した機能を提供します。
対応言語は基本英語ですが、日本語でも使用することができます。
※日本語での使用は現時点で様々な不具合があります。
【プラグインインストール条件】
各製品ごとに「Now Assist for ○○」という名前のプラグインが用意されています。
製品のPro Plus以上のライセンスを購入していればインストールすることができます。
例:Now Assist for ITSM を使用したい場合
「IT Service Management Pro Plus」または「Enterprise Plus」ライセンスが必要です。
開発者向けの製品「Now Assist for Creator」は各製品のライセンスに含まれないため、別途ライセンス購入する必要があります。
【試用したい場合】
現在PDIでは Now Assist製品をインストールできませんが、Now LearningのNow Assistコースで一部の機能を試すことができます。
インスタンスが使用できるコース例:
- Now Assist for IT Service Management (ITSM) Essentials
(Dec 2024 Store Release) - Now Assist for Human Resources Service Delivery (HRSD) Essentials
(Dec 2024 Store Release) - Now Assist for Creator Essentials (2025 Q1 Store Release)
~関連リンク~
Now Assist FAQs
Now Assist スキル
Now Assistの翻訳
「スキル」と「アシスト」
Now Assistの各種機能を「スキル」と呼び、スキルを使用するためには「アシスト」と呼ばれるクレジットを消費します。
アシストの使用状況確認
[Subscription Management] > [All Subscriptions]から確認することができます。
アシストは別途購入が必要です。
![]() 参照:Now Assist 使用状況の監視 画像引用元 |
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スキルごとに消費するアシスト数は異なります。
1回実行で1アシストしか使用しないものから、2500アシスト使用するスキルもあるので、実行前に確認することが大切です。
※関連リンク「Now Assist Overview」参照
~関連リンク~
Now Assist Overview
サブスクリプション管理 での Now Assist 使用状況のモニタリング
スキルが使用できる場面
スキルが使用できる場合、Now Platformの画面上では「Now Assistアイコン」と呼ばれるAIスパークルマーク(✨)が表示されるようになります。
アイコンが確認できる場面
- レコードのフォーム上(コアUIやワークスペース)
- プレイブックやフローの作成開始画面
- テキストボックスに文字を入力する際
Now Assist Panel
一部のスキルは「Now Assist Panel」から使用することができます。
Now Assistのスキルを使用するためのチャットウィンドウです。
有効化されている場合、ヘッダーにNow Assistアイコンが表示され、そこからウィンドウを展開できます。
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Now Assist コンテキストメニュー
1.レコードの要約
概要
情報量の多いレコードの要約を表示するスキルです。
レコード要約スキルは、ほとんどの場合、レコードの特性に対応する各Now Assist製品に含まれています。
【要約可能なレコードの例】
利点
-
レコードとそれに関連する情報を要約することで、全容を体系的に把握できます。
-
要約内容のコピー・ペーストを活用して関連資料の作成時間を短縮できます。
-
チャットに途中から参加したエージェントは、要約から素早く会話の状況を理解することができます。
こんな場面で便利
- 過去のインシデント情報を見返さずとも、まとめて要約することで内容を把握できる。
⇒インシデント担当者の対応時間を削減! - チャットでのコミュニケーションの流れを要約することで、チャットを遡って確認する必要がなくなる。
⇒対応担当者が途中で変わっても、状況を理解しやすい!
日々の業務の中にある資料確認の時間を削減することで、生産性を上げることができます。
なお、生成された要約が間違っている可能性もあるため注意が必要です。
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Now Assist コンテンツとレコードのサマリースキル
レコードの要約
2.レコード要約を活用したスキル
概要
レコードの内容を基に要約を生成し、その要約をレコードの作成や編集に使用するスキルです。
【スキルの例】
-
タスクベースのレコードをクローズする際に、レコードの解決までの流れを要約して解決メモに使用する。
-
解決済みのインシデントの内容からワークアラウンドに関するナレッジ記事を生成する。
-
ITOMのイベント管理にてアラートの内容から分析結果を提供する。
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チャット中にインシデントを作成する際に、チャット内容から簡単な説明・説明フィールドを自動入力する。
利点
-
多くの関連情報を含むレコードの内容を、理解するために必要な時間を削減できます。
-
レコードの内容を理解する時間だけでなく、その先の解決メモやナレッジ記事を作成する時間まで短縮できます。
こんな場面で便利
-
要約を活用することで、問題の解決方法の記録が簡単になる。
⇒担当者が解決策をナレッジ記事や解決メモにまとめる時間を削減! -
プロジェクトマネージャーに、メールでレコードの要約を送信できる。
⇒レコードを詳細に確認する手間を省略できる!
⇒報告メールを作成する時間も削減!
情報を要約する時間だけではなく、文章を考えて入力する時間までもスキルで削減できます。
生成結果をそのまま使わず、参考にするだけでも役に立つと思います。
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Now Assist コンテンツ生成スキル
Now Assist 分析スキル
プロジェクトサマリーをメールで送信
3.対話型で使用するスキル
概要
Now Assist Panel上で会話のやり取りをして実行するスキルです。
ユーザーが会話を開始すると、スキルの実行に必要な情報を質問されます。
チャット形式でスキルを実行できるため、プロンプトの知識があまりないユーザーも簡単にスキルが使用できます。
【会話型のやり取りスキルの例】
-
チャットで指定したインシデントについて、類似する過去のインシデント等の関連情報を提供する。
-
重複する構成アイテム(CI)の確認と、除外テンプレートを使用した削除を実行する。
-
任意のリストへの移動し、チャットで指示のあったフィルター条件をリストへ適用する。
Now Assist Panel上での会話の例
(会話開始時に何をしたいか質問される様子)
![]() 参照:Now Assistパネルを使用したインシデントに関する質問 画像引用元 |
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利点
- 自然言語での会話により、プロンプトの知識がない方でも使用可能です。
- Now Assist Panelからいつでもスキルを実行することができます。
こんな場面で便利
-
インシデント担当者が、レコードに関連する情報を会話形式で検索できる。
⇒複雑な検索条件を設定する手間が省ける!
⇒Now Assist Panelで情報を検索・表示できるので、ページ移動の手間を減らせる! -
CMDB管理者はチャット上で、重複した構成アイテム(CI)を修正できる。
⇒本来別のページで行う複雑な作業を、Now Assist Panelで完結!
⇒プレビューを表示できるので、安心して重複を修正できる!
Now Assist Panelがヘッダーから簡単に起動できることを生かしたスキルです。
対話型で使用するスキルは、構成アイテム(CI)の削除など、操作を代行してくれるものが増えてきています。
~関連リンク~
インシデント支援
重複する構成アイテム (CI) を管理する
ナビゲーション
4.推奨事項の提案
概要
エージェントに対して、文章の作成や実行すべきアクションといった推奨事項を提案するスキルです。
【生成できる推奨事項の例】
- エージェントチャットでの返信内容
- インシデントやケースに関連付けられたメール本文、またそのメールテンプレート
- ナレッジ記事の本文を詳細化・簡素化する際の文章
- セキュリティインシデントで応答タスクを作成するための推奨アクション
推奨事項の例
![]() 参照:Now Assist コンテキストメニューを使用して記事を編集する 画像引用元 |
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利点
-
エージェントからのチャットの返信が早くなることで、エンドユーザーの満足度が向上します。
-
メールの作成に要する時間を短縮できます。
-
セキュリティインシデントの関連情報を確認せずとも、素早く応答タスクを作成できます。
こんな場面で便利
- ユーザーからのチャットにどう返信すればいいか提案させる。
⇒エージェントがチャット返信に悩む時間を削減できる!
⇒迅速な対応で、エージェントの生産性とユーザーの好感度が向上! - レコードからメールを作成する際に、その内容を提案させる。
⇒エージェントがメール内容を考える時間を削減できる! - セキュリティインシデントの解決手順を推奨されるアクションから作成できる。
⇒解決のためにどんなアクションを取ればいいのか、悩む必要がなくなる!
全体的に、どのような内容でどのアクションを取ればいいのか提案してくれるイメージです。
どんな作業をすべきか示してくれるので、作業効率の大幅な向上が見込めます。
~関連リンク~
Now Assist 推奨スキル
チャットの推奨
メールの推奨文
ナレッジコンテンツの推奨事項
セキュリティインシデントの推奨アクション
5.開発者向けの生成(Now Assist for Creator)
概要
Now Assist for Creatorには、開発者のための生成スキルがそろっています。
例えば、テキストベースのプロンプトで作りたい要件を説明することで、要件に沿った開発物を生成できます。
また、生成結果をプレビューしてプロンプトを修正し、再生成することもできます。
【生成できる開発物】
- フロー
- コード(修復スクリプトやクライアントスクリプトなど)
- プレイブック
- アプリケーション(App Engine Studio向け)
- データの可視化(Platform Analytics向け)
- カタログアイテム
- スポーク
- エクスペリエンス (UI ビルダー向け)
利点
-
生成結果を編集する形で開発作業が行えるため、作業時間を大幅に短縮できます。
-
開発知識があまりない初心者の方でも開発作業が可能になります。
-
コードのリファクタリングが容易になります。
こんな場面で便利
-
生成したコードを改良する形でスクリプティング作業ができる。
⇒コーディング初心者でも安心して作業ができる!
⇒ServiceNowに適したコードが生成されるので、冗長性を排除しやすい! -
プレイブックのアウトラインをAIに作成させる。
⇒アクティビティを一から追加する必要がなくなり、作業時間を短縮できる! -
Platform Analyticsダッシュボードに必要なデータを作成できる。
⇒Now Assist Panelで、データ情報を生成。データソースを探す手間を削減!
AIに開発作業をアシストさせることで効率アップが期待できます。
開発作業の時短につながることはもちろん、経験に乏しい初心者にとっても開発のハードルが下がるので嬉しい機能ですね。
~関連リンク~
Now Assist for Creator Essentials
Now Assist Creator ワークフローのスキル
6.AI検索の検索結果向上
概要
ServiceNowのAI検索には、Genius結果というベストアンサーを表示する機能があります。
このスキルではGenius結果に生成AIを使用することで、より関連性の高い検索結果をユーザーに提供します。
Now Platform上と仮想エージェントどちらのAI検索にも使用することができます。
【スキルが使用できる検索対象】
- カタログアイテム
- ナレッジ記事
- トピック(仮想エージェントの場合)
利点
-
各レコードの検索結果が改善されます。
-
AIによって要約されたナレッジ記事を確認することで、問題解決の時間が短縮されます。
こんな場面で便利
-
複数のナレッジ記事を参考にした要約を、検索結果に表示できる。
⇒ナレッジ記事を全文読む必要がなくなる!
⇒複数のナレッジ記事を確認する手間がなくなる! -
仮想エージェントの検索結果で開始する会話(トピック)が選べるようになる。
⇒開始する会話を事前確認できるので、手戻りを防ぐことができる!
検索結果の性能が向上することでセルフサービスが改善されます。
必要な情報がすぐ見つかるようになるので、問い合わせ数の減少と満足度の向上につながります。
~関連リンク~
AI 検索での Now Assist
Now Assist in Search Implementation (Feb 2024 Store Release) [日本語]
おわりに
今回は、Now Assistの概要と、使用できる機能を独自に6つに分類して説明しました。
Now AssistはServiceNowの中でも、機能の追加・強化が盛んな分野です。
今後も続々と便利なスキルが追加されることが予想されます。
また、日本語対応についても今後の改善に期待ができます。
これから新たにNow Assistを使用してみたい方は、関連リンクやNow Learning等で詳細な機能を確かめてみてください!
また、既にベースとなる機能を使用している方は、対応するNow Assist製品での業務効率化をご検討ください!
本記事がNow Assistへの理解を深める一助となれば幸いです。
掲載情報は2025/03/31時点での情報です。
また、実際にこれら機能の導入を検討する際は、必ずご自身でデータの利用規約や取り扱いに関する最新の情報を確認し、所属組織と相談・合意の上でご使用ください。