金ETF比較:GLD vs GLDM
はじめに
金ETFには代表的な銘柄としてGLDとGLDMが存在します。どちらも金の価格に連動するETFですが、証券会社によっては手数料が異なったことから、何が違うか整理整頓したいと思いましたので調査結果を共有します。
前提条件・環境
- 本記事のデータは2025年11月時点の情報に基づいています
- 株価、出来高、手数料体系は変動する可能性があります
- 投資判断は自己責任でお願いします
比較表
| 項目 | GLD | GLDM |
|---|---|---|
| 正式名称 | SPDR Gold Shares | SPDR Gold MiniShares Trust |
| 経費率 | 0.40% | 0.10% |
| 1株あたり金保有量 | 約 1/10 オンス | 約 1/100 オンス |
| 株価水準(2025/11) | 約 369 USD | 約 79 USD |
| 出来高 | 約 650万〜720万株 | 約 380万〜710万株 |
| NAV乖離率 | ±0.3% 以内 | ±0.3% 以内 |
| 日次リターン相関 | ≒ 0.999(ほぼ完全一致) | ≒ 0.999(ほぼ完全一致) |
| 適した投資家 | 短期・大口・流動性重視 | 長期・低コスト・小口投資家 |
終値比率の長期推移
当たり前といえば当たり前ですが、GLDとGLDMの終値比率を長期的に観察すると、右肩下がりの傾向が確認できます。これは両ETFの経費率の差が、時間とともに価格比に影響を与えるためです。
取引戦略に活用することを検討したいところですが、資金効率やコスト負けのことを考えるとあまり現実的ではないかもしれません。
GLDとGLDMはどちらも保有する金を裏付けにしたETFですが、1株あたりの金の保有量が時間とともに減少する仕組みがあり、その減少率が2つのETFで異なることが「価格比率がじわじわ低下している」主な理由です。
経費率による影響:
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手数料の差: GLDのスポンサー手数料は年0.40%、GLDMは年0.10%です。GLDは毎日NAVの0.40%をスポンサーに支払うため、信託の運営費を賄うために保有する金の一部を売却します。GLDMも同様に金を売却しますが、手数料は0.10%なので売却量が少なくて済みます。この差が長期的に影響を与えます。
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リターンの差: 2025年6月末時点の公式ファクトシートでは、GLDの経費率が0.40%、GLDMは0.10%と示されています。ETF比較サイトでも「GLDMの低い手数料が長期ではGLDより有利になる」と指摘されており、Kiplingerの記事では「過去5年でGLDMは年率10.8%、GLDは10.5%のNAVリターン」と報告されています。差は小さくても複利効果で拡大します。
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追随誤差の違い: GLDは金価格に対する追随誤差が−3%ほどあり、主因は経費や取引コストです。GLDMは経費率が低く追随誤差も+0.1%程度にとどまります。このため、GLDの価格は金の動きよりやや遅れやすく、GLDMはほぼ金と同じペースで動きます。
こうした違いから、両者の価格比(GLD/GLDM)は年0.3%程度のペースで縮小します。チャートが右下がりになっているのは、GLDMの方が運用コストの影響が小さいため、長期的にGLDよりわずかに高いパフォーマンスを続けるためです。
