LACP EtherChannelを使ったスイッチ間リンクの統合【CCNAラボ】
ネットワークの運用では、「冗長化」と「帯域幅の拡張」は常に重要なテーマです。
その両方を同時に解決してくれるのが EtherChannel です。
複数の物理リンクを1本の論理リンクとしてまとめることで、
スイッチ間の通信をより安定させ、障害時にも自動でトラフィックを分散できます。
今回は、LACP (Link Aggregation Control Protocol) を使って
2本のリンクを束ねる構成を実際に確認していきます。
トポロジー
上のトポロジーでは、
- PC と Server が別々の VLAN (192.168.1.0/24, 192.168.2.0/24) に所属
- SW2 と DSW2 間で 2 本の物理リンク (Gi0/1–2, Gi1/0/1–2)
- LACP によってこの2本を1本の論理リンクとしてまとめます。
LACPとは?
LACP は IEEE 802.3ad 標準で定義されたリンク集約プロトコルです。
Cisco独自のPAgPとは異なり、ベンダーを問わず利用できるのが特徴です。
LACPには以下の2つの動作モードがあります:
| モード | 説明 |
|---|---|
| active | 相手に対して積極的にネゴシエーションを開始する |
| passive | 相手からのLACP要求にのみ応答する |
両端が active の場合、即座に EtherChannel が形成されます。
active × passive でもOKですが、passive × passive は失敗します。
ステップ1:SW2の設定
SW2では2本の物理ポートを1つのグループにまとめ、LACPモードを有効にします。
SW2(config)# interface range g0/1-2
SW2(config-if-range)# channel-group 2 mode active
SW2(config-if-range)# exit
SW2(config)# interface port-channel 2
SW2(config-if)# switchport mode trunk
ステップ2:DSW2の設定
次にDSW2側の設定を行います。
SW2と同じインターフェイス範囲とチャンネルグループ番号を使用することがポイントです。
DSW2(config)# interface range g1/0/1-2
DSW2(config-if-range)# channel-group 2 mode active
DSW2(config-if-range)# exit
DSW2(config)# interface port-channel 2
DSW2(config-if)# switchport mode trunk
両端が active の場合、即座にEtherChannelが確立されます。
この段階で、2本の物理リンクは自動的に1本の論理リンクとして認識されます。
ステップ3:動作確認
EtherChannelの状態を確認
LACPが正常に動作しているかどうかは、以下のコマンドで確認します。
DSW2# show etherchannel summary
Group Port-channel Protocol Ports
------+-------------+-----------+------------------------
2 Po2(SU) LACP Gi1/0/1(P) Gi1/0/2(P)
SU は Layer 2 (S) で稼働中 (U) を意味します。
各ポートに (P) が表示されていれば、LACPリンクがアクティブです。
トランクリンクの確認
続いて、Port-Channelがトランクとして動作しているか確認します。
DSW2# show interfaces trunk
Port Mode Encapsulation Status Native vlan
Po2 on 802.1q trunking 1
この結果が表示されていれば、EtherChannel上でVLANが正常に転送されています。
よくあるトラブル例
-
片側が active、もう片側が passive ではない(不一致)
-
VLAN設定やネイティブVLANが異なる
-
物理ポートのスピードやデュプレックスが一致していない
これらの条件が異なるとEtherChannelは形成されません。
設定前に必ず物理リンクの条件を確認しましょう。
検証コマンドまとめ
| コマンド | 説明 |
|---|---|
show etherchannel summary |
EtherChannelの形成状態を確認 |
show interfaces trunk |
トランクポートの状態を確認 |
show run interface port-channel X |
Port-Channelの設定を確認 |
まとめ
LACPを使用することで、スイッチ間リンクの帯域幅を効率的に拡張でき、
万が一リンク障害が発生してもトラフィックが自動的に別ポートへ切り替わります。
この仕組みはCCNA試験でも頻出のトピックであり、
Packet Tracerや実機を使ったラボ練習に最適です。
