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MetaQuestでUnityのUI操作

Last updated at Posted at 2025-06-12

0. 本記事の内容

Meta QuestでUnityのUIを操作する例としてボタン操作の方法を紹介します。本記事ではまず手やコントローラがボタンと相互作用できることを確認し、そのあとインタラクションの一例としてボタンを押したタイミングでCubeを消す方法を解説します。
GitHubで公開しているサンプルの05-UiInteractionまたは05-UiInteraction-ARシーンでも動作を確認できます。

Button Interaction3

*この動画はAR版ですがAR/VR両対応です。

なお本記事は下記で作成したVRまたはARのシーンで表示している立方体を操作することを前提としています。立方体に特別なコンポーネントが追加されていない、Questで眺めるだけの状態からのスタートとなりますので、他のプロジェクトでも同様の状況であれば本記事と続きの記事の内容を実践することでオブジェクト操作を実現できます。

[VR版]

MetaQuestでオブジェクトを表示

[AR版]

MetaQuestのパススルーを使ったAR表示

1. シーンを複製

上記の記事で作成したシーンを編集することも可能ですが、この既存のシーンを破壊せずにUI操作を試すため、シーンを複製する方法を紹介します。不要な場合は読み飛ばしてください。

  • 上記で作成したVR版またはAR版のシーンを開く
  • File -> Save As... をクリックして現在のシーンを新しい名前で保存
    *本記事ではUiInteractionとします
  • Hierarchyに表示されるシーン名がUiInteractionになっていることを確認

2. UIの作成

ボタンを作成し、3次元空間に配置します。

[ボタンの作成]

  • Hierarchyの空白を右クリック
  • UI -> Button - TextMeshProをクリック
  • TMP Importer(Text Mesh Proのインストーラー)が表示されたらImport TMP Essentialsをクリック
  • TMP Importerを閉じる
  • CanvasとEventSystemが追加されていることを確認

UI作成後のHierarchy

[3D空間への配置設定]

  • Canvasを選択しInspectorでCanvasコンポーネントを見つける
  • CanvasのRender ModeをWorld Spaceに変更
    *UIはデフォルトでは画面上に配置されますが、この変更により3D空間に配置されるようになります
  • Canvasの子要素のButtonのPosXPosY0に変更
  • CanvasのInspectorのパラメータを操作してUIのサイズを下記のように調整
    Position X: 0 Y: 1.2 Z: 0.8
    Size Width: 200 Height: 90
    Scale X: 0.003 Y: 0.003 Z: 0.003
    *図中の白い枠がCanvasのエリアを表しています

Canvas設定画面

3. CanvasをQuest対応にする

現段階ではUIを作っただけで、Meta Questで使用するコントローラや手とのインタラクションができないため、基本的なインタラクション設定を行います。

[Pointable Canvasの設定]

  • Canvasをクリックし、Inspector下方のAdd Componentをクリック
  • Pointableで検索し、候補に表示されるPointable Canvasをクリックして追加
  • 追加されたPointable CanvasのCanvasの右のエリアにHierarchy内のCanvasオブジェクトをドラッグ&ドロップ

Pointable Canvas設定画面

[EventSystemの設定]

  • HierarchyでEventSystemを選択
  • Add Componentをクリックし、Pointable Canvasで検索
  • Pointable Canvas Moduleをクリックして追加
    *通常の入力ではなくMetaが提供するPointable Canvasへの入力を使用
  • Pointable Canvas ModuleのExclusive ModeチェックをON

4. 3D空間でのUI判定領域設定

Meta XR SDKでは、UI(Canvas)と手やコントローラとの相互作用のために、3次元空間での判定領域を別途設定する必要があります。

[接触判定用オブジェクトの作成]

  • Hierarchyの何もない空白を右クリックしCreate Emptyをクリック
  • 生成されたGameObjectの名前をSurfaceとする
    *名前は何でもOK
  • SurfaceをクリックしてTransformに注目
  • Surfaceオブジェクトの位置とサイズをCanvasと同じにする
    Position X: 0 Y: 1.2 Z: 0.8
    Scale X: 0.6 Y: 0.27 Z: 1
    *ScaleはCanvasのWidth × Scale(x), Height × Scale(Y)で算出。Zは何でもOK
    *Canvasに対して多少大きくしたり小さくしたりしてもOK

[Surface関連コンポーネントの追加]

  • SurfaceのInspectorのAdd Componentをクリック

  • Plane Surfaceで検索し、Plane Surfaceをクリックして追加
    *これによってSurfaceの位置(=Canvasの位置)の平面がポインタと接触する準備が整います

  • SurfaceのInspectorのAdd Componentをクリック

  • 候補からClipped Plane Surfaceをクリックして追加
    *クリッピング領域でのみポインタとの接触判定が行われるようになります

  • SurfaceのInspectorのAdd Componentをクリック

  • Boundsで検索しBounds Clipperをクリックして追加
    *クリッピング領域を設定するスクリプトが追加されます

[コンポーネント間の関連付け]

  • Clipped Plane SurfaceのPlane Surfaceに注目
  • Surfaceオブジェクトをドラッグ&ドロップ
    *Surfaceオブジェクトの平面に対してクリッピングを適用します
  • Clipped Plane SurfaceのClippersを開き + ボタンをクリック
  • Element 0にSurfaceオブジェクトをドラッグ&ドロップ
    *Bounds Clipperで設定した領域でクリッピングします

Surface設定画面

[オプション]

  • 最後にSufraceオブジェクトをCanvasにドラッグ&ドロップして子要素にします
  • 念のため子要素になったSurfaceのPositionが0 0 0であることを確認

5. インタラクション方式の選択

UIがコントローラや手から出るRayに反応するか、近くで直接UIに触れるPoke操作に反応するかを設定します。どちらか一方でも両方設定してもOKです。

[Rayを使った遠隔操作]

  • Canvasをクリックし、Inspector下方のAdd Componentをクリック
  • Ray Interactableで検索し、候補に表示されるRay Interactableを追加
  • 追加されたRay InteractableのPointable ElementCanvasオブジェクトをドラッグ&ドロップ
    *Rayでの操作とPointable CanvasをリンクさせてCanvas内のUI操作を可能にします
  • Ray InteractableのSurfaceにSurfaceオブジェクトをドラッグ&ドロップ
  • ダイアログが表示されたらClippedPlaneSurfaceを選択
    *Clipped Plane Surfaceで設定された領域のみでインタラクションを可能にします

[Pokeを使った近接操作]

  • Canvasをクリックし、Inspector下方のAdd Componentをクリック
  • Poke Interactableで検索し、候補に表示されるPoke Interactableを追加
  • 追加されたPoke InteractableのPointable ElementCanvasオブジェクトをドラッグ&ドロップ
    *Pokeでの操作とPointable CanvasをリンクさせてCanvas内のUI操作を可能にします
  • Poke InteractableのSurface PatchにSurfaceオブジェクトをドラッグ&ドロップ
  • ダイアログが表示されたらClippedPlaneSurfaceを選択
    *Clipped Plane Surfaceで設定された領域のみでインタラクションを可能にします

インタラクション選択画面

[基本的なインタラクション確認]

ここまでの操作でボタンとのインタラクションが可能になります。動作確認をすると以下の動画のようにボタンをクリックしたタイミングでボタンの色が少し変わっていることが確認できます。

Button Interaction1

6. ボタンイベントの設定

ここでの設定はMeta XR SDKに特化したものではなくUnityの一般的なUIの挙動に関するものです。ここでは一例として、ボタンを押したタイミングでCubeを消してみましょう。

  • Buttonをクリックし、InspectorでOn Clickを見つける
  • 右下の + ボタンをクリック
  • 新たに追加された領域のNoneと書かれた箇所にCubeをドラッグ&ドロップ
  • No Functionと書かれたドロップダウンメニューを開く
  • GameObject -> SetActiveをクリック
  • チェックボックスがOFFになっていることを確認
  • これによってボタン押下時にCubeが非アクティブになります

7. 動作確認

[実機にインストールする場合]

  • QuestとPCをUSBケーブルで接続
  • Unity EditorでFile -> Build Settingsをクリック
  • Build And Runをクリック
  • インストーラ(apk)名を半角英数で設定して保存

[Meta Quest Linkを使用する場合(Windows)]

  • QuestとPCをUSBケーブルで接続
  • Quest内でQuest Linkを起動
  • Unity EditorのPlayボタンをクリック

RayでもPokeでもボタンをクリックしたタイミングでCubeが消えることが確認できます。

Button Interaction2

8. Quest UIインタラクション設定の要点まとめ

操作手順が多くなったため、Quest UIインタラクションに必要な設定の要点をまとめます。

[CanvasをQuestに対応]

  • CanvasにPointable Canvasをアタッチ

[EventSystemをQuestに対応]

  • EventSystemにPointable Canvas Moduleをアタッチ

[QuestがインタラクションできるUI位置や範囲を定義]

  • Plane Surfaceで平面を定義(無限遠の平面)
  • Clipped Plane SurfaceBounds Clipperで範囲を限定

[インタラクション方式を指定]

  • Ray操作: CanvasにRay Interactableを追加
  • Poke操作: CanvasにPoke Interactableを追加

上記の設定により、Meta QuestでUnityのUIとインタラクションが可能になります。

9. Meta XR SDKに関する記事一覧はこちら

Meta XR SDK連載目次

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