こんにちは!日本マイクロソフトのカスタマーサクセスマネージャー高橋です。マイクロソフトのテクノロジーをご活用いただきありがとうございます!今回はPower Platformの全体像について説明したいと思います。
##4つのコンポーネント
Power Platformは以下に示す4つのコンポーネントから成り立つ**”ローコード”開発ツール**となります。
- Power BI - データの中に埋もれた洞察を得やすくする為に、表形式データやテキストデータ等を色々な切り口でビジュアル化するもの。(BIはBusiness Intelligenceの略)
- Power Apps - アプリのUI(画面)を作るための機能。PowerPointに似た操作感で画面を作ることができる。
- Power Automate - その名の通り、各種業務の処理を「自動化」するためのもの。例えば申請業務のワークフロー処理や、データやファイルの読み書き・加工などの処理を仕込める。Power AppsやPower Virtual Agentsから後続処理として呼び出されることも。
- Power Virtual Agents - チャット画面で会話する形式のアプリケーション(いわゆる”ボット”)を開発できる。
ちなみに**「”ローコード” 開発ツール」**とは プログラミング言語を用いた開発が不要な(or 最低限で済む) アプリケーション開発ツールと思っていただければ良いかと思います。
##ところで・・ローコード開発って何が良いの?
ローコード開発とは、上述の通りアプリを**「コーディング」ではなく 「ブロックを組み立てる」方式で開発するもの**です。画面、ボタン、通知などの部品を組み立てながら作るイメージです。そのため私は下図のようなレゴブロックのイメージで説明しています。
このように、組み立て式のアプリ開発ができることにより、アプリ開発の現場に大きく2つの変化が起きました。
##それは・・・「民主化」と「省力化」です。
民主化とは、プログラマーだけがアプリ開発できた時代から、**プログラマー以外の職種の方も開発ができる時代になった、**という意味です。これにより、現場で実際に業務を行っている方自身が主導して開発することも可能となりました。(そもそもテクノロジーは歴史上、常に一部の機関/専門家による利用から始まり一般人に普及する、という”民主化”が常に繰り返されていますよね。)
省力化とは、人がコードを書く必要がないため開発作業が短時間で済む、という意味です。これにより開発を企画してからアプリの価値を享受できるまでの時間(Time to Value)が短縮できます。さらに、開発工程も、**最低限の機能でリリースして、使ってみながら作り変えていく、**というやり方に変わります。
このようにPower Platformは**「ちょっと作ってみよう」という感覚で始められる「身近な」テクノロジー**とお考え下さい。
##どんな領域に適用できるのか?
民主化と省力化を意識し、「業務の汎用性」と「利用者の数」で分類すると、Power Platformは、以下の3つの領域において相性が良いと考えることができます。
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Microsoft 365機能拡張 領域 - Power Platformを用いてMicrosoft 365(Teams/SharePoint/Outlook等)の”ちょっと物足りない”部分に機能を**「付け足し」**できます。弊社では会議調整専用のアプリやTeamsメッセージをワンクリックで保存する機能等を各自で作って、使っていたりします。
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全社・部門業務アプリ 領域 - IT部門等が主導して作成するある程度の規模の全社アプリ/業務アプリを従来の開発手法ではなく”ローコード”で作成してしまおう、という領域です。弊社では勤怠管理や庶務サポート申請などのアプリがPower Apps/Automateなどを用いて開発・利用されています。アプリ開発の省力化メリットが享受できる領域です。
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ロングテール 領域 - 各部門・各チームのニッチな個別業務(マイクロワーク)をデジタル化する領域です。ちょっと自動化すれば随分生産性が上がるような業務でも、従来の開発手法(コーディング=”大袈裟な”開発)だと、十分な人材やROIが見込めない為に、アナログのまま放置されている「ホワイトスペース領域」と言えます。ここはまさにアプリ開発の民主化メリットが享受できる領域で、Power Platformが最も威力を発揮する部分と言えます。
##実は・・Teamsとの相性が抜群
そんなPower Platformですが、実はTeamsとの相性が抜群なのです。第2回目のブログでもご紹介している通りTeamsは、チームワークのハブ、さらには業務のフロントエンドとして利用することを思想として開発されています。
例えばPower Apps/Automateで開発されたアプリはTeamsと以下のように統合可能です。
Teamsとの統合による効果は大きく以下の4点あります。
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チームワークの場にアプリ・ツールを組み込める(タブ) - Teamsは部署やプロジェクトなど様々な単位でチームワークを発揮しながら作業を行うワークスペースとして使われていると思います。**日常的にチャットやWeb会議を実施しているこのワークスペースに業務アプリケーションも組み込めたら、さらに便利になると思いませんか?**一度体験してみるとその便利さに気づきます。
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チャットの中ですぐアクション(カード・メッセージ拡張) - アプリケーションを行き来しながら作業をするのって疲れますよね?TeamsとPower Automateを連携させると、チャットの会話の流れの中でアプリケーションを呼び出して、すぐにアクションを取ることができます。
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業務を繋ぐ(コネクター) - コネクターを使うことで、様々なTeams機能と外部のサービスを接続することができます**(例:作業現場のトラブルをスマホアプリで報告 ⇒ 本部の担当者にTeamsチャット上で通知とともに、アクションを取るためのカード型のアプリが送られてくる)**。まさに、Teamsは業務のフロントエンドですね。
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アプリ配布先としてのTeams - Teamsはみんながデフォルトで使うアプリケーションです。Power Apps/Automateでアプリを作成したら、Teamsに”配る”ことが可能です(そのための管理機能があります)。ユーザーのアプリへの導線がより短くなります。
##まずやってみる
TeamsとPower Apps/Automateの連携を試してみたいと思ったら、まずはテンプレートを試すのが良いかと思います。同僚の中尾さんもこちらで解説しています。また、シナリオが思いつかない、という場合は、チームメンバーと一緒にアイディアソンを実施するのも良いかもしれません。弊社でも今年度(FY21)「業務改善コンテスト(以下)」や「アイディアソン」が数回開催されています。
また、このブログの連載の中でも、簡単に始められるシナリオのご紹介をしていきたいと思います。
いかがでしたでしょうか?Teams プラットフォームという側面でPower Platformを見ていただくと、より便利な使い方が出来ると思いますので是非楽しんで使ってみてください!
(本記事は2021年6月時点の情報に基づきます)