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AIに一発で動いてもらうための「頼み方」

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Last updated at Posted at 2026-10-30

この記事は「[開発をちょっと楽にしたTipsを投稿しよう!by DoctorNet Advent Calendar 2026の記事です。

1.はじめに

AIのコーディングアシスタントを毎日使うようになって、ひとつ気づいたことがあります。
それは、同じAIを使っていても、

「すぐ思い通りに動いてもらえる人」 と 「何度もやり直しになる人」 がいる

ということです。

slide01_nayami.png

そして、その差は プログラミングの経験年数 でも AIの性能 でもなく、AIへの「頼み方」の考え方のちがい から生まれていました。

今回は「AIに頼んでも、結局自分で直すことになる…」と感じている方に向けて、その「考え方のちがい」を具体例でくらべながら、わかりやすくまとめてみました。

この記事でわかること

  • AIに何度もやり直しをさせてしまう「頼み方」の正体
  • AIに一発で動いてもらうための 心得5か条
  • そのままコピーして使える 頼み方テンプレート

2.お題を考えてみよう

まず、こんな作業を考えてみてください。

slide02_odai.png

作りたいもの

  • 社内の「会員管理システム」の改修
  • 画面は React + TypeScript で作られている
  • 会員一覧画面に「検索ボックス」を追加したい

使う人

  • 店舗の 受付スタッフ
  • お客様からの 電話を受けながら、会員を探す
  • 会員数はおよそ 3,000人

使える材料

slide03_zairyo.png

材料 中身
既存のコード MemberList.tsx(一覧画面)
useMembers.ts(データ取得)
会員データの項目 会員No / 氏名 / よみがな / 電話番号 / 最終来店日
チームのルール 入力欄などの部品は components/ui の社内部品を使う

:bulb: あなたならAIにどう頼むか、もしお時間があったら考えてみてください。

登場人物

本記事では、次の二人が 同じAIに同じ作業を頼む 過程をくらべながら、その考え方のちがいを整理してみます。

ベテランエンジニアのAさん
入社8年目。責任感が強く、レビューも丁寧で、先輩からも後輩からも信頼されている。
新人エンジニアのBさん
入社1年目。React の経験は少ないけれど、とても勉強熱心で将来を期待されている。

考え方のちがいを整理した記事ですので、上記の材料しか使えない前提 でお願いします。
「そもそも要件をちゃんと決めろ」「検索はサーバー側でやるべき」など、ご意見はごもっともですが…話が広がりすぎてしまうので、ご了承ください。


3.ベテランAさんの頼み方

slide04_a.png

Aさんは、まず 自分ならどう実装するか を頭の中で組み立てました。
そして、その手順を そのまま AIに伝えます。

1回目の指示

slide05_a_shiji.png

さすがAさん、手順に迷いがありません。
AIも指示どおりに、すぐにコードを書いてくれました。

ところが、動かしてみると…

slide06_a_mondai.png

2回目の指示

Aさんは「説明が足りなかったか」と、手順を 書き足し ました。

Aさんの指示(2回目)
  1. useState で keyword を定義する
  (中略)
  5. 大文字・小文字は区別しない
+ 6. よみがなでも検索できるようにする
+ 7. 電話番号でも検索できるようにする
+ 8. input タグではなく components/ui の TextInput を使う

今度はよみがなでも探せるようになりました。
しかし、また新しい問題が出てきます。

また問題発生!

  • 「ヤマダ」(カタカナ)だと見つからない
  • 電話番号を「090-1234」とハイフンありで入れると見つからない
  • いつのまにか、一覧の 並び替え機能が動かなくなっている

7回目の指示

気配りやのAさん、ぬかりはありません。
問題が出るたびに、丁寧に手順を書き足していきました。

slide07_a_kurikaeshi.png

Aさんの指示(7回目)
  1. useState で keyword を定義する
  (中略)
  8. input タグではなく components/ui の TextInput を使う
+ 9. ひらがなとカタカナを区別しないようにする
+ 10. 電話番号はハイフンを取りのぞいてから比較する
+ 11. 全角数字も半角数字に変換してから比較する
+ 12. 並び替え機能は元のとおり動くようにする
+ 13. ……

Aさんの結果

はい。これで完成です。

slide08_a_kekka.png

どうでしょうか。みなさんの頼み方とくらべて、似ているところはありましたか?


4.新人Bさんの頼み方

一方で、新人のBさんはどうしたかといいますと...

slide09_b.png

まず「使われ方」を想像する

Bさんは、いきなりAIに頼まずに、この検索ボックスがどのように使われるか をじっくり考えてみました。

電話で聞くのは「音」だから、お客様の名前は ひらがなやカタカナ で入力しそうだよね

名前を名乗らずに 「電話番号の下4ケタ」 で探すこともありそう

電話をしながらだから、急いで 入力するよね。ハイフンを入れたり入れなかったり、バラバラになりそう

3,000人くらいなら、画面の中で絞り込んでも重くならないかな?

といった風に、使う人の様子を想像してイメージを固めていきます。

slide10_b_souzou.png

イメージをそのまま伝える

そして、その イメージをそのまま AIに伝えました。

slide11_b_shiji.png

Bさんの指示には、useState も filter も出てきません。
大丈夫でしょうか・・・ :sweat_smile:

AIが質問を返してくる

すると、AIは コードを書く前に、こんな質問を返してきました。

AIからの質問
1. 氏名に漢字が入っていますが、検索の対象は「氏名」と「よみがな」の両方でよいですか?
2. 会員数が3,000人程度とのことなので、画面側で絞り込む方法を考えています。
   将来的に大きく増える予定はありますか?

Bさんは「両方でお願いします」「当面は増えません」と答えました。

AIが方針を出してくる

すると、AIは方針を出してくれます。

slide12_b_ai.png

Bさんは方針を読んで「これでお願いします」と伝えました。
そして、ここでやっと AIがコードを書き始めます。

Bさんの結果

はい。これで完成です!! :tada:

slide13_b_kekka.png

しかも、Bさんが思いついていなかった 「全角数字のそろえ方」 まで、AIが方針の中に入れてくれていました。


5.二人の頼み方をくらべてみよう

二人の結果をくらべてみましょう。どうですか?

ベテランAさん 新人Bさん
やりとりの回数 7回 2回
かかった時間 約90分 約30分
指示の長さ 20行以上(だんだん増えた) 約20行(最初から)
途中でこわれた機能 並び替え なし
指示に書いてあったこと どうやるか(手順) なぜ・何を(目的と完成形)

おもしろいことに、最後の指示の長さは、二人ともほとんど同じ です。
それなのに、結果は大きくちがいました。

なぜ、ここまでちがってしまったのか。二人の手順を復習してみましょう。

Aさんの手順

ベテランのAさんは、自分の頭の中にある実装手順 をそのままAIに渡しました。
AIは手順どおりに動きますが、手順に書かれていないことは考えません。
そのため、Aさんが思いつかなかった問題は、動かしてみて初めて見つかり、そのたびにやり直しになりました。

つまり、Aさんの中で、AIは 「言われたとおりに手を動かす道具」 だったのです。

Bさんの手順

新人のBさんは、まず「どう使われるかをとことん考え」、それを 目的と完成形 としてAIに伝えました。
そして、いきなり作らせずに、質問と方針を先に出してもらいました。
その結果、AIは自分で足りない情報に気づき、Bさんが思いつかなかったことまで方針に入れてくれました。

つまり、Bさんの中で、AIは 「一緒に考えてくれるチームの仲間」 だったのです。

slide14_kurabe.png

このように、二人では AIへの頼み方の「考え方」や「手順」、意識する「ポイント」が大きくちがう ことがわかったと思います。


6.AIへの頼み方の心得5か条

ちがいがわかったところで、ここからは 「AIに一発で動いてもらうための心得5か条」 として、復習をさせてもらいます。

その1.いきなり手順を書かない

Aさんがやってしまっていましたね。
誤解しないでいただきたいのですが、手順を書くことが悪いわけではありません。

手順を書いてしまうと、AIはその手順の外側を考えなくなります。
そして、手順の「もれ」は、書いた本人が一番気づきにくいものです。

手順を書きたくなったら、少しだけがまんして「何のための手順か」を先に書いてみてください。

その2.「だれが・いつ・なぜ使うか」を伝える

Bさんの指示で一番効いていたのは、「電話を受けながら使う」という一文 でした。
この一文があるだけで、AIは「急いで入力する」「耳で聞いた名前を入れる」といったことを想像できるようになります。
コードには書かれていない「使う場面」は、人が伝えてあげるしかありません。

その3.完成のイメージは「例」で伝える

:x: ルールで伝える :white_check_mark: 例で伝える
ひらがなとカタカナを区別しない 「やまだ」「ヤマダ」のどちらでも見つかる
電話番号のハイフンを無視する 「1234」「090-1234」のどちらでも見つかる

例で書く方が、まちがいなく伝わります。
例があると、AIはそこからルールを考えてくれますし、テストを書くときの材料にもなります。

その4.作る前に「質問」と「方針」を出してもらう

これが 一番の近道 です。

頼み方 まちがいに気づくタイミング
いきなり作ってもらう 動かした あと
方針を先に出してもらう 作る 前

直すのにかかる手間が、まったくちがいます。

その5.「守ってほしいこと」を先に伝える

Aさんのときは、いつのまにか並び替え機能がこわれていました。
「社内部品を使う」「並び替えは変えない」など、変えてほしくないこと を先に伝えておくと、余計な修正をされずにすみます。

:gift: おまけ:毎回伝えることはファイルにまとめておく

「社内部品を使う」「テストも一緒に書く」など、毎回伝えることは、AIツールが読みこめる設定ファイルにまとめておくと便利です。
たとえば Claude Code であれば、プロジェクトに CLAUDE.md を置いておくと、毎回書かなくても読んでくれます。

CLAUDE.md
# このプロジェクトのルール
- 入力欄などの部品は components/ui の社内部品を使う
- 既存の機能を変えるときは、先に方針を説明する

心得5か条 まとめ

slide15_kokoroe.png

以上が「AIに一発で動いてもらうための心得5か条」でした。
AIに頼む前に、チェックリストとして使ってみてください。

  • その1 いきなり手順を書いていないか
  • その2 「だれが・いつ・なぜ使うか」を伝えたか
  • その3 完成のイメージを「例」で伝えたか
  • その4 作る前に「質問」と「方針」を出してもらったか
  • その5 「守ってほしいこと」を先に伝えたか

すぐに使えるように、Bさんの指示をひな形にしておきました。よかったらコピーして使ってみてください。

:pencil: AIへの頼み方テンプレート
頼み方テンプレート.md
## やりたいこと
(何を作りたいか・直したいか)

## 使う人と場面
(だれが、いつ、どんな状況で使うか)

## 完成のイメージ
- (「こう入れたら、こうなる」という例)
- (例)

## 守ってほしいこと
- (使ってほしい部品やルール)
- (変えてほしくないところ)

## 進め方
いきなりコードを書かずに、まず「方針」と「変更するファイル」を教えてください。
わからないことがあれば、先に質問してください。

7.おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。

「AIに頼んでも結局自分で直すことになる」「AIはまだまだ使えない」と感じている人向け に、どう説明するとわかりやすいかを考えてまとめたものになります。

AIへの頼み方は、実は 新しいメンバーにお仕事をお願いするときと同じ です。

手順だけを渡すより、「なぜやるのか」「どうなったら完成か」を伝えた方が、相手は自分で考えて動いてくれます。
少しでも、みなさんの開発が 「ちょっと楽」 になったらうれしいです。

この記事では「具体例を通して考え方のちがいを説明」しただけですので、必ずしもすべての場面でBさんの頼み方がよい、Bさんの頼み方が最適解と言っているものではありません。
小さな修正であれば、Aさんのように手順を一言で伝えた方が早いこともあります。(そのため、Bさんを新人にしています。)

登場人物の考え方、手順、やりとりの回数や時間など本記事に掲載している内容は、わかりやすくするために作られたフィクションです。AIの返答は、使うツールやバージョンによって異なります。ご了承ください。

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