はじめに

みなさんこんにちは!

チャットボットによる会話広告プロダクト『fanp』を開発する株式会社ZEALSで、プロダクトマネージャー(以下PM)兼エンジニアをやっている福本です。

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今年はProduct Manager Conferenceの盛況などもあり、”PM”という職種についての世間の理解がより深まった一年だったのではないかと感じています。

しかし、そんな中で色々なPMの方とお会いして話をすると、会社のフェーズや業種によってPMの仕事内容に驚くほど違いがあることがわかります。

この職種の不定形さが、多くのPMの方々(僕含む)を苦しめているのではないでしょうか。

そこで今回は、PMの”役割”ではなく”実際の仕事”にフォーカスして、具体的なPMの仕事をみなさんにお伝えしていきたいと思います。

具体的には、「この記事をプロダクトと見立て、どのようにプロダクトを開発(記事を作成)しローンチ(公開)するか」ということを、実践形式で進めていきます。

この記事を通じて、新しい一歩を踏み出せるPMの方がいらっしゃればとても嬉しいです。

それでは、早速はじめていきます!


1. プロダクトマーケットフィット(PMF):どんな記事が求められているのか

さて、プロダクト作りの前に、まずはプロダクトを投入する市場を知る必要があります。

どれだけ素晴らしいプロダクトを作り上げても、必要とされなければ意味がありません。

pmf.png

今回のプロダクトは「PMおよびPMについて知りたい人向けの記事」ですので、どんなPM記事のニーズが強いのかを調査します。

まずは全体感を把握するため、Googleの『プロダクトマネージャー』の検索結果と、Qiitaの『PM』タグで検索した結果を見ていきましょう。


Google検索

以下、2018年12月10日時点で『プロダクトマネージャー』と検索した結果です。

丹野さんや坂本さんといった日本を代表するPMの方々の記事や、goodpatchさんなどのポータルメディア、Wikipediaなどの百科事典サイトのリンクが検索結果に並んでいます。

ここで重要なのは、『PMとはどういう職種か』『PMに求められるスキルやマインド』といった、「PMとは何なのか」というロールへの理解を深める内容が、全ての記事に共通している要素だということです。

google.png


Qiita

さて、今度はQiitaのProduct Manager AdventCalendar 2018で投稿された記事について見ていきましょう。

(それにしても、今年のPM Advent Calendarはすぐに日程が埋まりましたね..盛り上がってます。)

ここでも目立つのは、「PMの心構え」や「キャリア論」などの、「PMとは何たるか」という記事が多い印象でした。

qiita.png


まとめ

以上ここまでで、PMについて人気のある記事を調べてみた結果、「”PMとは何で、どういった職種や役割なのか”を知りたがっている人が多いのではないか」という仮説を得ることができました。

ちなみに、これはあくまで仮説です。

間違っていると判明した時点で即ピポットしましょう。


2. ターゲットとペインの設定

さて、前の章で得た仮説に沿って、ターゲットとなる人物像を設定し、そこからターゲットの抱える悩みや課題(≒ペイン)を考えていきましょう。

これによって、「誰に何を届けるべきか」という意思決定に必要な思考をクリアにすることができます。

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ターゲット

ターゲットは「”PMとは何か”について知りたがっている人」ですが、これだと解像度が粗いのでもう少し絞り込んでいきましょう。

大切なのは、「プロダクトが誰を救わないか」を決めることです。

万人に向けたプロダクトは、結局誰にも刺さらないものになってしまいます。

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「たくさんの人を少しだけ幸せにするより、少数の人を本当に幸せにするほうが良い」 - Paul Buchheit(Y Combinator)


今回は、ターゲットを思い切って僕のような「新米のPM」に限定してしまいましょう。

なぜかと言うと、「”PMについて知りたがっている人”は、PMになりたて(orこれからなる)の人ではないか」いうことが予測できるからです。

もちろん、他にも色んな人がいるのでしょうが、そこは思い切って捨ててください。


ペイン

さて、先ほどターゲットとして設定した新米PMですが、彼らは一体どのような悩みを抱えているのでしょうか?

ここでは、PMFで調査した”「PMの何たるか」という記事の多さ”という事象から、悩みを逆算していきます。

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この問に対する答えはあまり難しくないかと思います。

それは、「自分がPMになったばかりで何をすれば良いのかわからないから」です。

いきなりPMに抜擢されたら、まず「PMとは何をすれば良いのか」を調べなければなりません。

しかし、PMは会社や業界やフェーズによって仕事の内容が全く異なります。

そのため、調べれば調べるほど「何をすれば良いのか」がわからず、「PMの何たるか」の記事を読み漁ることになるのではないでしょうか。

以上、ここまでで、この記事のターゲットを「”これから何をすれば良いのかよくわからない”という悩みをもつ新米PM」に決定しました。


3. ペインの解決に必要な仕様の決定(PRDの作成):ターゲットがどんな記事を求めているかを具体的にする

ターゲットとペインが決まったところで、今度は新米PMの課題を解決する方法を考えていきましょう。

これは、実際の開発であれば「どんな機能を作るか」というのを決める段階です。

一般的には、この段階で『PRD(=製品要求仕様書)』というドキュメントを作成します。

PRDはプロダクトおよび機能の目的を全て定義したドキュメントです。

PRDの書き方はさまざまですが、ここではscoutyの島田CEOの記事の例を参考にして作っていければと思います。

prd.png

本来であれば、Producthuntが公開しているPRD並に作り込みたかったんですが、納期に間に合わないので諦めます。

(余裕ができたら作りたいです)

ph_prd.png

実際に書いたPRDは↓です。

この記事に直接書いてしまうとPRDというドキュメントの性質上もっさりしてしまうので、個人ブログに切り出す形を取りました。

prd2.png

このフェーズでようやく「要件」や「機能」といったソリューションに触れることになります。

逆に言うと、ユーザーの課題を考える上でソリューションはきちんと分けて考えなければならないということです。

実際に、今回も「記事をPMの仕事について実践形式で書く」ということを、ここでようやく決定しました。

さてさて、何を作るのかが決まったところで、次の章に移りたいと思います。


4. 技術やツールの選定:どこのメディアで書くべきか

この章では、プロダクトの”How”を考えていきたいと思います。

これは実際の開発では、使用する言語やフレームワーク、ライブラリなどを選ぶ段階だと思ってくれれば良いです。

今回は、この記事を書く「メディア」の選び方をお見せし、実践に近いものを示せればと思います。

どのように決めるのかですが、「要件を満たせそうな候補を挙げて、メリットとデメリットを整理する」というのが一般的です。

気をつけなければならないのは”長期的な要因も考慮に入れること”で、これはプロダクトの理想像やビジョンから逆算して決定していきます。

select_tech.png

実際にやってみましょう。

まずはメディアについて、各候補とそのメリット・デメリットを以下のように整理してみました。

メディア
メリット
デメリット

Qiita
・編集リクエスト機能がある
・Qiita内でのリーチ
ZEALSへのcontributionが増える
・デザインの差別化が困難

個人ブログ(Medium)
・個人ブログの認知を獲得できる
・Mediumのデザインが良い
ZEALSへの貢献度が低い
・コメントがなくFBを獲得しづらい

テックブログ
ZEALSに直接貢献できる
・はてブ内のリーチ
・デザインの差別化が可能
・FBが直接確認しづらい
・記事を誰が書いたか分かりづらい

Wantedly
ZEALSに直接貢献できる
・Wantedly内でのリーチ
・採用戦略への影響が大きい
・内容がWantedlyの趣旨から外れる
・コメントがなくFBを獲得しづらい

以上の要因を踏まえ、Qiitaで記事を書くことを決定しました。

決め手としてはQiitaの編集リクエスト機能で、いうなればGitのPull Requestを記事に対して出すような機能です。

qiita_pr.png

この機能が、先ほどPRDで決定した「今後PMという職種に変化があった場合でも、内容が修正・改善される」という特長をうまく実現できるのではないかと考えまた。

今後のPMのロールの変化を考えると、色んな方の意見を聞きアップデートできるこの機能は魅力的です。

(使われているのをあまりみたことがないですが...)

以上、このフェーズでは、「どうやって要件を満たすか」というHowに注目してプロダクトを前に進めました。


5. アジャイル開発:ドラフト記事を読んでもらい、FBを獲得し改善する

さて、やっと開発に入りますが、最初から時間を掛けてプロダクトを完成させてしまってはいけません。

なぜなら、これまで立てた仮説は間違っているかも知れないからです。

仮説が間違っていた場合、開発の方向性をピポットしなければなりません。

そのため、最初から磨き上げてプロダクトを完成させてしまっては、多くの労力が失われることになります。

agile.png

今回は、記事を雑多に書いたところで「他の人に記事を読んでもらう」ということを実施しました。

これは実際の開発であれば、「プロトタイプを作り、ユーザーテストやレビューを行う」という部分にあたります。

僕自身が記事のターゲットに当てはまっているので、まずは自分で読み返して「テーマとズレがないか」を確認しました。

また、社内には他にPMがいないため、PMへの理解度がターゲットに近いCTOとEMの2人に目を通してもらいます。

その結果、「テーマは面白いが、ボリュームが多いので最後まで読む気にならない」というツラみFBを獲得しました。

なので、記事の構成はそのままに思い切って文量を削ります。

ざっくり、以下のtipsを思い切って削除しました。



  • 技術やツールの選定から、「文体」「引用元」の選び方について

  • 「MRD」の作成

  • アジャイルについての詳しい説明


ここでようやく記事が(一旦)完成です!


6. ローンチ後:プロダクトの方向性や中長期の計画の策定

さて、記事を投稿した後について話を移します。

(ここから先の内容は、記事公開時には反映されていません)

プロダクトを一度のリリースで完結させることはほとんどありません。

市場から反応を得てPMが注力すべきなのは、プロダクトの中長期的な計画を決めることです。

planning.png

「計画を決めること」を口で言うのは簡単ですが、これほど難しいことはありません。

なぜなら、初期フェーズの会社では事業や戦略そのものが大きく変わることが多いからです。

毎月のように変わる市場、毎週のように変わる組織、毎日のように変わるKPI...

PMはこれらに食らいついて行かなければなりません。

これらを見越し、ときには抽象的に、ときには具体的にプロダクトの未来像を示すのがPMの大事な仕事です。

この記事についての未来像ですが、↓こんな感じの記事になればいいなぁというイメージを考えました。

新米PMの仕事の指針を示すOSS記事

こういった抽象的な未来像が決まれば、そこから逆算して記事がどうあるべきかが少しずつクリアになります。


  • 新米PMが「とりあえずこれ読んで」と先輩PMからこの記事を紹介される

  • PMなら一度は読んでおきたい「PMリーディングリスト」に並べられる

  • 定期的にコメントや編集リクエストが行われる

もちろん、プロダクトの未来像に正解はありません。

すべては自由です。

pm.png

会社が作りたいと思う未来にプロダクトをどう貢献させるか。

それを決定し会社の、そして世界を変えていくことができるのがPMの醍醐味だと思います。


「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」 - アラン・ケイ



さいごに

以上、長くなってしまいましたが、PMの仕事の一連の流れを記事の上で再現してみました!

残念ながら、この記事だけでPMの仕事すべてを網羅することはできません。

そのためご意見などあれば、ぜひコメントや編集リクエストを投げていただければ幸いです。

今後も引き続きPM関連のアウトプットをしていきますので、よろしければ個人ブログやTwitterにも遊びに来てください!

この記事をきっかけに新米PMの方の仕事の後押しができれば、そしてPMに興味を持っていただける方が増えればとても嬉しいです!

みなさんが、これからも快適なPMライフを送っていかれることを願っています!


追記・編集


2018/12/31: 『1. プロダクトマーケットフィット(PMF)』Qiitaの引用を編集

@cfm-artさんから頂いたコメントで、「Qiitaのpmタグはプロジェクトマネージャーについての記事が多い」とのアドバイスを頂き、引用する内容を「PMタグの検索結果」から「Product Manager Advent Calendar 2018の一覧」に変更し編集いたしました!ありがとうございます!