こんにちは。今回は Anthropic が提供するエージェントコーディングツール「Claude Code」についてご紹介します。
「ターミナル上で AI にコードベースを理解させたり、編集やコミットを自動化させたりできる」と聞くと、ややこしく聞こえるかもしれませんが、使いこなせば開発効率を大幅に向上できる可能性があります。

この記事では、初心者の方にも分かりやすいように、Claude Code の基本機能から導入、活用事例までまとめて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

Claude Code とは？

Claude Code とは、AI アシスタントの Claude（Anthropic 社の大規模言語モデル）をターミナルから直接利用できるようにしたエージェントコーディングツールです。
従来の ChatGPT や別ツールのようにブラウザでやり取りするのではなく、ターミナル上で CLI（コマンドラインインターフェース）として動作する点が最大の特徴です。

何ができるの？

コードベースを理解し、ファイルを横断してバグを修正
コードのアーキテクチャやロジックの質問に回答
テストやリンティング、Git 操作、PR 作成などの自動化
複数ファイルにまたがる大規模リファクタリングの提案や実行

Anthropic 社自身も「研究プレビュー（ベータ版）」として位置づけており、活発に機能が拡張されている段階です。

Claude Code の特長

端末で完結
追加サーバーを立てたり複雑なセットアップをしたりする必要がありません。シンプルにローカルのターミナルで完結する設計です。
コードベース全体を自動で解析
独自のツールでファイルをスキャン・解析するため、どのファイルに何が書かれているかを総合的に把握し、編集提案や修正ができます。
高度な権限管理とセキュリティ設計
Bash コマンドなどは勝手に実行されないように、都度ユーザーに承認を求める仕組みがあります。
会話履歴やプロジェクト固有の“記憶”を保持
セッション間でも記憶（メモリ）ファイルを参照して、プロジェクト独自のスタイルや手順を学習させられます。
（ベータ版）研究プレビュー
現在は研究プレビューであり、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ機能強化を進めています。今後さらに強力で安定した機能が追加されていくでしょう。

始める前に必要な環境

Claude Code を使うには、以下のシステム要件を満たす必要があります。

オペレーティングシステム
- macOS 10.15+
- Ubuntu 20.04+ / Debian 10+
- Windows は直接サポートされていません（WSL を介して利用する必要あり）
Node.js 18+
Claude Code は Node.js で動作します。必ずバージョンを 18 以上にしましょう。
Git 2.23+（オプション）
PR やコミット操作を自動化するために使うので、あると便利です。
インターネット接続
Claude (Anthropic の API) へ接続するため、オンライン環境が必須です。
Anthropic への登録と有効な課金設定
公式コンソール console.anthropic.com でサインアップし、有効な支払い情報を登録しておきましょう。

Claude Code のインストールと認証

1. Node.js のインストール

あらかじめ Node.js 18+ を入れておきます（nvm や公式サイトなどからインストール）。

2. Claude Code のインストール

以下のコマンドでグローバルインストールを行います。

npm install -g @anthropic-ai/claude-code

注意: sudo npm install -g は推奨されていません。権限エラーが発生する場合は、npm prefix をユーザーが書き込み可能な場所に変更するのがベストプラクティスです。

3. プロジェクトに移動

cd your-project-directory

対象のプロジェクトフォルダへ移動しましょう。

4. Claude Code を起動

claude

初回起動時は認証用の OAuth フローが走るため、表示される案内に従ってブラウザでログインします。Anthropic のコンソールアカウントで有効な請求設定がされていればOKです。

Claude Code の主な機能とワークフロー

1. ターミナルでの対話

claude コマンドを実行すると、対話型の REPL(読み込み-評価-出力ループ) 画面が立ち上がります。
ここで自然言語で指示を与えると、Claude がコードベースを検索・解析して答えたり、修正を提案してくれたりします。

例: コードの仕組みを質問

> how does our authentication system work?

すると、プロジェクト内の認証に関わるファイルを読み取り、概要やフローを説明してくれます。

例: ファイルのバグ修正を指示

> fix the type errors in the auth module

エラー箇所を特定し、提案された修正内容を確認後、ユーザーが承認するとファイルが編集されます。

2. Git操作の自動化

Git のコミットやプルリクの作成、マージ競合の解決なども簡単な英語コマンドで自動化できます。

> commit my changes

この一文だけでローカルの変更をコミットし、コミットメッセージの提案までしてくれます。
プルリクエストの作成(create a pr)やリベース(rebase on main)も同様です。

3. テスト実行やデバッグ

> run tests for the auth module and fix failures

上記のように、テストコマンドの実行→失敗時の修正案提供まで行ってくれます。
テストに失敗した理由の解析や、追加のデバッグログ提案など、ある程度の高度な会話も可能です。

4. メモリ機能 (CLAUDE.md)

プロジェクトルートに CLAUDE.md ファイルが生成されることがあり、ここにはプロジェクト全体の簡単な構成や方針などを記載できます。Claude はこのファイルを継続的に参照し、プロジェクト固有の知識として学習する仕組みです。

5. 拡張思考（深く考えてもらう）

複雑な問題に対しては、

> think hard about the edge cases in our authentication flow

のように「深く考えて」と明示的に伝えると、AI がさらに詳細なプロセスや設計案を提示してくれます。

実行コマンド・スラッシュコマンドまとめ

CLIコマンド

コマンド例	説明
`claude`	対話型 REPL を開始
`claude "query"`	指定のクエリを初期プロンプトに起動
`claude -p "query"`	1回限りのクエリを実行し、終了
`cat file \| claude -p "query"`	ファイル内容をパイプして解析
`claude config`	設定の参照・変更
`claude update`	最新バージョンにアップデート
`claude mcp`	モデルコンテキストプロトコルの設定

スラッシュコマンド

REPL 内で実行できる特別コマンドです。

スラッシュコマンド	目的
`/bug`	バグを報告 (会話をAnthropicへ送信)
`/clear`	会話履歴を消去
`/compact [instructions]`	会話を圧縮しつつフォーカス指示を加えられる
`/config`	設定の表示/変更
`/cost`	トークン使用量（コスト）統計を表示
`/doctor`	インストールの健全性チェック
`/init`	プロジェクトを初期化 (CLAUDE.md ガイドの生成など)
`/login`	Anthropicアカウントを切り替え
`/logout`	Anthropicアカウントをログアウト
`/memory`	CLAUDE.mdなどメモリファイルを直接編集
`/pr_comments`	プルリクのコメントを表示
`/review`	コードレビューを依頼
`/terminal-setup`	ショートカットのセットアップ (iTerm2やVSCode対応)
`/vim`	Vimモードの ON/OFF

メモリ管理(記憶機能)の仕組み

Claude Code には三つの“記憶ファイル”があります。

プロジェクトメモリ (./CLAUDE.md)
- チームで共有するドキュメント。プロジェクトのアーキテクチャやコーディング規約、共通のワークフローなど。
プロジェクトメモリ(ローカル) (./CLAUDE.local.md)
- 個人ごとに特化した設定や情報を書くファイル。
ユーザーメモリ (~/.claude/CLAUDE.md)
- 個人的な好みやショートカット、グローバルな設定などを保存する。

使い方の例

「いつも 2 スペースインデントを守る」といったチームのコーディング規約を CLAUDE.md に書いておく
「社内のステージング環境 URL」や「個人の実験用テストデータ」などは CLAUDE.local.md にまとめる
エディタやツールの設定など、個人で全プロジェクト共通に使うものは ~/.claude/CLAUDE.md に書く

権限とセキュリティについて

権限階層

読み取り専用: ファイルを読み取ったり ls/grep する → 承認不要
Bash コマンド実行: シェルスクリプトを実行 → 初回はユーザー承認が必要
ファイルの編集: 実際にコードを編集 → 実行ごとに承認が必要（セッション中は継続適用可）

Claude による不審な操作を防ぐため、重要な操作に対しては都度「本当に実行しますか？」と聞かれます。ここで承認したものは、セッションが続く限り再承認が省略されます。

即時(プロンプト)注入対策

不正な文字列を仕込んで AI をだます「プロンプトインジェクション」が懸念されますが、Claude Code には承認フローやコマンドブロックリスト（curl や wget など危険な外部アクセスを自動ブロック）など複数の防御策があります。
それでも完全ではないため、重要操作の際はユーザー自身がコマンド内容を慎重に確認しましょう。

コスト管理のポイント

Claude Code の利用にはAPI トークンコストがかかります。具体的な費用はプロジェクト規模や会話内容に左右されますが、Anthropic の目安では「開発者 1 人あたり 1 日 6 ドル程度」とされています。

コストを下げる方法

不要な会話履歴を消去: /clear コマンドなどでやり取りをリセットすると、不要な文脈を送らずに済む
コンパクト化: /compact コマンドや自動圧縮機能を活用し、会話を短縮
無駄なファイルスキャンを避ける: 指示を具体的にする
大きなタスクを分割: まとめて大量の操作を指示すると、トークン消費が急増する場合があります

`/cost` コマンド

現在のセッションのトークン使用状況を把握できます。過去の利用履歴や請求に関しては Anthropic コンソールの管理画面を確認しましょう。

まとめ

Claude Code はターミナルで動くエージェント型 AI ツール
コードを横断的に解析し、エディットや Git 操作、自動テストなどさまざまな支援をしてくれます。
インストールは npm で簡単に可能、しかし権限設定には注意
npm install -g @anthropic-ai/claude-code とユーザー権限の設定を確認しておけば大丈夫。
強力な機能を備えつつもベータ版
今後のアップデートで機能が拡充・安定化すると見込まれます。
メモリ機能や権限管理がしっかりしている
企業利用でも安全に管理できるよう、あらかじめ設計がなされています。
コスト管理も必要
トークン使用量のモニタリングや会話圧縮を活用しましょう。

Claude Code を使ってみよう

これから AI アシスタントを導入して生産性を上げたい方には、十分検討する価値があります。
特に、ターミナルに慣れており、コード操作を自動化したいエンジニアにはとても魅力的です。

気になる方はまずローカル環境で試してみてください。バグ修正やドキュメント生成など、小さなタスクから始めると使い勝手がつかみやすいはずです。
その後、チームメンバーと協力してプロジェクトの標準ツールとして導入すれば、開発効率が大幅に向上する可能性があるでしょう。

いかがでしたでしょうか？
Anthropic の Claude Code はまだベータとはいえ、非常に先進的な体験を提供してくれます。便利な一方でプロンプトインジェクション対策やトークンコスト管理など、運用時に意識する点も多いので、ぜひ本記事を参考にしつつじっくり触ってみてください。

ご質問・ご感想があれば、ぜひコメントなどでお知らせください。今後も最新情報が入り次第、記事をアップデートしていきます。

それでは、快適なコーディングライフをお楽しみください！

※ 参考
https://docs.anthropic.com/en/docs/agents-and-tools/claude-code/overview#install-and-authenticate