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【PMP®】ATAによる PMP®認定オンライン試験合格体験記(&失敗談)

Last updated at Posted at 2022-03-12

はじめに

2022年2月20日、Project Management Professional (PMP)® 試験に合格することができました。

私は自宅で受験しました。日本でのPMP認定オンライン試験の運営ベンダーが2021年8月にピアソンVUEからATAに変更となったのですが、それ以降に受験された方の合格体験記がネット上でほとんど見つからず、予約時から試験後まで、何度か不安になることがありました。本記事がこれから受験をされる方や、受験を検討されている方への手助けとなれば幸いです。

(※以下の記載は本稿記載時の最新情報に基づくものです。受験資格の要件や申し込み方法などは変更となる場合があります。また、リンク先のページの内容が変更されたり、ページが存在しない可能性があります。予めご了承ください。)

PMP®とは

PMP®とは、米国PMI1 が認定するプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。試験問題はPMIがプロジェクトマネジメントの知識を体系化した書籍 PMBOK®ガイド の内容を理解し応用する能力を問うものです。 本稿記載時は PMBOK®ガイド第7版 リリース後ですが、試験問題は PMBOK®ガイド第6版 準拠のものとなっております。

【参考】

受験までのプロセス

以下の通りです。

【参考】

1. プロジェクトマネジメント経験を積む

受験資格の要件として定められた学歴と職歴の要件を満たす必要があります。
プロジェクトマネジメントの実務経験が必要となりますが、PMBOK®ガイド第6版 では「プロジェクト」を以下のとおり定義しています。

プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創出するために実施する、有期性のある業務である。

したがって「非定常業務」であれば上記の定義に当てはまる場合があります。必要な時間数が不足しそうであれば、かき集めましょう!

2. 35時間の「正式なプロジェクトマネジメント教育」を修了する

現役の CAPM®資格2 の保有者以外は上記の実務経験に加え、PMI®認定トレーニングパートナープログラムにより承認された認定トレーニングパートナー(Authorized Training Partner)による35時間の「正式なプロジェクトマネジメント教育」の受講が必要です。
私は会社に受講料を出してもらい(良い会社です!!)、e-ラーニングタイプの講座を受講しました。

3. PMIへの申請

PMI本部Webサイト上で試験の申込みをしますが、ここでプロジェクトマネジメントの経歴を 200単語以上500単語以内の英文 で入力する必要があります。
英語が堪能でない私はGoogle翻訳を使いながら何とか入力しましたが、ネット上に文面のサンプルも存在するので、ある程度参考になるかと思います。
・・・ここで私は泣きそうになりながら、なんとか申請しました。(失敗談-1

4. PMIによる監査

私は免れましたが、一部の申請者はPMIによる監査の対象となり、申請内容が正しいことを証明するために、以下3点の提出が求められます。

  • 卒業証書
  • 申請書の経験確認セクションに記載されたプロジェクトのスーパーバイザーまたはマネジャーによる署名
  • 35時間の「正式なプロジェクトマネジメント教育」の提供元が発行した履修証明書

運悪く監査の対象となった場合は、90日以内にすべての書類を1通の封筒に同封し、送付しましょう。

【参考】

5. 受験料の支払い

監査を免れた方や、監査をパスした方は申請が承認され、1年間の受験期間が開始となります。この期間中に最大3回まで受験が可能です。(そんなに受けたくありませんが。)
3回とも不合格となると、そこから1年間は受験不可となり、1年経過後に再受験する際にはPMIへの申請からやり直しとなります。

PMI本部会員になると受験料の割引(初回150ドル、2, 3回目は100ドル)があります。1発合格の場合、PMI本部会員の初年度年会費(152.9ドル)と相殺されて、むしろ若干割高になりますが、再受験となった際のリスクヘッジとして、私はPMI本部会員となりました。
(PMI本部会員は PMBOK®ガイド や アジャイル実務ガイド 3 のPDFファイルを無料ダウンロードできるので、試験対策の面でのメリットもあります。)

6. 試験の予約

テストセンターで受験する場合にはピアソンVUEのWebサイトから予約しますが、オンライン試験を希望する場合には PMIのWebサイトから予約 します。オンライン試験の予約前にはシステムとネットワークが要件を満たしているかを確認するため、オンライン模擬試験の実施をおすすめします。
また、オンライン試験は受験日の1週間前までに予約をする必要があります。
・・・私は予約状況確認で困惑しました。(失敗談-2

【参考】

7. (オンライン試験の場合)テスト環境の準備

上記のオンライン試験の案内ページに記載がありますが、機器のシステム要件や試験場所の要件を満たすための準備が必要です。
オンライン模擬試験を実施する際に案内がありますが、試験で使用する端末には「Eztestクライアント」のダウンロードが必要です。Webカメラやスピーカー、マイクが必要となるので、すべて内蔵しているノート端末の使用がおすすめです。
また、第二角度の監視(イーグルアイ)として、スマートフォンなどを所定の位置に設置する必要があります。
(私は3C●INSでスマートフォンクリップホルダーなるものを購入し、監視用スマートフォンを固定しました。)
さらに、身分証明書を準備したり、無許可の者は試験場所の周辺から撤去したり、外部モニターを裏返したり、部屋に窓がある場合にはカーテンを閉めたりと、試験直前にやるべきことは意外と多いので、当日慌てないように事前準備は抜かりなく。
(試験当日のチェックイン時に身分証明書の両面の写真や試験場所の前後左右4方向からの写真をアップロードする必要があるので、事前に当日と同じ環境を準備し写真を撮影しておくと慌てずに済むのでおすすめです。)

また試験当日に入力する本番試験のテストコードの確認もお忘れなく。
(PMIのWebサイトのmyPMIページや、予約完了時の通知メールなどで確認できます。)

【参考】

8. 受験

予約した日の当日、試験会場(テストセンターまたは自宅)で思う存分に実力を見せつけます。
・・・私のように当日慌てることがないようにご注意ください。(失敗談-3

使用した教材

  • PMIの出版物
    • 「PMBOK®ガイド第6版」
    • 「アジャイル実務ガイド」
  • 35時間の「正式なプロジェクトマネジメント教育」
    • 「PMP®試験準備コース35時間(オンデマンド)」(アクシスインターナショナル株式会社)
  • 参考書
    • 「プロジェクトマネジメント標準PMBOK入門 PMBOK 第6版対応版」(広兼修著、オーム社)
    • 「PMP®試験合格虎の巻 新試験対応」(落合和雄・庄司敏浩共著、アイテック)
  • 模擬試験(Eztestの要件確認のための模擬試験とは別)
    • 「PMP®プレミアムオンライン模擬試験」(アクシスインターナショナル株式会社)
    • 参考書「PMP®試験合格虎の巻 新試験対応」巻末の模擬試験
    • YouTubeチャンネル「pm dogs」の動画「PMPドリル」シリーズ

上記「PMP®試験準備コース35時間(オンデマンド)」で提供された教材はPMI本部が提供する教材を日本語に直訳したものでした。和訳が不自然な部分が多々あり、参考資料は英文のままだったりと、正直学習は進めづらかったです。しかし本番の試験問題も和訳が不自然なものがあるので、試験対策としてはむしろ良かったのかもしれません。
私は「PMP®プレミアムオンライン模擬試験」のプログラムを有料のオプションとして受講しましたが、現在は「PMP®試験準備コース35時間(オンデマンド)」に組み込まれているようです。こちらは本番の試験に近い形式で、実力を確かめられたので非常に効果的だと感じました。
「PMBOK®ガイド」 を理解することが合格への近道だという意見もあるようですが、内容の暗記だけすれば合格できるというわけではありません。まず試験範囲の全体像をおぼろげにでも把握できたら、敵(己の弱点)を知るためにも問題演習を実施することをおすすめします。
また私が受験した問題ではアジャイル・ハイブリッド型に関する出題が想像以上に多く(体感では全体の半数近く)、 「アジャイル実務ガイド」 は受験前に目を通しておくことを強くおすすめします。

オンライン試験当日の体験談

試験中は部屋に他人が立ち入らないようにする必要があります。私の場合、試験当日は妻 を部屋から追い出し に外出してもらい、図書館やショッピングセンターで時間をつぶしてもらいました。(良い妻です!!)

ちょっとしたトラブルがあり(失敗談-3)チェックインに手間取った結果、試験開始直前までアップロードした写真が承認されずドキドキしましたが、写真の再提出を求められることはなく定刻通りに試験を開始しました。

試験時間は230分で、試験問題180問中60問解くごとに10分の休憩を挟みます。
選択肢から1つまたは複数選択して回答する問題がほとんどでしたが、四角いオブジェクト同士をドラッグ&ドロップして紐づけて回答する問題が4, 5問あり、A, B, C, Dのいずれか1文字を入力して回答する問題も1問出題されました。(これは選択問題でいいのでは、と苦笑。)
一部の試験問題は日本語訳が不自然で、選択肢の1つが「、」で終了し書きかけのようなものまでありました。問題文は英語の原文が確認できるので、そちらも駆使しました。
時間内に問題は解き終わりましたが、いざ受験してみると試験時間はあっという間でした。

あまりの手ごたえの無さに、休憩に入るたびに参考書を開きなおそうかという誘惑に駆られましたが、本番に集中力を切らさないためにも、休憩中はトイレに行ったり、水分やブドウ糖の補給をしたり、ストレッチをしたりして脳を休めることにしました。

試験中は口元や耳を隠したり画面外に視線を送ったりすると、最悪の場合試験監督がカンニングとみなし試験を強制終了する場合があるので、気を付けつつ問題を解くことに集中しました。何か不具合が発生した場合などはEztestのアプリケーション上で「挙手」をすることで試験監督にコンタクトを取れるようですが、私は試験監督との直接の交流がないまま試験を終えました。
試験監督は実在したのか、謎のままです。

試験時間を残して180問目の問題に回答し次に進もうとすると「回答を終了しますか」「本当に終了しますか」といったアナウンスが表示され、いずれもYesで進むとデータが送信され、試験終了の画面に進みます。
「結果を確認する」というような表示をクリックするとすぐに「PASS」という表示が目に入りました。しかし、名前と携帯電話の番号も表示されましたが、チェックイン時に撮影した写真が表示されるでもなく、本当に自分が合格できたのか半信半疑でした。試験結果「Exam_Report」のPDFは同じ画面上からダウンロードすることができますが、「テストの最後に示されるスコアは、PMIによって検証および確認がされるまで暫定的なものと見なされます」といった表示がありました。試験が終わったことによる安堵と共に、「本当に合格したんだよな?」と少し不安な日々を過ごすこととなりました。

オンライン試験の場合にはアンケートへの回答はありませんでした。

PMIアカウントへの反映

自宅受験の場合に限るのかもしれませんが、合格後もPMI本部Webサイトの「myPMI」のページがなかなか更新されず、試験の再スケジュールができそうな表示のままでした。
試験結果の画面には、5営業日以内に各領域の成績に関する詳細分析のための試験結果レポートにアクセスする方法が記載されたメールが届くと記載がありましたが、5営業日経ってもそのようなメールは受信せず。
しかたがないのでPMIアジアパシフィックサービスセンターにメールで問い合わせたところ、
「通常合格後はアカウントがアップデートされるまで7-10営業日程お時間を要します。」
と返信がありました。その翌日(受験から8営業日目)にようやく「myPMI」のページが更新され、PMIアカウントにPMP®資格が反映されました。

失敗談(注意点)

1. 経歴入力時にセッションタイムアウト

PMIへの申請時、なけなしの英語力で夜遅くまでかかり、眠い目をこすりながら400単語を超える経歴を入力し終え、やっと終わったという安心感からそのまま提出ボタンを押してしまったのが運の尽きでした。
途中PCの画面ロックをかけたりしながら入力が長時間に及んでいたため、提出ボタン押下後に表示されたのは ログイン画面 。一瞬何が起きたのか理解できず、数秒後に顔から血の気が引いていきました。ダメもとでブラウザバックを試すも時すでに遅し。入力内容は永遠に失われました。泣こうと思えば泣けました。
結局その日は失意の中就寝し、翌日に入力しなおして当初とは若干異なる文面で申請しました。
経歴を入力する際には、メモ帳などに入力してからコピー&ペーストすることをおすすめします。

2. 予約状況確認の罠

受験日を決める際、テストセンターで受験するか、自宅で受験するかを検討中だったこともあり、ピアソンVUEのWebサイトで「Seat availability」を確認し、その月に5日ほど存在した候補日の中から予定日を決めました。
その後PMIのWebサイトから実際に予約するために操作を進めたところ、予定日が選択できません。「誰かが先に予約したのか」と思い、再度ピアソンVUEのWebサイトで確認すると、予定日はまだ予約可能となっていました。
再度確認したところ、 ATAによる試験は月に2日しかチャンスがない ようで、ピアソンVUEのWebサイトで表示される空き状況とは連動していないようでした。
オンライン試験を希望される方は、

ATA PMP®監督付きオンライン試験 案内ページ

の「試験カレンダー」を確認するようにしましょう。

3. Eztestクライアントのバージョンアップのため、試験直前に再ダウンロードを求められる

模擬試験を前日に行い、問題なかったため安心してしまい、準備を怠りました。
試験開始が9:00で、当日の8:30にEztestを起動し、試験コードを入力しました。
すると、 Eztestのバージョンアップを促す表示 がありました。
昨日の今日でまさかとは思いつつ、試験開始に遅れるわけにはいかないと慌ててダウンロードページに進み、再ダウンロードをしたところ問題なく起動し、チェックインプロセスへ進むことができました。
そこから写真撮影をしてアップロードを完了したのが8:45頃。写真の確認に15分ほどかかるとの記載があったため試験時間が少し削られそうだとヒヤヒヤしましたが、何とか定刻通り試験を開始できました。
試験当日もEztestを再ダウンロードすることをおすすめします。

おわりに

PMP®の資格試験は問題が難しいこともありますが、試験を受けるまでに乗り越えるべき数々のハードルにより合格が困難になっている試験だと感じます。
試験内容や運営ベンダーは今後変更となる可能性がありますが、上記の私の体験・失敗を教訓として、これから受験する皆さんに活かしていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  1. PMI:Project Management Institute の略。プロジェクトマネジメント協会。プロジェクトマネジメントの知識を体系化して発行し、資格の認定や会員同士の交流などを行っている。NPO法人。

  2. CAPM®資格:PMIによるPMP®の入門資格。CAPMは Certified Associate in Project Management の略。

  3. アジャイル実務ガイド: PMBOK®ガイド第6版 の副読本。PMIとAgile Alliance®により定められた、プロジェクトの計画および実施にアジャイル・アプローチを適用する際の実践的なガイダンス。

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