対象読者:クラウドAIを毎日使っていて、「ローカルAI(ローカルLLM)って自分に要るの?」と一度でも思った人。40〜50万円のMacを仕事用に買うか迷っている個人事業主・副業の人。専門学校などで教える副業をしながら、開発もしている人
読了時間:初心者編 約5分/詳細編 約15分
最終確認日:2026年10月28日
この記事のポイント(3行要約)
- ローカルAIの本当の価値は「賢さ」ではなく「データを外に出さないこと」と「新しいAIを手元で試せること」。 仕事の判断には、最新のクラウドAIを使う方が安全
- 高いメモリ(48GB・64GB)が効くのは、ローカルAIよりも「複数のAIエージェントやツールを同時に動かすとき」。 2026年10月27日に発表されたとされるM6 MacBook Proはメモリ上限32GB。上位のM6 Pro/Maxは出ない見込み
- 40〜50万円のPCは、個人事業主なら「4年で均等に経費」になる。 30万円未満なら青色申告の特例で一括経費。この境目を知っているだけで買い方が変わる(税務の最終判断は税理士へ)
⚠️ 大事な前置き
筆者は臨床工学技士として病院で11年働いたあと、AIエンジニアになった人間です。セキュリティの専門職でも、税理士でもありません。 この記事は、公開されている一次情報(Apple、Google、SlowMist、国税庁)を読み、現場の言葉に翻訳したものです。価格は2026年に入って複数回の改定があるため、必ずApple公式の構成画面で今日の数字を確認してください。税務の記述は一般論であり、個別の判断は税理士にご相談ください。
🔰 初心者編:5分で分かる全体像
専門用語を使わずに、この記事の結論だけ先に書きます。詳しい理由はこのあとの「詳細編」にあります。
① ローカルAIって何? 使う価値はある?
ローカルAIとは、ChatGPTやClaudeのように「どこかの会社のサーバー」で動くのではなく、自分のパソコンの中だけで動くAIのことです。
たとえ話をします。クラウドAIは「街の有名レストラン」。腕は一流ですが、材料(あなたのデータ)を店に持ち込む必要があります。ローカルAIは「自宅のキッチン」。腕は家庭料理レベルですが、材料は家から出ません。
だから、ローカルAIの価値は3つだけです。
- 家から出せない材料(口座情報・顧客名簿・患者情報)を扱える
- 新しいレシピ(新しく公開されたAIモデル)を自分の台所で試せる
- ネットがなくても使える、使い放題
逆に言うと、「賢さ」では一流レストラン(最新のクラウドAI)に勝てません。 仕事の大事な判断に使うと、小さな間違いが混ざりやすい。だから筆者は、仕事の判断には最新のクラウドAIを使い、ローカルAIは「外に出せないデータの下ごしらえ」と「新しいAIの試食」にだけ使っています。
② じゃあ、高いメモリは何のため?
よく「ローカルAIを動かすから大きいメモリが要る」と言われます。それは半分だけ本当です。
もう一つ、現実に効いている使い道があります。AIに仕事を任せる「エージェント」を、同時に何個も動かすときです。
たとえ話をもう一つ。パソコンのメモリは「作業机の広さ」です。AIエージェントを1つ動かすのは、机の上で1人が作業するようなもの。それを5人、10人と同時に走らせ、それぞれがブラウザを開き、プログラムを組み立て、テストを回すと、机がすぐいっぱいになります。机が狭いと、全員が順番待ちになって全体が遅くなる。広い机(64GBなど)の価値は、「誰か1人が速くなる」ではなく「全員が同時に動いても詰まらない」ことです。
なので、自分がどちらの使い方をするかで、必要なメモリが決まります。
- クラウドAIを1つずつ使う人 → 16〜32GBで十分
- AIエージェントを何個も同時に走らせる人、新しいAIモデルを手元で試す人 → 48〜64GB
③ 40〜50万円のパソコン、経費はどうなる?
個人事業主や、副業で事業をしている人がパソコンを買うと、金額で扱いが変わります。
- 30万円未満:青色申告なら、買った年に全額を経費にできる
- 30万円以上:買った年に全額ではなく、4年に分けて経費にする(減価償却)
だから、50万円のパソコンを11月に買っても、今年の経費になるのは2万円くらいです。「年末に買えば今年の節税」とはなりません。逆に、30万円未満に収まるなら、12月に買っても全額が今年の経費です。
そして、経費にできるのは事業(または雑所得)として受け取っている収入の側だけです。副業が「給与」として支払われている場合(源泉徴収票が届く形)は、パソコン代をその給与の経費にはできません。講義は給与でも、同じパソコンを自分の事業(開発・教材制作・発信)にも使っているなら、事業に使う割合だけを経費にするのが正攻法です。詳しくは詳細編で。
④ 買う前に、自分に聞く3つの質問
- 今のパソコンに、性能の不満が1つでもあるか(なければ、高いものは要らない)
- 「大きいメモリでしかできないこと」を1つ言えるか(言えなければ32GBで十分)
- 自分は青色申告か白色申告か(30万円の壁の意味が変わる)
⑤ パソコンを買うより先にやること
ローカルAIを入れてもセキュリティは上がりません。上がるのは、手元の全端末(iPhone・iPad・Mac)を最新のOSに更新し、パスキーと2段階認証を設定することです。2026年に公開されたiOSの攻撃チェーン「DarkSword」は、古いiOSでSafariを開くだけで端末を乗っ取れるものでしたが、最新に更新していれば効きません。
ここまでが初心者編です。「なぜそうなるのか」を知りたい方は、このまま詳細編へ。
📖 詳細編
用語早見表
- ローカルAI/ローカルLLM:自分のPCの中で動かすAI。データがPCの外に出ない
- クラウドAI:Claude、Gemini、ChatGPTなど。賢いが、入力した内容は相手のサーバーに送られる
- AIエージェント:AIに「調べて」「コードを書いて」「ブラウザを操作して」と仕事を丸ごと任せる使い方。Claude Code、Codex、コンピューターユースなど
- worktree(ワークツリー):1つのプログラムのフォルダを、同時に複数の作業用コピーに分ける仕組み。エージェントを並列で走らせるときに増える
- ユニファイドメモリ:Macの「メモリ」。作業机の広さ
- メモリ帯域(GB/s):メモリの読み書きの速さ。ローカルAIの応答速度はほぼこれで決まる
- 7B/14B/70B:AIモデルの大きさ(パラメータ数、Bは10億)。大きいほど賢く、メモリを食う
- Neural Engine:Appleのチップに入っている、AI専用の小さな回路。Apple純正のAI機能が使う
- 減価償却:高いものを買ったとき、買った年に全額経費にせず、使う年数に分けて経費にする仕組み
- 少額減価償却資産の特例:青色申告の個人事業主・中小企業が、30万円未満のものを買った年に全額経費にできる制度
- 事業所得/雑所得/給与所得:副業の収入の「種類」。どれに当たるかで、経費にできるかどうかが変わる
1. 2026年10月27日、何が起きたか
Appleが14インチMacBook Proの新モデル(M6チップ搭載)を発表したと報じられました。BloombergのMark Gurman記者は10月8日の時点で「10月27日に発表」と伝えており、筆者が確認した範囲では339,800円〜(学割322,800円〜)、予約10月29日、発売11月6日という情報です。Apple公式ニュースルームの原文は、本記事執筆時点で筆者は確認できていません。 購入前に必ず公式で確認してください。
M6チップ自体は8月25日に発表済みで、Appleは「12コアCPU、Neural Acceleratorを備えた12コアGPU、デュアル16コアNeural Engine、最大170GB/sのユニファイドメモリ帯域」と説明しています。
買う人にとって重要なのは、Bloombergが「AppleはM6 ProとM6 Maxを作らず、上位は2027年のM7世代へ」と報じていることです。今の上位チップ(M5 Pro/M5 Max)は来春になっても置き換わらない見込み。「待てば上位の新型が出る」は、今回は当てはまらない可能性が高い。
2. ローカルAIで、何ができて、何ができないか
2-1. 向いていること(データを外に出したくない仕事)
- 自分の資料を読ませて質問する:契約書、議事録、研究ノート、社内マニュアル
- 口座情報・取引履歴・資産データの下ごしらえ:CSVを読ませて傾向を整理する。残高や口座番号がPCから出ない
- 届いたメールが本物かの一次判定:メール本文(差出人・取引所名・URL)を外部に送らずに済む
- ログイン通知・セキュリティ通知の仕分け:「心当たりのない時刻・端末」だけ知らせる
- 医療・研究のデータ:患者情報や被験者データは、そもそもクラウドAIに入力してはいけない場面が多い
- 新しく公開されたAIモデルの評価:Hugging FaceやGitHubに出たモデル(海外製を含む)を手元で動かし、挙動・速度・癖を確かめる。業務に使う前の「試食」
- オフライン・使い放題
2-2. 向いていないこと
- 仕事の判断そのもの:48GBで動く70Bクラスは「GPT-4o相当」の目安で、2026年10月時点の最新フロンティアモデル(Claude Fable 5.1、ChatGPT Codex/GPT-6系など)には明確に劣ります。しかもローカルの方が事実誤認(ハルシネーション)が混ざりやすい。仕事では小さなデータの間違いが大きな損害につながるので、判断・成果物の作成には最新のクラウドAIを使うのが筆者の運用です
- 速さ:同じ質問でもクラウドの方が速いことが多い
- 手間ゼロで使いたい人:モデルの選定・更新・連携は自分でやる
2-3. ローカルAIは「防御機能」ではない
乗っ取りを防ぐのは、OSの更新、パスキー・2段階認証、「メール→Google/Apple→金融口座」の順に守る基本です。ローカルAIが寄与するのは「基本を守ったうえで、センシティブなデータを扱う作業をクラウドに出さなくて済む」という一点。誤判定は普通に起きるので、「本物かどうかはアプリを自分で開いて確認する」ルールは残ります。
3. 大きいメモリが本当に効く場面:複数AIエージェントの並列実行
ここが、筆者が一番伝えたいところです。
3-1. 何がメモリを食うのか
AIエージェント(Claude Code、Codexなど)のプログラム自体は、実はそれほどメモリを使いません。大半の時間はクラウド側の応答を待っているからです。メモリを食うのは、エージェントが動かす「周り」です。
- worktreeごとのビルド・テスト・language server(コードを解析する裏方)
- ブラウザ:コンピューターユースでエージェントがChromeを操作すると、タブが次々増える
- Docker・仮想マシン:開発環境を箱ごと動かすもの
- エディタ・ローカルDB・ログ
1つのworktreeで走るエージェントは軽くても、10本、20本と並列にすると、合計で机からあふれます。 あふれた分はディスクに退避(スワップ)され、全体が一斉に遅くなる。64GBの価値は「どれか1つが速い」ではなく、「全部同時に動かしても誰も順番待ちにならない」ことです。
3-2. どのくらい要るのか(目安)
| 使い方 | 目安 |
|---|---|
| クラウドAIを1つずつ使う、ブラウザとOffice | 16〜24GB |
| エージェント1〜3本、軽いビルド | 32GB |
| エージェント5〜10本、ブラウザ操作、Docker | 48GB |
| エージェント10本以上、VM・大規模ビルド常時、ローカルLLMの評価も | 64GB |
正直に書くと、効くのは「32GB→64GB」の差で、「48GB→64GB」の差は小さいです。Docker・VM・大規模リポジトリの複数ビルドが常時走る人なら64GB、そうでなければ48GBで困らないことが多い。「64GBでないと並列が回らない」ではなく「64GBなら気にしなくていい」が正確なところです。
3-3. ローカルLLMとの関係
ローカルLLMの「評価」用途(新しいモデルを手元で試す)も、同じメモリを使います。つまり、並列エージェントのために48〜64GBを選んだ人は、結果としてローカルLLMの評価もできる。順番が逆なのが大事です。「ローカルLLMのためにメモリを買う」のではなく、「並列エージェントのためにメモリを買ったら、ローカルLLMも試せた」。
4. Macで選ぶなら、メモリ量と帯域で決まる
| ユニファイドメモリ | 動かせるローカルLLMの目安 | 用途感 |
|---|---|---|
| 16GB | 7Bクラス | ブラウザ+Office。AIはクラウド前提 |
| 24GB | 14Bクラス | 資料検索(RAG)・エージェント開発の入門 |
| 32GB | 30Bクラス | エージェント数本の並列、ローカルで実務品質に届き始める |
| 48GB | 70Bクラス | エージェント並列+新モデル評価 |
| 64GB | 70B快適+画像生成同時 | 開発者向け。並列を気にしなくていい |
| 128GB | 200B超・複数同時 | 研究・製薬規模。個人では過剰 |
帯域の目安:M5無印153GB/s → M6無印170GB/s → M5 Pro 307GB/s → M5 Max 614GB/s。
誤解①「最新のM6が一番いい」:M6はメモリ上限32GB・帯域170GB/s。M5 Proは48GB以上・307GB/s。並列エージェントやローカルLLM評価が目的なら、M6ではなくM5 Pro。M6の強みは2nmプロセスによる電力効率とGPU性能で、「大きいメモリ」の用途では上位ではありません。
誤解②「Neural Engineが2倍になったからローカルLLMが速い」:Neural Engineが使われるのは、Apple純正のAI機能(写真の検索、文字起こし、通知要約)と一部のCore MLアプリ。主流のローカルLLM実行環境(llama.cpp、MLX)はGPUとメモリ帯域を使い、Neural Engineをほとんど使いません。
外付けSSDはモデル置き場に向きません(内蔵14.5GB/s vs 外付け1〜2GB/s)。AirとProの差はファンの有無で、長時間の高負荷はファンレスのAirだと熱で性能が落ちます。
5. 「買う理由」と「買わない理由」を同じ重さで
筆者は3月、自分のMac選定でAIに相談したとき、「買う理由」ばかりを並べられて、冷静な第三者に「それ全部AIが作った正当化では?」と言われました。その反省で、必ず両方を書きます。
買わなくていいケース
- 今のPCに性能の不満が一つもない
- AIはクラウドを1つずつ使う。エージェントを並列で走らせない
- 欲しいのは「仕事と私用を分けること」だけ → 15〜20万円のMac miniでも達成できる
- 「大きいメモリでしかできないこと」を1つも言えない → 32GBで十分
買っていいケース
- 週1回以上持ち出す
- エージェントを並列で走らせる、または新しいモデルを手元で評価する具体的な場面がある
- 4年使う前提で、上位チップがM7まで更新されないことを踏まえ、今のM5 Proを選ぶ
- 予算は「使い切る金額」ではなく「上限」として扱える
待つべきか
「待てば安くなる」はこの2年間ずっと外れています。2026年6月25日、Appleはメモリ価格高騰を理由に全Mac/iPadを値上げしました(14インチM5:279,800円→339,800円)。DRAM契約価格は2026年Q1に前期比100%超上昇、正常化は早くても2026年末という見方です。ただし「だから最上位を買え」にもなりません。必要なものを今買う理由にはなるが、高いものを買う理由にはならない。
6. 減価償却を、誰が見てもわかるように
以下は一般論です。制度の期限や要件は変わるので国税庁の最新情報を確認し、最終判断は税理士へ。
6-1. まず「その収入は、何の所得か」(概要のみ)
パソコン代を経費にできるかは、金額より先に、副業の収入の種類で決まります。
- 給与(1月に「源泉徴収票」が届く)→ パソコン代を給与側の経費にはできない。給与所得には個別の経費を乗せられない仕組みのため
- 報酬(1月に「支払調書」が届く、または自分で請求書を出す)→ 事業所得か雑所得。パソコン代を経費にできる
専門学校などの非常勤講師は給与扱いが多いですが、学校によって異なります。契約書の名称では判断できないので、1月に届く書類で確認してください。
同じパソコンを「講義(給与)」と「自分の事業(開発・教材制作・発信・教育開発案件)」の両方に使っているなら、事業に使う割合を按分して経費にするのが正攻法です。授業のために作ったシステムも、学校に納めて終わりなら給与側、自分の手元に残して事業でも使うなら事業側に按分できます。所得区分と按分率は、税理士に「収入の形」と「パソコンの使い方」を伝えて決めてもらってください。
教師以外の副業——たとえば開発の受託、記事の執筆、教材の販売、研究の支援——でも考え方は同じです。「給与か報酬か」「事業として帳簿をつけているか」「パソコンを事業にどれだけ使っているか」の3点で決まります。
この節をあえて書いたのは、筆者が「臨床工学技士で、教える仕事や副業を始める人がこれから増える」と考えているからです(筆者のnote「いま、臨床工学技士はチャンスだと思う」)。医療職は給与所得だけで完結してきた人が多く、副業を始めたとき、この区別を知らないまま確定申告の時期を迎えがちです。青色申告と白色申告の違い、給与と報酬の違い——この最低限だけは、副業を始める前に理解しておくことが大事です。 細かい計算は税理士に任せられますが、「自分の収入がどの種類か」だけは本人にしか答えられません。
6-2. 事業所得と雑所得の違い(開発費が収入を上回る年がある人へ)
教育や開発の副業では、最初の1〜2年は開発費が収入を上回ることが珍しくありません。教材システムを作るのにパソコン・ソフト・クラウド費用がかかり、収入は翌年から、というパターンです。
このとき、副業が事業所得なら、赤字を給与所得など他の所得と相殺できます(損益通算)。雑所得なら、赤字は他の所得と相殺できず、その年で切り捨てです。
では何が事業所得で、何が雑所得か。国税庁は2022年の通達で、おおむね次の考え方を示しています。
- 帳簿書類を保存していることが前提
- 収入が300万円以下で帳簿がない場合は、原則として雑所得
- 帳簿があっても、収入が主たる所得の1割未満で赤字が続くなど、営利性・継続性が乏しいと判断されると雑所得になりうる
つまり、「開発費が収入を上回る年があっても、帳簿をつけ、継続して収入を得る意思と実態があれば、事業所得として扱える余地がある」ということです。逆に、毎年赤字で、収入を増やす見込みも活動もない場合は、事業と認められにくい。
ここで大事なのは、節税のために赤字を作るのではなく、事業として本気でやった結果の赤字を正しく申告する、という順番です。開発に投資した年の赤字は、翌年以降に収入が立つ計画と実績があってはじめて、事業所得として自然に説明できます。帳簿(会計ソフトで十分)と、按分の根拠(使用時間・用途のメモ)が、その説明の土台です。
6-3. 金額で4段階に分かれる(事業所得・雑所得の場合)
| 購入金額(学割後の支払額で判定) | 扱い | 経費になるタイミング |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費 | 買った年に全額 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産 | 3年で均等(1/3ずつ) |
| 20万円以上30万円未満 | 少額減価償却資産の特例(青色申告が条件、年間合計300万円まで) | 買った年に全額 |
| 30万円以上 | 通常の減価償却(PCの法定耐用年数は4年) | 4年に分けて |
- 30万円の壁は「学割後の支払価格」で判定。ギフトカード還元は差し引かない
- 白色申告だと20〜30万円でも特例は使えず、通常の減価償却になる
6-4. 40万円・50万円の具体例(定額法・4年)
個人事業主は原則「定額法」。4年なら毎年25%ずつ。年の途中で買った場合は月割り。
例1:50万円を1月に購入
- 毎年:500,000 × 0.25 = 125,000円(4年目は備忘価額1円を残す)
例2:50万円を11月に購入
- 1年目:125,000 × 2/12 = 20,833円
- 2〜4年目:各125,000円、5年目:残り104,166円
例3:40万円を11月に購入
- 毎年:100,000円。1年目:16,667円、2〜4年目:各100,000円、5年目:残り
例4:29万円(学割後)を11月に購入・青色申告
- 特例 → 1年目に290,000円を全額経費
例5:50万円を11月に購入、仕事7割・私用3割
- 1年目:20,833 × 0.7 = 14,583円。2〜4年目:各87,500円
11月に50万円のMacを買っても、今年の経費は約2万円。慌てる必要はありません。
6-5. 見落としがちな3点
- 家事按分:仕事と私用の両方で使うなら、仕事で使う割合だけ。根拠(使用時間・用途)をメモしておく
- AppleCare+:本体と別に、保険料や修繕費として処理できる場合がある(税理士確認)。本体価格に含めない扱いが一般的で、30万円の判定にも影響しない
- 分割払い:ペイディなど(金利0%・24回)で買っても、減価償却は購入価格で計算する。支払いが毎月でも、経費計上は上の表のとおり
7. ローカルAI・並列エージェントを使うなら、買うときに決めておくこと
- Apple IDを仕事用と私用で分ける。新しいMacは仕事用Apple IDでサインインし、私用のiPhoneとはキーチェーンを同期しない。パスキーの安全性は「同じアカウントにつないだ端末のうち一番弱い1台」に引きずられる
- FileVault(ディスク暗号化)を初回起動時にオン
- ログインパスワードは管理アプリで生成した長いもの
- 「機密データはローカル、公開情報はクラウド」の線引きを紙に書く
- エージェントに渡す権限を絞る:並列で走らせるほど、1本が暴走したときの影響も広がる。本番環境の変更・外部送信・課金は、人間の確認を挟む
- OSは自動アップデート。2026年3月にGoogleが公表したiOSの攻撃チェーン「DarkSword」は、Safariで悪意あるページを開くだけで端末を乗っ取るもので、暗号資産ウォレット狙いに転用されたとSlowMistが10月に報告しています。対象は古いiOS(18.4〜18.7、26.0〜26.1)で、最新に更新していれば効きません
8. 💬 こんな会話、ありませんか
A「ローカルAI入れたら、セキュリティ上がるんでしょ?」
B「上がるのは『データを外に出さなくていい作業が増える』ってところだけ。乗っ取りを防ぐのはパスキーとOS更新」
A「じゃあ64GBって、ローカルAIのため?」
B「それより、エージェントを10本並列で走らせたときに机があふれないため。ローカルAIは、その広い机で新しいモデルを試食するおまけ」
A「50万円、年末に買えば今年の節税になる?」
B「4年償却だから、11月に買っても今年の経費は2万円くらい。それに、副業が給与ならそもそも経費にならない。請求書を出す側の仕事があるかを、先に税理士と確認」
✅ 買う前のチェックリスト
- 今のPCに性能の不満が1つでもあるか
- 「大きいメモリでしかできないこと」を1つ言えるか(並列エージェント/新モデル評価/外に出せないデータ)
- 週に何回持ち出すか
- 副業の収入は給与か、請求書か(経費にできるのは後者)
- 青色申告か白色申告か
- 帳簿をつけているか(事業所得として説明する土台)
- Apple公式の構成画面で今日の価格を確認したか
- 分割の与信枠を先に確認したか
- 税理士に「購入予定額・按分・AppleCare+の処理・所得区分」を事前に聞いたか
- 仕事用Apple ID・仕事用メールを届く前に用意したか
- 手持ちの全端末のOSが最新か(ローカルAIより先にこれ)
まとめ:いちばん大事なことを、もう一度
- ローカルAIの価値は「データを外に出さない」と「新しいモデルの評価」。仕事の判断には最新のクラウドAI
- 大きいメモリが効くのは複数エージェントの並列実行。効くのは32GB→64GBの差で、48GB→64GBの差は小さい
- M6は32GB・170GB/sが上限。並列・評価が目的ならM5 Pro 48GB以上。M6 Pro/Maxは出ない見込み
- 30万円の壁。未満なら青色申告で一括経費、以上なら4年で均等。11月に50万円を買っても今年の経費は約2万円
- 経費にできるのは請求書を出す側の副業。給与の副業は対象外。開発費が収入を上回る年があっても、帳簿と継続の実態があれば事業所得として説明できる
- ローカルAIより先に、全端末のOS更新・パスキー・Apple IDの分離
今夜やる1つのこと: 自分の副業収入が「給与」か「請求書」か、そして青色申告か白色申告かを確認する。これで買い方の半分が決まります。
📎 筆者のXでの発信との関係
筆者はXで、2026年秋の個人アカウント防衛(証券口座のパスキー、Google/Apple IDの守り方、iOSの更新)について発信してきました。この記事は、その延長で「ではローカルAIは何に効いて、何に効かないのか」「設備投資としてMacを買うなら、何を基準にするのか」を整理したものです。X:@endoh_taichi
⚠️ 免責
本記事は2026年10月28日時点の公開情報に基づく一般論です。製品の価格・仕様はApple公式で、税務の取り扱いは国税庁の最新情報と税理士で、セキュリティの事実関係は各一次情報で、それぞれご確認ください。筆者はセキュリティの専門職・税理士ではありません。本記事の内容を実際の業務や購入判断に使われたことに起因するいかなる損害についても責任を負いません。
出典・参考資料
Apple・M6
- Apple Newsroom「Apple、M6とM5 Ultraを発表」(2026年8月25日)
- 9to5Mac「M6 MacBook Pro: Three new upgrades launching this fall」
https://9to5mac.com/2026/10/12/m6-macbook-pro-three-new-upgrades-launching-this-fall/ - Macworld「M6 MacBook Pro rumors」(10月27日発表に関するBloomberg報道の整理)
https://www.macworld.com/article/3203946/m6-macbook-pro-rumors-release-date-specs.html - MacRumors「M6 MacBook Pro Expected This Year With Apple's First 2nm Chip」(M6 Pro/Maxスキップ報道)
https://www.macrumors.com/2026/06/25/m6-macbook-pro-2026/ - ゴリミー「【新価格まとめ】Apple、Mac・iPad・Vision Proを国内値上げ」(2026年6月25日)
- ※M6 MacBook Proの10月27日発表に関するApple公式ニュースルーム原文は、執筆時点で筆者未確認
ローカルLLM・メモリ
- 筆者の2026年3月の検証記録(メモリ量と動作モデルの目安、帯域、内蔵SSD vs 外付け)
セキュリティ
- Google Threat Intelligence Group「The Proliferation of DarkSword」(2026年3月18日)
https://cloud.google.com/blog/topics/threat-intelligence/darksword-ios-exploit-chain - Apple サポート「Update iOS to protect your iPhone from web attacks」
- SlowMist 脅威情報レポート(DarkSword派生キットのiOS攻撃チェーン分析、2026年10月19日)
税務
- 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」「主な減価償却資産の耐用年数表」
- 国税庁「所得税基本通達の制定について」の一部改正(2022年10月、雑所得の範囲の明確化。帳簿・300万円基準)
- 国税庁「No.1500 雑所得」「No.1350 事業所得の課税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/
著者プロフィール
臨床工学技士 × AIエンジニア / 11年間、病院の医療機器の現場に立ち続けてきました。
いまはAIエンジニアとしても活動しながら、酪農学園大学の研究生として論文博士の取得を目指しています。
研究テーマの主軸は遺伝子医療の未来。そのうえで、医療現場と地続きにある病院のIT・サイバーセキュリティ・医療AI導入についても、現場で起きている課題と一次情報を突き合わせながら調べ続けています。
質問・誤りの指摘・「うちではこうしている」という事例の共有、いつでも歓迎します。
X:@endoh_taichi
Qiita:@TaichiEndoh