前回、複数のAIと共有ノートで“1人開発チーム”をつくる全体像を書きました。
👉 前回の記事: 複数AIエージェント × Obsidian で「開発チーム」をつくる
「考え方は分かった。で、実際どう動かすの?」——今回はそこを、1日の流れに沿って、ひとつずつ噛み砕きます。
前回よりやさしく、でも中身は詳しく。プログラミングを知らない人でも読み切れるように書きました。学び直しを兼ねています。医療と IT のあいだで動きながら発信しています。
はじめに:前回の3行まとめ(ここだけ読めばOK)
- **リーダー(main)**が全体を統括する
- **案件ごとに作業場所(worktree)**を分ける
- 2体のAIが補い合い、その記憶を**共有ノート(Obsidian)**に貯める
今回は、この4者が実際にどう連携して1日を回すかを見ていきます。
登場人物(超やさしいおさらい)
| 役 | 誰 | ひとことで |
|---|---|---|
| リーダー | あなた(人間) | 最終決定をする人 |
| 秘書AI | Claude Code | 考えて丁寧に作る |
| 実行AI | Codex | 速くこなす・別の目で見る |
| 共有黒板 | Obsidian | みんなの記憶を貯める場所 |
🔰 「AIエージェント」って何?(もう一度)
ただ質問に答えるAIではなく、「この作業まるごとやっといて」と頼める、自分で動くAIです。調べて・作って・確認して、を自走します。
1日の流れ:5ステップで回す
実際の運用を、朝から順に追います。
ステップ① 朝:今日やることを“読み上げて”もらう
朝、AIが今の状況を読み取って「今日の論点・注意点」をまとめてくれます。
🔰 「ブリーフ」って何?
作戦会議の頭出しのこと。「今これが進行中/ここが危ない/今日相談すべきはこれ」を短くまとめたものです。
ポイントは “読むだけ”にすること。
🔰 「読み取り専用」って何?
見るだけで、勝手に書き換えない設定のこと。
最初から自動で色々書き換えると事故るので、まずは見て報告するだけから始めます。これが安全のコツです。
ステップ② 指示:あなたは「お願い」するだけ
「この作業やっておいて」と日本語で頼みます。
あとはAIが自分で最後まで進めます。途中でいちいち「次どうします?」とは聞いてきません。
ここが気持ちいいポイント。細かい確認で作業が止まらない。
ステップ③ 自動進行:AIが調べて・作って・確認する
AIは、調査 → 実装 → 自分でチェック(型・見た目・動作)まで一気にやります。
お金がかからない作業は、全部AIが自動で進める——これが基本ルールです。
ステップ④ 止まる:本当に必要な所だけ、あなたに聞く
そして、「本番に出す瞬間」だけ、AIは手を止めてあなたに確認します。
🔰 「本番」って何?
実際に世の中に公開される版のこと。お客さんや利用者が見るのはこれ。だから、ここに出す前は人間がOKを出します。
このとき、AIは初心者でも分かる形で報告します。これを私たちは「人間チェック点カード」と呼んでいます。
✅ ここまでやったこと(やさしい言葉で)
🔰 出てきた専門用語の意味
🙋 なぜここから人の判断が必要か
A / B / C の選択肢(おすすめつき)
影響範囲とリスク(🟢🟡🔴)
→ あなたは読んで、「GO(やってOK)」とエンターを押すだけ。
ステップ⑤ 反映:OKが出たら本番へ
あなたが「GO」と言ったら、AIが本番に反映します。
🔰 「マージ」って何?
枝分かれして作った変更を、本流に合流させること。
下書き(ブランチ)で作ったものを、正式版(main)に綴じ込むイメージ。綴じ込むと全員が見る版に反映されます。
肝は「止まる所の設計」
AIに任せると不安なのは「勝手に変なことされないか」ですよね。
そこで、止まる場所をはっきり決めておくのが今回いちばんの工夫です。
| AIが勝手にやってOK | 人間に必ず聞く |
|---|---|
| 調べる・作る・手元で確認する | 本番に出す(公開) |
| メモやノートの更新 | お金が増える操作 |
| 下書き(ブランチ)作成 | パソコンや外部サービスの設定変更 |
| 文章・記事の作成 | 消すと戻せない操作 |
ルールは1行: 「お金がかからず・元に戻せることは自動。戻せない/お金/公開だけ人間」
お金の話(具体的に)
AIや公開サービスは、使い方を間違えると料金が地味に増えます。今回そこも仕組みで抑えました。
🔰 「ビルド」って何?
人間が書いたコードを、機械が動かせる形に組み立て直す工程。
レシピ(コード)を実際の料理(動くアプリ)に調理する感じ。この調理に料金がかかります。
料金を抑える2つの工夫
- 無駄な調理をしない: 文章やメモだけ直したときは、調理(ビルド)を自動でスキップする設定にした
- 本番前に手元(無料)で味見: 公開前に、自分のパソコンで同じ調理を一度試す。失敗はここで気づける
お金がかかる作業は最後の1回だけ。確認はぜんぶ無料の手元で。
AI同士の「会議」の実際
2体のAIに、ただ別々に作業させるだけではもったいない。お互いをチェックさせると品質が上がります。
🔰 「ダブルチェック」って何?
片方が作ったものを、もう片方が見直すこと。
1人だと見落とすミスも、別の目が入ると見つかります。人間でも2人で見ればミスが減るのと同じ。
会議の進め方(3ラウンドまで)
- Claude(作る人)が案を出す
- Codex(見る人)がレビュー・別案・画像案を出す
- Claude が修正版を出す
- あなたが最終決定 → ノートに「決めたこと」を1行残す
🔰 「決定ログ」って何?
「いつ・何を・なぜ決めたか」を1行ずつ残す台帳。
後から「あれ、なんでこうしたっけ?」が消えます。AIも人間も、これを見れば過去の判断を引き継げます。
コツ: 議論は最大3ラウンドまで。決まらなければ「いったん作って試す」に切り替える。延々と議論しない。
記憶の置き場の「使い分け」
メモの置き場が混ざると「どこに書いたっけ?」が起きます。役割で分けます。
| 置き場 | 何を書く | 期間 |
|---|---|---|
| 短期メモ | 今の作業の途中経過 | その場限り |
| 連絡板 | 他の作業場所への伝言 | 数日 |
| 共有ノート(Obsidian) | AIの議論・決定・レビュー | 長期 |
| 報告書 | 人間向けの進捗まとめ | 定期 |
→ Obsidian には「AIの会議の記録」だけを貯める、と決めておくと綺麗に育ちます。
初心者がつまずきやすい所と対策
| つまずき | 対策 |
|---|---|
| AIに任せたら本番が壊れた | 「本番反映は人間がOK」を徹底(止まる所の設計) |
| 料金が増えてた | 無駄なビルドをスキップ+手元で事前確認 |
| どこに何を書いたか分からない | 置き場を役割で分ける(上の表) |
| AIの言うことを鵜呑み | 大事な所は必ず人間が最終チェック |
| 議論が終わらない | 3ラウンドで切る。迷ったら作って試す |
まとめ — 「自動で進める × 要所だけ人間」が答え
今回の実践をひとことで言うと、こうです。
「お金がかからず戻せることは全部AIが自動で進め、公開と最終判断だけ人間がやる」
この線引きさえ決めれば、AIは安心して走らせられ、あなたは大事な判断だけに集中できます。
そして嬉しいのは、これが特別な道具を買わなくても、無料の組み合わせで始められること。
全部いきなり完璧にしなくて大丈夫です。
まずは「本番に出す前だけ自分で確認する」——この1本の線を引くところから始めれば、十分前に進めます。
著者について
臨床工学技士 × AI エンジニア。教育関係の仕事もしています。
医療と IT のあいだで動きながら、現場目線で発信中です。
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