ひとりで複数プロジェクトを並行開発していると、「人手が足りない」「文脈の共有が大変」という壁にぶつかります。
そこで今回、複数のAIエージェントを“チーム”として動かし、その記憶を Obsidian に集約する開発体制を整えました。
この記事は、その全体像と、なぜこの形が強いのか、そして今後の可能性をまとめたものです。学び直しを兼ねて書いています。医療と IT のあいだで動きながら発信しています。
1. 全体像:1人のリーダーと、案件ごとの開発現場
まず体制の地図です。
[ main = 統括リーダー ]
├─ 全体方針・共通ルール・本番リリースの最終ゲート
│
├─ worktree A(案件A の開発現場)
├─ worktree B(案件B の開発現場)
├─ worktree C(案件C の開発現場)
└─ …(案件ごとに独立)
main がプロジェクトリーダーとして全体を統括し、各案件は worktree(作業現場)ごとに独立して開発します。
🔰 「worktree」って何?
ひとことで言うと「同じプロジェクトを、複数の作業机で同時に開ける仕組み」です。
机ごとに別の案件を進められるので、お互いの作業がぶつかりません。1人でも「複数チームを並行で回す」感覚で開発できます。
メリット: 案件ごとに頭を切り替えず、机を移動するだけ。リーダー(main)が全体を見て、最後のリリース判断だけ握る。
2. 複数のAIエージェントで“弱点を補い合う”
今回の主役は2つのAIです。役割をはっきり分けました。
| AI | 役割 | 強み |
|---|---|---|
| Claude Code | ビルダー(作る人) | 文脈理解・実装・文章・全体のとりまとめ |
| Codex | レビュアー(見る人) | 別視点のチェック・リスク発見・画像/UI案 |
🔰 「AIエージェント」って何?
指示を受けて自分で考えて作業を進めるAIです。ただ質問に答えるだけでなく、調べて・作って・確認して、を自走します。
🔰 「レビュー」って何?
作ったものを別の目で見直すこと。1人だと見落とすミスやリスクを、第三者の視点で拾えます。
ポイントは「補い合い」です。
作る側(Claude)が前に進める一方で、見る側(Codex)が「ここ危なくない?」「別の案は?」と指摘する。1つのAIに全部やらせるより、得意分野で分担した方が品質が上がります。
例えると、設計者と検査員。設計者だけだと自分の盲点に気づけませんが、検査員がいると品質が安定します。
3. Obsidian=AIたちの「共有ノート・会議室」
複数AIで困るのが「毎回ゼロから説明しなきゃいけない」問題です。これを解決するのが Obsidian です。
🔰 「Obsidian」って何?
Markdown(テキスト)でメモを書き、メモ同士をリンクで繋げられるアプリです。普通のメモ帳と違い、知識を「網の目」のように繋いで育てられます。
🔰 「Markdown」って何?
記号で見出しや箇条書きを書ける、シンプルな文章の書き方です。AIも人間も読み書きしやすいのが特徴。
この Obsidian を、AIたちの**共有ノート(外部脳)**として置きました。
- 議論したこと
- 決めたこと(決定ログ)
- レビュー結果
- 今後の宿題
これらを1か所に貯めるので、新しくAIのセッションを開いても、ノートを読めば文脈をすぐ引き継げます。
メリット: 「あの時何を決めたっけ?」が消える。AIも人間も同じ黒板を見ながら会議できる。
4. コストもしっかりコントロール
チーム開発で見落としがちなのが運用コストです。今回そこも仕組みで抑えました。
🔰 「デプロイ」「ビルド」って何?
- デプロイ = 作ったアプリをネットで公開する作業
- ビルド = コードを動く形に組み立てる工程。ここに計算コストがかかる
文章やメモだけの更新ではビルドを自動でスキップし、本番に出す前は手元(無料)で検証してから一度だけリリースする。そういう流れにしました。
メリット: 品質を落とさずに、無駄なコストだけ削れる。統括リーダー(main)がリリースの最終ゲートを握るから、ここが効きます。
5. なぜこの体制が強いのか(まとめ表)
| 課題 | この体制での解き方 |
|---|---|
| 1人で複数案件 | worktree で案件ごとに独立。main が統括 |
| AIの見落とし | 作る人(Claude)と見る人(Codex)で補い合う |
| 文脈の共有 | Obsidian の共有ノートに記憶を集約 |
| 運用コスト | リリースゲートを一本化+無駄ビルド削減 |
| 最終判断 | 必ず人間が行う(AIは提案まで) |
それぞれの長所を足し算し、短所を打ち消し合う——これが複数AI×共有ノート体制の核心です。
6. これからの可能性
この土台があると、今後こんな展開ができます。
- 毎朝の自動ブリーフ: AIが「今日の論点・注意点」を読み取り専用でまとめ、会議の頭出しをしてくれる
- 知識が貯まるほど賢くなる: 決定ログや議論が積み上がり、後から来たAIほど文脈に強くなる
- AIの増員もしやすい: 役割が明確なので、画像生成特化・調査特化など別のAIを足しても破綻しにくい
- 人間はより上流へ: 細かい作業はAIに任せ、人間は「何を作るか」「最後にOKを出すか」に集中できる
つまり、AIを“道具”ではなく“チームメンバー”として運用する段階に入れます。
まとめ — 1人でも“チーム開発”ができる時代
今回やったことを一言でまとめると、こうです。
「リーダー(main)が統括し、案件ごとに現場(worktree)を分け、複数AIが補い合い、その記憶を共有ノート(Obsidian)に貯める」
1人でも、まるで小さな開発チームのように動けます。
そして嬉しいのは、これが特別な道具を買わなくても、無料の仕組みの組み合わせで始められること。
全部いきなり完璧にしなくて大丈夫です。「共有ノートを1枚置く」——まずそこからで十分前に進みます。
著者について
臨床工学技士 × AI エンジニア。教育関係の仕事もしています。
医療と IT のあいだで動きながら、現場目線で発信中です。
- note: https://note.com/taichi_endoh
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