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【備忘録】Salesforce Hosted MCP Serverで何ができるのか整理する - SObject系サーバーを中心に見る

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はじめに

以前の記事では、Salesforce Hosted MCP Server を有効化し、Claude Desktop から sobject-reads へ接続する流れを整理しました。

今回はその続編として、Salesforce Hosted MCP Server にはどのような標準サーバーがあるのかを、特に SObject 系サーバー を中心にざっくり整理します。

前回は sobject-reads を使いましたが、公式リファレンスを見ると、SObject 系だけでも次のように用途別に分かれています。

  • platform/sobject-reads
  • platform/sobject-all
  • platform/sobject-mutations
  • platform/sobject-deletes

本記事では、これらを「どれが強いか」ではなく、AI クライアントにどこまで Salesforce データ操作を許すか という観点で整理します。

※本記事は 2026-08-10 時点で確認した公式情報をもとにした個人の整理メモです。提供条件、名称、画面、対応クライアント、利用できるサーバーは変更される可能性があります。実際に利用する場合は、必ず最新の公式ドキュメントを確認してください。


Salesforce Hosted MCP Server の標準サーバーとは

fig_01_standard_servers.png

Salesforce Developers のリファレンスでは、Salesforce が提供する標準 MCP サーバーについて、Salesforce の組み込み Platform / Product capabilities を公開するものとして説明されています。

標準サーバーについて、まず押さえておきたい点は次の通りです。

  • Salesforce が事前構成した MCP サーバーである
  • 標準サーバーはデフォルトでは無効で、管理者が有効化する
  • 標準サーバーのツールセットは固定で、変更できない
  • ツール呼び出しには Salesforce の標準セキュリティモデルが適用される
  • Field-Level Security、オブジェクト権限、共有ルールが各ツール呼び出しに適用される

なお、Hosted MCP Server 自体は、公式ブログによると 2026 年 4 月に GA(一般提供)となり、Enterprise Edition 以上の組織向けの本番利用可能な機能として案内されています。また、Developer Edition でも Hosted MCP Servers が利用可能になっています。ただし、Headless 360 (Beta) のように、個別のサーバー単位では Beta 段階のものも含まれます。

つまり、Hosted MCP Server は「AI から Salesforce を何でも無制限に触れるようにする仕組み」ではありません。

一方で、AI クライアントから自然言語で Salesforce データを参照・変更できる可能性があるため、どのサーバーを有効化するか はかなり重要です。


標準サーバーの大きな分類

fig_02_server_categories.png

公式リファレンス上では、標準 MCP サーバーは大きく次のように整理されています。

SObject 系サーバー

Salesforce の標準オブジェクトやカスタムオブジェクトを扱うためのサーバー群です。

サーバー ざっくりした役割
platform/sobject-reads 読み取り・クエリ・検索・リレーション参照のみ
platform/sobject-all 作成・読み取り・更新・削除・クエリ・検索・リレーション参照を含むフル機能
platform/sobject-mutations 作成・更新を許可し、削除は含めない
platform/sobject-deletes 削除ワークフロー向けに絞ったサーバー

Product-specific 系サーバー

SObject 以外の製品・機能に関係する標準サーバーもあります。

公式リファレンスでは、例として次のようなサーバーが挙げられています。

サーバー ざっくりした役割
Data 360 Data 360 の統合顧客データをクエリする
Headless 360 (Beta) Discover / Describe / Dispatch などを通じて Salesforce Setup や Platform capabilities にアクセスする
Tableau Next Tableau Next 関連のサーバー

本記事では、前回記事とのつながりを重視して、以降は SObject 系サーバーに絞ります。


SObject Reads: まず試すなら読み取り専用

fig_03_sobject_reads.png

前回の記事で使った platform/sobject-reads は、SObject 系の中では一番安全寄りに理解しやすいサーバーです。

公式リファレンスでは、platform/sobject-reads は標準オブジェクト・カスタムオブジェクトに対する read-only access を提供すると説明されています。

できることは、主に次のようなものです。

  • スキーマを調べる
  • SOQL でレコードを取得する
  • SOSL で複数オブジェクトを横断検索する
  • リレーションをたどって関連レコードを取得する
  • 現在の認証ユーザー情報を取得する
  • 最近参照・更新したレコードを取得する

一方で、次の操作はできません。

  • レコード作成
  • レコード更新
  • レコード削除

公式ドキュメントでも、sobject-reads は SObject server family の中で最も安全であり、データ変更はできないと説明されています。

そのため、最初の検証では sobject-reads から始めるのが自然です。

例えば、次のような用途に向いています。

  • 商談やケースの要約
  • 会議前の顧客情報確認
  • 関連レコードの探索
  • レポート作成前のデータ確認
  • Salesforce データをもとにした質問応答

👉 最初の接続確認・読み取り検証・社内説明には sobject-reads が扱いやすい と整理できます。


SObject All: フル機能だが、最初に有効化するものとは限らない

fig_04_sobject_all.png

platform/sobject-all は、SObject 系の中で最も広い機能を持つサーバーです。

公式リファレンスでは、platform/sobject-all は標準オブジェクト・カスタムオブジェクトに対して、次の操作を含む complete set of tools を公開すると説明されています。

  • create
  • read
  • update
  • delete
  • query
  • search
  • relationship traversal

つまり、sobject-reads が読み取り専用なのに対し、sobject-all は CRUD 全体を含みます。

この違いはかなり大きいです。

観点 sobject-reads sobject-all
スキーマ参照 ○ ○
SOQL クエリ ○ ○
SOSL 検索 ○ ○
関連レコード参照 ○ ○
レコード作成 × ○
レコード更新 × ○
レコード削除 × ○

公式リファレンスでは、sobject-all を使っても Salesforce の権限モデルは安全網として働き、操作は認証ユーザーの Field-Level Security、オブジェクト権限、共有ルールに制約されると説明されています。

ただし、ここで注意したいのは、Salesforce の権限が効くことと、誤操作リスクがなくなることは別 という点です。

たとえば、ユーザーが UI 上で編集できる項目であれば、AI クライアント経由でも更新できる可能性があります。ユーザーが削除権限を持つレコードであれば、AI クライアント経由で削除できる可能性もあります。

そのため、sobject-all は便利ですが、初回検証でいきなり有効化するよりも、次のような確認を先に置いたほうが安全です。

  • どのユーザーに接続させるのか
  • どの Salesforce 組織で試すのか
  • Sandbox / Scratch Org / Developer Edition で試せるか
  • 更新・削除を許可してよい業務なのか
  • AI クライアント側で確認プロンプトやレビュー手順を入れられるか
  • 操作ログや監査観点をどう確認するか

👉 sobject-all は「何でもできて便利」ではなく、「読み取りから更新・削除まで含むので慎重に扱うサーバー」 と捉えると理解しやすいです。


SObject Mutations: 作成・更新だけを許可する中間地点

fig_05_sobject_mutations.png

platform/sobject-mutations は、作成・更新を許可しつつ、削除は含めないサーバーです。

公式リファレンスでは、AI エージェントが Salesforce レコードを create / update できる一方で、delete はできないと説明されています。

用途としては、次のようなワークフローが考えられます。

  • 会議メモからフォローアップ Task を作成する
  • 調査結果をもとに Account や Lead の項目を補完する
  • 条件に合う Opportunity の Stage を更新する
  • Contact や Lead の情報を追加する

ここでのポイントは、変更は許すが、削除は別プロセスに分ける という設計ができることです。

platform/sobject-all だと作成・更新・削除まで含みますが、platform/sobject-mutations なら削除を除外できます。

そのため、AI エージェントにある程度の業務補助をさせたいが、削除まで任せるのはまだ怖い、という場合の中間地点として考えられます。

ただし、削除を含まないから安全、とは言い切れません。更新操作でも、商談ステージ、金額、顧客属性、ケースステータスなど、業務上重要なデータを書き換える可能性があります。

そのため、次のような運用ルールは必要です。

  • 作成・更新前に対象レコードを確認する
  • 一括更新は件数や条件を明示する
  • 重要項目は人間の確認を挟む
  • Sandbox でプロンプトと操作範囲を検証する

👉 sobject-mutations は、削除を避けつつ、作成・更新ワークフローを試すための選択肢 と整理できます。


SObject Deletes: 削除をあえて分離して考える

fig_06_sobject_deletes.png

platform/sobject-deletes は、削除ワークフロー向けに絞ったサーバーです。

公式リファレンスでは、スキーマ discovery や query tools と delete operations を組み合わせ、対象レコードを特定して削除できる一方で、create / update は除外されていると説明されています。

用途例としては、次のようなものが考えられます。

  • 重複 Lead の整理
  • 誤って作成されたテストデータの削除
  • データ品質基準を満たさないレコードの削除候補確認
  • アーカイブ前のデータ整理

ただし、削除は SObject 系の中でも最もリスクの高い操作です。

公式リファレンスでも、削除は highest-risk mutation として、可能な限り human review を要求することが推奨されています。

また、削除されたレコードは Salesforce UI の Recycle Bin から最大 15 日間は復元できると説明されていますが、MCP 経由の undelete tool は現時点で提供されていないと記載されています。

そのため、sobject-deletes は「削除もできるから便利」というより、削除を他の変更操作から分離して、より慎重に扱うためのサーバー と見るほうがよさそうです。

実務で使うなら、最低限次のような確認を入れたいところです。

  • 削除対象を SOQL で事前確認する
  • 削除候補を人間に一覧提示する
  • 件数、条件、対象オブジェクトを明示する
  • 本番ではなく Sandbox でプロンプトを確認する
  • 削除権限を持つユーザーを限定する
  • Recycle Bin で戻せる期間や運用を確認する

👉 sobject-deletes は、削除専用だからこそ、承認・確認・監査をセットで考えるべきサーバー です。


使い分けのイメージ

fig_07_usage_steps.png

SObject 系サーバーは、次のように段階的に考えると整理しやすいです。

やりたいこと 候補サーバー コメント
まず接続して読めるか確認したい platform/sobject-reads 最初の検証向き
Salesforce データを要約・検索したい platform/sobject-reads 読み取りだけで足りるならこれでよい
Task や Lead を作成したい platform/sobject-mutations 作成・更新はできるが削除は含めない
既存レコードを更新したい platform/sobject-mutations 更新対象と項目の確認が重要
作成・更新・削除まで一通り許可したい platform/sobject-all 権限・監査・確認手順を慎重に設計する
削除ワークフローだけを分離したい platform/sobject-deletes human review 前提で扱う

個人的には、検証や社内説明では次の順番が安全だと感じます。

  1. sobject-reads で読み取り専用の動作を確認する
  2. 必要な業務だけ sobject-mutations で作成・更新を検討する
  3. 削除が必要な場合は sobject-deletes を別枠で慎重に設計する
  4. sobject-all は、用途・権限・確認手順が整理できてから検討する

重要なのは「AIに何を許可するか」を分けること

fig_08_permission_layers.png

Hosted MCP Server は、MCP 対応クライアントから Salesforce に接続できる点が便利です。

しかし、便利さだけを見ると、つい sobject-all を有効化したくなります。

ここで大事なのは、AI クライアントに対して、次のどこまでを許すかを分けて考えることです。

  • 見るだけでよいのか
  • 作成してよいのか
  • 更新してよいのか
  • 削除してよいのか
  • どのユーザーの権限で動かすのか
  • 人間の確認をどこに入れるのか

Salesforce の FLS、オブジェクト権限、共有ルールが適用されることは重要な安全網です。

ただし、AI クライアントから自然言語で操作できるようになる以上、権限だけでなく、プロンプト設計、確認手順、対象業務の限定、ログ確認も合わせて考えたほうがよさそうです。


まとめ

fig_10_summary.png

Salesforce Hosted MCP Server の標準サーバーは、SObject 系だけでも用途ごとに分かれています。

  • sobject-reads は読み取り専用で、最初の検証に向く
  • sobject-all は CRUD 全体を含むフル機能だが、権限・確認手順を慎重に設計したい
  • sobject-mutations は作成・更新を許可し、削除を分けたい場合に使いやすい
  • sobject-deletes は削除専用ワークフローとして、人間の確認とセットで考えたい

前回の記事では sobject-reads まで接続しました。

次に見るべきポイントは、単に「もっと強い sobject-all を使う」ではなく、どの業務で、どの操作を、どのユーザー権限で、どこまで AI クライアントに許可するか だと思います。

Hosted MCP Server を使うと、Salesforce と AI クライアントの距離はかなり近くなります。だからこそ、最初は sobject-reads で読み取りから始め、作成・更新・削除は段階的に検討するのが安全そうです。


参考(公式情報)

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