普段多変数暗号アルゴリズム(量子耐性)について書いておきながら、肝心の渡辺さん(開発者)の経歴について書いてなかったので、遅ればせながら書きます。
渡邊栄治(Eiji Watanabe)
ちなみに僕はいつも「渡辺」さんと表記してますが、正確にはこちらの難しい方の漢字が正確です。メールのやりとりではご本人も「渡辺」の表記なので僕もそれに倣ってます。
1964年東京電気大学・電子工学科を卒業
不思議なもので、渡辺さんが大学をご卒業されたのは前回の「東京オリンピックの年」です。その渡辺さんの発明に、世代がかわって再びの東京オリンピックの年に僕が関与できていることに、なんとも言えないご縁を感じています。
日本電子株式会社に入社後1972年まで株式会社フジミックに在籍
日本電子株式会社は僕が今更説明するまでもなく、東証1部に上場する理化学機器メーカーです。知らなかったんですが、電子顕微鏡では世界シェア首位なんですね。株式会社フジミックは放送関連技術を扱うフジテレビ系列の企業です。
1979年にメテオーラ・システム株式会社を設立
現在渡辺さんが活動主体としているメインの法人です。技術開発の委託を受けることもありますが渡辺さんご自身の技術開発や開発した技術のライセンス管理などが主な目的の法人ですので、積極的な営業活動などは一切していません。
1982年07月に株式会社アマダと資本提携(2005年03月に資本提携を解消)
株式会社アマダは神奈川県に本社を置く板金加工機器の総合メーカーです。これまでの渡辺さんのキャリアとは業界が異なるので今度機会があれば資本提携の経緯について聞いてみます。
2018年にポスト量子ビット株式会社を特許の現物出資で設立
現在2021年ですので、3年ほど前から量子コンピューターによる未知の脅威に対して、その対策技術の研究に力を入れはじめました。暗号技術、セキュリティ分野での造詣を活かし、発明家として現在まで以下の技術を確立しています。
未知のバックドアが活動を開始したとき、バックドア接続をサブネットTCP/IP層で自動切断する技術
5G、6G通信にはバックドアがありその存在は一般にあまり知られていませんが、渡辺さんは普段からその脅威に対し警鐘を鳴らしています。
非可換アルゴリズムを応用する技術
「多変数暗号アルゴリズム(量子耐性)」の基礎技術です。NISTは可換アルゴリズムによるポスト量子技術の標準化を目指しファイナリストを選出していますが、可換アルゴリズムでは対処できない課題に渡辺さんは非可換アルゴリズムで解を導きました。