1. はじめに
某ベンダで、クラウドの人材育成企画と研修トレーニングのデリバリを担当しています。
AWSでセキュアなインフラを設計するとき、必ずと言っていいほど登場するのが VPCエンドポイント(VPC Endpoint) です。
VPCエンドポイントには Interface型 と Gateway型 の2種類があるのですが、理解の難易度が高いのがそれぞれの使い分けのポイントです。S3、DynamoDBどっちでもいけるけど、どっちがいいの?とか。
仕組みや料金体系を正しく理解していないと、「通信は全然ないのに、想定外の固定費が数万円かかっていた……」という、いわゆる「料金の罠」にハマることがあります。
今回はそんなAWS VPCエンドポイント(Interface型 / Gateway型)の使い分けについて、掘り下げてみたいと思います。
1. そもそもVPCエンドポイントとは?
VPCエンドポイントは、「インターネットを経由せずに、VPC内からAWSの各種サービスに直接・安全にアクセスするための接続ポイント」です。企業の多くは閉域網で構築されたシステムを利用するケースが大半だと思います。AWSの各種サービスは広域網に公開されたAPIでサービスが提供されているため、システム構築時に閉域通信の要件を満たす必要があります。そこで役に立つのが、VPCエンドポイントです。
VPCエンドポイントには大きく分けて2つのタイプがあります。まずはその違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | Gateway型(ゲートウェイ) | Interface型(インターフェース) |
|---|---|---|
| 対象サービス | S3、DynamoDB のみ | SSM、EFS、Kinesis、SQSなど多数 |
| 仕組み | ルートテーブルにルーティングを追加 | サブネット内に ENI(プライベートIP) を配置 |
| 通信経路 | VPCのルーティングレイヤー | AWS PrivateLink |
| 料金 | 無料 | 時間単位の固定費+ データ処理量課金 |
| オンプレ接続 | 不可(VPC内からのみ) | 可能(VPNやDirect Connect経由) |
2. 2つのエンドポイントの仕組みはどう違う?
① Gateway型(S3 / DynamoDB)
Gateway型は、VPCの「外側」に専用の改札口(ゲートウェイ)ができるイメージです。
-
ポイント: サブネット内のリソース(EC2など)は、ルートテーブルに記述された宛先(プレフィックスリスト:
pl-xxxxxxxx)に従って、VPCのルーティングレイヤーで自動的にS3やDynamoDBへと曲げられます。既存のネットワーク構成を汚さないのが特徴です。
② Interface型(SSM / EKS / その他多数)
Interface型は、AWS PrivateLinkという技術をベースにしており、**「サブネットの中に、対象サービスへ直通するローカルIP(ENI)が入る」**イメージです。(講義ではVPC内に足を延ばす、と解説しています。)
3. 請求書で驚く前に?知っておくべき「料金の罠」
ここがこの記事で一番お伝えしたいポイントです。
「セキュリティにいいから」と、よく調べずにInterface型をポチポチ作ると、コストが跳ね上がります。
罠①:Interface型は「置いておくだけ」で固定費がかかる
Gateway型はどれだけ使っても無料ですが、Interface型は 時間単位で固定 の料金がかかります。
罠②:データ転送量(処理量)のダブル課金に注意
Interface型は、データの通信量に応じて従量課金が発生します。
例えば、KinesisやSQS、あるいはS3(※Interface型を選択した場合)に大量のログやデータを数TB単位で流す場合、エンドポイントの処理料金だけでコストが膨れ上がります。
ただし、オンプレミス環境(社内オフィスなど)から、VPN/Direct Connect経由でAWSサービスを利用したい場合、Gateway型だと通信できません。
上記を踏まえると使い分けのポイントは以下になります。
-
S3 / DynamoDB を使うとき
- 👉 迷わず「Gateway型」を選択。 無料なので、これを使わない手はありません。
-
SSM / EKS / その他多数のAWSサービスをVPC内から使うとき
- 👉 「Interface型」を選択。
- ただし、開発環境やコストを抑えたい環境では、マルチAZにせず1つのAZだけに配置する などの「ケチる割り切り」を検討しましょう。
-
オンプレミス環境(社内オフィスなど)から、VPN/Direct Connect経由でAWSサービスを叩きたいとき
- 👉 「Interface型」一択。 Gateway型はVPC内部からしか届きませんが、Interface型はVPC内のプライベートIPなので、オンプレミス側からもルーティングを通せば直接アクセス可能です。
まとめ
Gateway型は古くからあるAWSサービスのS3/Dynamoだけなので、てっきりレガシーサービス向けの機能と勘違いしてしまいますが、機能として存在する意義がちゃんとあります。今年はAWSサービス開始から20周年、S3がランチして同じく20周年です。VPC Gateway Endpoint for S3は、調べてみると2015年でS3リリース後9年の機能なんですね。ちょっとしたトリビアでした。
参考リンク

