「3億年かけて最適化された究極のレガシーシステム?なんじゃそりゃ?」
ヒント:子供の頃、葉っぱの裏を見て「なにこのボツボツ!?」と驚いたことのある植物
.... もったいぶって隠すつもりはありません。答えは、「シダ」でございます✨
シダの一体なにがスゴイのか?
シダの葉は「バーンズリーのシダ(wiki)」のようにルールベースでその姿を描き出すことのできる、非常に美しいフラクタル構造(光合成に最適化した成長構造)を持っています。
私がいま胞子から栽培しているタチシノブはバーンズリーのシダと種類も描画の数式も異なるわけですが、この記事で「すなどりねこのシダ(タチシノブ)を描こう!」とpythonコードを持ち出すつもりはなく、3億年前からしぶとく生き抜いてきたシダの驚くべき生存戦略を「究極のDXの行き着く先」であるとして、「我が家のタチシノブ栽培記録」の画像を交えながらラフに語りたいのであります。
タチシノブを含むシダ植物の最大の特徴は、一生の中で「無性別の世代」と「雌雄をもつ世代」を行き来する点にあります。大変合理的で、効率を重視した仕組みになっているのです。
① 出発点は「無性別」──胞子体という量産フェーズ
タチシノブの私たちが普段目にしている姿は、胞子体と呼ばれる世代(葉とか茎、根)で、胞子体に性別はありません。葉が十分に成熟すると、葉の裏に形成された(見た目の微妙な)胞子嚢から、膨大な数の胞子を空中に放出します。まだ若い葉(あるいは栄養葉)に胞子嚢はありません。
② 胞子から前葉体へ──更新時のみ性別が分かれる(そしてその世代は廃棄)
胞子が発芽すると、小さなハート型の構造である前葉体になって有性生殖のフェーズに入ります。

これが前葉体!と若い胞子体かな・・?(カワイイ
)
精子を作る器官(造精器)と卵を作る器官(造卵器)が形成され、機能的に雌雄が分かれるのですが、あくまでも多様性が必要な時期だけ限定的に分かれるのであって、この時期以外は無性別な状態をキープしています。
ちなみに精子は水の中を泳いで卵に到達→受精が起こるので水分が不可欠です。
タチシノブの根茎は、モフモフしたフェルトのような毛で覆われた状態で土の中に伸びているため水分を含みやすく、有性世代が活動しやすい環境が形成されやすいのではないかと感じています。(固めの綿のマットのようなイメージ)
③ ゼンマイのような立ち上がりから、優雅な姿に変身(完全な新世代の誕生)

刷新された新世代が、レースのような優雅な葉を広げて涼しげに佇んでおります。
環境に適応して、最適な時期に最適なロールを選択し、不要なものは潔く切り捨てる・・その柔軟性の美しさよ!
まとめ
シダのライフサイクルを整理すると、こうなります。
1.無性別で大量に(胞子)展開
低コスト・高速
2.必要なときだけ雌雄に分かれて受精し自身の遺伝要素を拡張し、有性世代は廃棄
高コスト・高付加価値
3.新世代は無性別で再展開
再び低コスト
通常の被子植物が言わば「部分アップデートの繰り返し」であるのに対し、シダは最小のコストで効率的にシステムの全体更新を毎回繰り返しているわけです。いやーすごい。
雌雄に分かれた「システム更新時」も、周囲の性別を感知→対の性を選択することで迅速に環境に対応して受精します。無駄な時間は費やさない!いや~お見事!当に、
「3億年前から展開され続けてきた種の保存最適化の成果であり、究極のレガシーシステム」
であると言えるのではないでしょうか。
