無料のエンジニアコミュニティを運営しているのですが 「フルリモートを続けたいのですが、フルリモート案件はそんなに無いんですか。」そんな声をよく耳にします。
2023年ごろまでは、SES業界にもフルリモート案件が多く存在していました。
通勤なし、自由な働き方、しかも単価も高水準で多くのエンジニアが「このままずっとリモートで働ける」と考えていたはずです。
しかし2024年以降、状況は明らかに変化しました。
現在、SES業界ではフルリモート案件が急速に減少しています。
本記事では、「今後もフルリモートで働きたい人」「地方在住で出社が難しい人」がどうすれば選ばれ続けられるのかを、SES企業の視点から詳しく解説します。
フルリモート案件は減少傾向にある
2023年以前と比べて、フルリモート案件は大幅に減少しています。
今では「週2〜3出社」「都市圏在住者のみリモート可」といった条件付きの案件が主流です。
かつて当たり前だった「週5リモート・60万円〜」のような条件は、今や希少。
フルリモートを希望しても、実績豊富なベテランエンジニアでないと参画が難しい現状です。
この変化は一時的なものではなく、今後も続くと考えられます。
コロナ禍のリモート普及は“緊急対応”であり、現在は本来の水準に戻りつつあるのです。
企業がリモート勤務を見直す理由
2024年以降、多くの企業がフルリモートから常駐・ハイブリッドへ移行しています。
「やっぱり出社のほうが安心」という感情論だけではなく、明確な理由があります。
1. 企業側:マネジメント体制が未整備だった
リモート勤務ではメンバーの稼働状況を直接確認できません。
そのため以下の仕組みが必要です。
- タスク粒度と責任範囲の明確化
- 成果物のレビュー体制
- 進捗を数値で可視化するルール
- トラブル共有・報告のフロー整備
これらが不十分な企業では「誰が何をしているのか不明」「責任の所在が曖昧」といった問題が発生し、現場が混乱。
結果、リモート勤務そのものが敬遠されるようになりました。
2. エンジニア側:信頼を築けていなかった
一方で、エンジニア側にも課題があります。
リモート環境下で以下のような行動が見られました。
- 報連相を後回しにする
- 成果を可視化しない
- SlackやGitの反応が遅い・薄い
こうした振る舞いは「動いているのか?」「任せて大丈夫か?」という不安を招き、結果的に「出社のほうが安心」と判断される原因になります。
信頼の欠如が「常駐回帰」を生んだ
フルリモートの見直しは、企業かエンジニアのどちらか一方が悪いのではなく、信頼を見える形で構築する仕組みが双方に足りなかったことが原因です。
- 企業は「見えなくても安心できる仕組み」を整えるべきだった
- エンジニアは「見えないからこそ信頼を積む行動」を取るべきだった
この双方の不足が、「常駐回帰」という今の流れを生んでいます。
フルリモート案件は「残ってはいる」
完全に消滅したわけではありません。
しかし参画には、技術・実務・自己管理のすべてで高い水準が求められます。
フルリモート案件に必要なスキル
- 要件定義・設計を理解する技術力
- Git・タスク管理・進捗報告などの自己管理力
- 対面なしでも円滑に進めるコミュニケーション能力
つまり「リモートでも高い成果を出せること」が前提条件です。
若手エンジニアには回ってこない現実
経験が浅いエンジニアは、スキル不足を理由にフルリモート案件を紹介されないケースが多く見られます。
特に現在は応募者過多で競争が激化しており、「スキルが同程度なら出社できる人」が優先される傾向にあります。
フルリモート案件に参画するための3つの準備
1. 営業担当に「リモートでも安心」と思わせる
営業担当がクライアントに提案しやすい材料を揃えましょう。
- 過去のリモート/ハイブリッド案件の実績
- 対応した工程(設計・レビューなど)
- 報告方法やドキュメント整備の工夫
- GitHubやポートフォリオの提示
スキルシートを最新化しておくことも必須です。
2. 面談で「リモートでも信頼できる人」を印象づける
面談では以下がチェックされています。
- 自己紹介・経歴説明がわかりやすいか
- 質問に丁寧に答えているか
- 報連相の方法を説明できるか
- チーム意識があるか
具体例を交えて「こういうときはこう対応しました」と話せると信頼されます。
3. 経験が浅いならハイブリッド案件から
いきなりフルリモートを狙うより、週1〜2出社や初月常駐などで信頼を積むのが現実的です。
「まず対面で信用を築き、その後リモートに移行」が最も成功しやすいルートです。
フルリモート面談を突破するために意識すべきこと
面談で見られているポイント
- 経歴説明が論理的で明確
- 質問に対して誠実に回答
- チームプレーを意識した姿勢
- オンライン面談での自然な受け答え
落ちやすい人の特徴
- 一言回答で会話が広がらない
- 成果を「他人任せ」に聞こえる話し方
- 報連相・トラブル対応の説明が曖昧
- オンライン面談で目線やテンポが合わない
- 質問をしない、リアクションが薄い
これらの傾向があると「リモートでは不安」と判断されやすくなります。
面談で選ばれる人の共通点:「安心感」
最終的に選ばれるのは、“一緒に働いても不安がない人”。
面談では次の3点を意識してください。
- 自分の経験を具体的に言語化して説明できる
- 相手の意図を汲み取って回答できる
- チームの中での立ち回りを語れる
単にスキルが高いだけでは不十分。
「この人ならリモートでも安心」と思わせることが、採用の決め手になります。
まとめ:リモートを続けたいなら「信用」を積み上げよう
SESエンジニアがフルリモートで働き続けるためには、
「スキル × 信頼 × 自己管理」 の3要素が欠かせません。
スキルを磨くのは当然ですが、
「信用できる」「安心して任せられる」と思われるエンジニアこそ、
今後もリモート案件を選べる立場でいられるでしょう。
まずは目の前の現場で信頼を積み重ね、
次のステップとしてフルリモートを狙っていきましょう。