0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

基本設計経験とは何か?AI時代に求められる設計力とスキルシートの書き方

0
Posted at

「基本設計経験あり」と書いていいのは誰か——在庫3点に4点注文されたら、で分かる設計の本質

スキルシートに「基本設計」と書く人は珍しくない。
だが中身を聞くと、決まった内容を書き写す作業だったことが多い。
基本設計の本質は、使う人の体験(UX)を画面と動きのルールに落とすことだ。
架空のECサイトの「在庫3点に4点注文」という1つの場面を、工程ごとに追いかけて整理する。

この記事は 基本設計経験とは何か?AI時代に求められる設計力とスキルシートの書き方 のダイジェスト版です。
二人の注文が重なる場合の考え方や、AIで設計を練習する際の注意点は、上記の完全版をどうぞ。

同じ「在庫不足」でも、工程ごとに考えることが違う

題材は、Tシャツを販売する架空のECサイトだ。
商品をカートに入れ、数量を確認して注文する。
ここでは数量と在庫だけに絞る。

工程 ひと言でいうと 在庫不足でいうと
要件定義 何をできるようにするか決める 店に来なくても注文できるようにする
基本設計 使い方と動きのルールを決める 在庫不足なら注文を止め、数量の修正を案内する
詳細設計 裏側の処理を具体化する どこで在庫を調べ、どの処理を止めるか決める
実装 決めた処理をコードにする 数量チェックと注文保存の処理を書く
テスト 決めたとおりに動くか確かめる 在庫3点に4点注文して、受け付けないか確認する

同じ注文機能でも、考えていることの細かさが違う。
基本設計は「どう動けばよいか」、詳細設計は「どう作るか」だ。

ただし工程名で仕事をきっちり分ける必要はない。
実際の基本設計には、システムの方式なども含まれる。
自分の現場で、どの設計書に何を書き、誰が確認するのかが分かれば十分だ。

在庫3点に4点注文されたら、どうするか

ここが基本設計の本質に触れる場面になる。

選択肢は少なくとも3つある。

  • 3点だけ受け付ける
  • 不足分を予約扱いにする
  • 注文を止め、数量を選び直してもらう

どの案を選んでも、システムとしては動く。
しかし買う人の体験はまったく違う。

黙って3点に減らせば、届いてから「頼んだ数と違う」と気づく人が出る。
問い合わせや返品が増え、店の負担にもなる。
「動けば良い」という視点では、この差が見えない。

多くのエンジニアは、機能が動けば設計は済んだと考える。
一方、POやビジネスサイドが見ているのは、使う人がどう感じるかだ。
基本設計は、このUXを画面と動きのルールに落とす仕事である。

だから、実装担当者が作りやすさだけで決めてはいけない。
この例では店側へ確認し、こう決まったとする。

  • 在庫の範囲だけ注文できる
  • 不足時に数量を勝手に減らさず、買う人へ修正を求める
  • カートに入れただけでは在庫を取り置かない

決まったルールを、数量欄と案内文にする

方針が決まったら、画面の動きに落とす。

状況 画面の動き
在庫が足りない 注文を確定せず「在庫が不足しています。数量を変更してください」と案内
在庫が0点 売り切れを案内
0点・小数の数量 受け付けない(1点以上の整数のみ)

設計書でいう「入力チェック」や「エラー時の動き」だ。
平たくいえば「何を入力してよいか」「買えないときに何を伝えるか」になる。
案内文ひとつでも、買う人が次に何をすればよいか分かるかで体験が変わる。

不明点を見つけたら、リーダー経由で確認すればよい。
自分で決める権限がなくても、決める必要があることには気づける。
その気づきを設計書へつなげることも、設計に関わる仕事だ。

詳細設計とテストは、ルールを守る仕組みになる

基本設計で決めた動きを、裏側の処理へ落とすのが詳細設計だ。

ここで押さえたいのが、画面の制限だけでは足りないという点だ。
画面で1〜3点しか選べなくしても、画面を通らずにデータが送られる場合がある。
OWASPの入力検証ガイドでも、画面側の確認はUXのため、サーバー側の確認は安全のためと役割を分けている。

さらに、カートに入れてから注文するまでに、別の人が買うこともある。
取り置きをしない店なので、注文を受け付ける時点の在庫を確認する。

① 数量が1以上の整数でなければ、注文を受け付けず修正を求める
② 在庫が足りなければ、注文を確定せず案内を返す
③ 条件を満たす場合は、在庫の確保と注文の記録を行う
④ 正常に記録できたことを確かめ、注文完了を伝える

この4行で詳細設計が完成するわけではない。
在庫だけ減って注文が残らない、といった失敗への備えも要る。
最初は先輩のレビューを受けながら、確認する範囲を広げていけばよい。

設計の内容は、そのままテストの観点につながる。
在庫3点の状態から、それぞれ試す。

試すこと 確認したい結果
2点を注文 注文でき、在庫は1点になる
3点を注文 注文でき、在庫は0点になる
4点を注文 注文できず修正が案内される。在庫は3点のまま
0点・小数・空欄を送る 注文できず入力の修正が案内される

在庫不足時の案内が未定なら、テスト担当者がその場で決めるのではない。
基本設計の担当者へ戻り、どう動くべきかを確認する。

▶ 二人の注文が重なる場合の考え方や、AIで設計を練習する際の注意点はこちら → 基本設計経験とは何か?

AIが作ったカートは「動く」。だが体験までは決めない

AIに「商品を注文できる機能を作って」と依頼したとする。
在庫不足なら、数量を黙って在庫数まで減らす作りになっていた。

動作としては正しい。
テストを書かせても、そのとおりに通ってしまう。
しかし、店が決めた「買う人に修正を求める」体験とは違う。

AIは指示された範囲で合理的に作るが、誰の体験を優先するかまでは決めない。

ここでUXの視点が判断の物差しになる。
AIを使ううえで難しいのは、出てきたものの良し悪しを判断することだ。
物差しを持たないままAIを使うと、動くものを量産するだけで終わる。

基本設計を理解していれば、「使う人にとって何が困るか」を確認できる。
詳細設計を理解していれば、そのルールが裏側の処理にもあるかを追える。
AIに実装を任せる現場ほど、この判断が人に残る。

「文言を直した」と「仕様の抜けを確認した」は別の経験だ

ここで最初の問いに戻る。

数量欄の説明を、指示された文言へ変更した。
これは、決まった内容を正確に反映した経験だ。

在庫を超える注文の扱いが未定だと気づき、確認した。
これは、仕様の抜けを見つけて設計へ反映した経験でもある。
買う人が戸惑う場面を先回りして見つけた、UXの経験ともいえる。

どちらも書いてよい。ただし「基本設計書を修正」の一行では、この違いが伝わらない。

記述
Before ECサイトの基本設計・詳細設計・製造・テストを担当。
After ECサイトの注文数量チェックを担当。
在庫不足時に数量を自動で減らさない方針を、リーダー経由で確認。
購入者が数量を直せる条件と案内を、基本設計書へ反映。
詳細設計では、注文受付時に数量と在庫を確認する処理案を作成。
先輩のレビュー後に実装し、在庫以内・在庫超過の注文をテスト。

対象・確認内容・担当範囲を分けると、経験の中身が見える。
Afterには、使う人の体験をどう守ったかも入っている。

レビューを受けたことを隠す必要はない。
基本設計に関わったことと、一人で基本設計を進められることは別だ。
「顧客との調整を主導した」など、実際には担っていない役割は足さない。

次の改修で、確認する範囲を一つだけ広げる

「自分は修正しかしていない」と感じても、今の経験を消す必要はない。
担当するボタンや入力欄について、次の三つを確認してみる。

  • 使う人は、何ができれば困らなくなるのか
  • 入力を間違えたり、在庫が不足したりしたら、どう動くのか
  • そのルールを、コードのどこで確かめているのか

最初から答えを持っている必要はない。
数量欄なら、こう聞ける。

「在庫不足のときは数量を自動で減らさず、入力し直してもらう方針でしょうか?」

答えを教わったら、なぜその方針なのかも聞く。
設計書のどこへ書き、実装のどこへ反映するかまで追う。
質問をしただけで終わらせず、次の作業につなげることが大事だ。

AIに確認漏れを挙げてもらうのもいい。
ただし客先のコードや設計書、個人情報を無断で入力してはならない。
練習には架空のECサイトを使う。

こうして確認した範囲は、担当範囲の変化として残しておきたい。
Skillsheet-Port なら、案件ごとの担当工程をフォームに入れておけば、差分を足して再出力できる。
「何を確認し、どこまで担当したか」を、後から説明できる形で積める。

まとめ

  • 基本設計は「どう動けばよいか」、詳細設計は「どう作るか」。考える細かさが違う
  • 基本設計の本質は、使う人の体験(UX)を画面と動きのルールに落とすこと
  • 在庫3点に4点注文、の扱いはどの案でも動く。差が出るのは買う人の体験
  • 詳細設計ではサーバー側でも確認する。画面の制限だけでは足りない
  • テストで未定の動きが見つかったら、その場で決めず基本設計へ戻す
  • AIは動くものを作るが、誰の体験を優先するかは決めない。その判断が人に残る
  • スキルシートは対象・確認内容・担当範囲を分けて書く。担っていない役割は足さない

いきなり難しい設計を背負う必要はない。
目の前の数量欄やボタンを一つ選んで、「使う人にとって、なぜこの動きなのか」を確認してみてほしい。
その一つが、次に任せてもらえる範囲を広げる。

▶ 完全版ガイドはこちら → 基本設計経験とは何か?AI時代に求められる設計力とスキルシートの書き方

▶ 無料でスキルシートを作ってみる → https://skillsheet-port.com/

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?