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Power Platform Community Conference 2026で発表されたCopilot Studio新機能を企業展開担当者の視点で読む

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PPCCのブログ記事(2026年10月29日公開)を読んでいた。9,000人超のmaker、5日間のラスベガスでの開催。ブログには数字がいくつか並んでいた。Power Appsの日次アクティブユーザーが前年比20%増、Copilot StudioのApp利用が3倍超、フロー実行回数が20%増。これが本当なら、現場でどう変わるのか——という気持ちで読んだ。

大企業でMicrosoft Copilot StudioやPower Automateの展開を担当している立場から、「何が変わるか」に絞って整理する。

対象読者:企業でPower Platform・Copilot Studioの展開・管理を担当しているエンジニア・推進担当者

出典:Built by makers: Five years of Power Platform Community Conference(2026/10/29公開)
https://www.microsoft.com/en-us/power-platform/blog/2026/10/29/built-by-makers-five-years-of-power-platform-community-conference/

この記事で分かること:

  • PPCC 2026で発表されたCopilot Studio関連の変更点(apps public preview・Work IQ・Agent 365・Copilot harness)
  • ブログに記載された企業導入の実績数字とその正直な読み方
  • 企業のCopilot/Power Platform展開担当者が現時点で確認しておくべき点と、まだ分かっていないこと

PPCCはどんな場だったか

Power Platform Community Conference(PPCC)は、Microsoft Power Platform・Copilot Studioのmakerコミュニティが年に一度集まるイベントだ。2022年から始まり、今年で5回目を迎えた。

今年はラスベガスのMGMグランドで開催、参加者は9,000人超。makerだけでなくMicrosoftのエンジニアや製品チームも直接参加し、顧客と並んで開発の議論をする場になっていたとブログに書かれていた。

「5年前の第1回からの変化」という観点で書かれており、Microsoftとしてはこのコミュニティが実際のビジネス活用に繋がっていることを数字で示したかった意図が見える。規模が大きくなっても、「問題を知っている人がその場で解決しながら帰る」という雰囲気は変わっていないとも書かれていた。

発表1:Copilot Studioにapps機能が追加された(public preview)

ブログには次の記述がある。

「makers can now build apps alongside their agents in Copilot Studio, where apps are now in public preview」

これまでCopilot Studioは「チャット型のエージェント」を作る場所だった。そこに「アプリ」を作る機能が加わった。

具体的な内容として、自然言語でアプリの説明を入力すると、エージェントやフローを組み合わせた業務アプリが生成される、という例が挙げられていた。例は「employee onboarding app」——新入社員向けのオンボーディングアプリを、テキストで説明するだけで構築できるというシナリオだ。

Power Appsと何が違うのか。ブログには「there are no cliffs: when a solution becomes business-critical, a developer can take it over in the tools they already use, including Microsoft Visual Studio Code, GitHub Copilot and the Copilot CLI, without rebuilding it」と書かれている。Copilot Studio内で作ったアプリをそのままVS Codeで引き継いで開発できるシームレスさを強調している。

企業展開担当者として気になるのは、このアプリがどこに置かれ、誰に公開されるかのガバナンスだ。現時点の記事からは「誰でもアプリを作れる」という方向性は読み取れるが、組織が「作成を承認制にする」「特定の部門だけに公開を制限する」という制御の仕組みについては書かれていなかった。

「apps in Copilot Studio」は2026年10月時点でpublic previewの段階。企業での本番適用の判断は、正式GAになってから行うのが現実的だ。

発表2:Work IQ——既存の資産をCopilotが使えるようにする

「Through Work IQ, the apps, flows, and sites customers have already built become available to agents in Copilot, so the work makers have done becomes part of what comes next.」

Work IQは、Power AutomateのフローやPower Appsのアプリ、SharePointのサイトを、M365 Copilotのエージェントが参照・利用できるようにする仕組みのようだ。

これが本当に動くなら影響は大きい。現在「Copilotに何かを頼む」とき、Copilotが実際に業務システムのフローを起動することは容易ではない。Work IQが橋渡しをすることで、「今月の経費申請フローを起動して」という会話をCopilotにしたとき、Copilotが既存のPower Automateフローを呼び出せる可能性がある。

ただし現時点でブログから確認できなかった点がいくつかある。

  1. どのフローが対象になるか:全フローか、特定の設定をしたフローだけか
  2. 認証はどうなるか:フローを呼び出すとき、誰の権限で動くか(呼び出した人か、フローのオーナーか)
  3. 既存フローへの影響:意図せず呼び出される可能性はないか
  4. 対応するM365ライセンス:Copilot for M365が必要か、標準ライセンスでも使えるか

これらは企業展開で必ず確認しなければならない点だ。公式ドキュメントが出次第、確認が必要になる。

発表3:Microsoft Agent 365——エージェントの一元管理

「With Microsoft Agent 365, admins can see every app and agent across their organization, set action-level connector policies and apply spending controls by user and by asset.」

大企業でCopilot Studioを展開していると、「誰がどんなエージェントを作っているか把握できない」という問題が必ず出てくる。IT部門の許可を得ずに個人が作ったエージェントが、社内のSharePointやTeams APIに接続している、というケースだ。

Agent 365はこれを解決する可能性がある。

「action-level connector policies」は、特定のコネクタへのアクセスをエージェント単位で制御できる機能と読める。「spending controls by user and by asset」はコスト管理だ。Copilot Studioのエージェントは呼び出し回数によってコストが変わるため、部門ごとの使用量を制御できることは現場のFinOpsとして実際に必要な機能だ。

既存のPower Platform管理センターとの関係が今後の確認事項になる。「管理のUI・APIが一本化されるのか」「既存のデータロスプリベンション(DLP)ポリシーとどう連動するか」は現時点の記事からは分からなかった。

発表4:Copilot harness——長時間・複雑なエージェント実行の基盤

「Agent accounts and business process memory in Copilot Studio let teams delegate shared processes like this to agents that can act as themselves in Microsoft 365, run on triggers and remember past interactions. They also run on the new Microsoft Copilot harness, built for more complex, longer-running work.」

「Copilot harness」はAzureブログでより詳しく説明されている(Introducing the Microsoft Copilot harness in Foundry Agent Service、2026/10/28公開)。

概要は、エージェントのループ管理・ツール呼び出し・コンテキスト管理をMicrosoftが提供するマネージドな実行基盤に乗せる仕組みだ。開発者がエージェントループを自前で書く必要がなくなり、再利用可能なスキル(SKILL.md)と宣言的なエージェント定義(azure.yaml)で複雑なエージェントを構築できる、というアーキテクチャになっている。

Azureブログに公開されている構成例を引用する(出典:https://devblogs.microsoft.com/foundry/microsoft-copilot-harness-in-foundry/ )。スキルはMarkdown形式で定義する:

name: research-brief
description: Produce an evidence-backed research brief.
Gather evidence using approved tools. Cite sources and dates.

エージェント定義はYAMLで書く:

research-brief:
  host: azure.ai.agent
  kind: prompt
  harness:
    type: microsoft_copilot_preview
    model: ${MODEL_DEPLOYMENT_NAME}
  skills:
    - research-brief-skill
  tools:
    - type: web_search
      name: public-research

デプロイはazd deploy --all、起動はazd ai agent invokeで行う形だ。

Copilot Studio(ノーコード)と、Azure Developer CLIを使った開発者向けの両方から使えるとされている。ただし現在はpublic previewで、対応モデル・使えるツールの種類に制限がある。Foundry Agent ServiceはAzureの開発者向けサービスであり、Copilot Studioのノーコード環境との具体的な接続方法は今後の正式ドキュメントを待つ必要がある。

ブログに書かれた数字の読み方

PPCC 2026のブログに含まれた数字をまとめる。

指標 数字 出典
Power Platform月次アクティブmaker 200万人超 PPCC 2026ブログ
実行中アプリ数 400万アプリ超 同上
Power Apps DAU(前年比) +20% 同上
Power Apps AI利用 2倍超 同上
フロー実行回数(前年比) +20% 同上
Copilot Studio app利用 3倍超 同上

これらはMicrosoftの公式発表値で、第三者機関による検証ではない。ただし「増加傾向にある」という方向性は読み取れる。特にCopilot Studio app利用が3倍超というのは、エージェント機能が単なる社内実験を超えた利用が始まっている兆候として見ておきたい数字だ。

顧客事例の数字(いずれも企業名付き・公開発表):

企業 内容 成果
Asurion Copilot Studioで請求処理を自動化 タッチレス処理率:20%未満→70%超
NHS Scotland Power Platformで患者管理 患者の25〜35%を複雑経路から通常経路に移行
NFL Game Ops Dashboard(Copilot Studio+Power Platform) 週8〜12時間の入力・報告作業削減

いずれも特定の組織・特定の業務での結果だ。自社への適用を検討する際は、同種の業務プロセス・データ構造かどうかを先に確認することが重要だ。参考値として受け取り、自社での小さなPoC(概念実証)で確かめる前提で読むことをお勧めする。

企業のCopilot/Power Platform展開担当者として今確認しておきたいこと

今回の発表を受けて、企業展開の現場で確認が必要になりそうな点をまとめる。

Copilot Studio apps(public preview)

  • 正式GAの時期
  • 管理者が「アプリの作成・公開」を制御できる設定の有無
  • 既存のPower Appsとの棲み分け(どちらでアプリを作るべきか)

Work IQ

  • 対応するM365ライセンスの種類
  • フローを呼び出す際の認証設定(誰の権限で動くか)
  • 現在稼働中のフローへの影響の有無

Microsoft Agent 365

  • 既存のPower Platform管理センターとの統合・違い
  • DLPポリシーとの連動
  • 価格・ライセンス体系

Copilot harness

  • Copilot Studio内で使う場合の制限と対応範囲
  • 既存のCopilot Studioエージェントとの共存方法
  • 日本テナントへの展開時期(米国先行で日本が後になるケースがある)

いずれも現時点の記事だけでは判断できない。企業での本番適用を検討している場合は、Microsoft CSA(カスタマーサクセスアーキテクト)への問い合わせが確実だ。

この時点で確認できなかったこと

速報として書いているため、次の点は確認できていない。

  • apps in Copilot StudioがGAになる時期と最終的な仕様
  • Work IQで利用可能になるフローの条件
  • Agent 365の価格体系と既存環境への適用範囲
  • Copilot harnessとCopilot Studioの既存機能との関係
  • 日本テナントへの展開時期

Microsoft Ignite 2026(11月予定)でさらに詳細が発表される可能性がある。今後の公式ドキュメント・Igniteのセッション資料を確認してほしい。

Copilotの実務活用については以下でも書いている:
https://note.com/light_tern636/n/n4b4341035981

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