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【未来を解説】AIでエンジニア格差を生み出す質とスピードの考え方

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Last updated at Posted at 2026-11-01

IMG_2494.jpeg

はじめに

こんにちは、Watanabe Jin(@Sicut_study)です。

AIエージェントによる開発が当たり前になり、多くの現場でスピードを求められるようになりました。

しかし、便利になったと感じると同時に、こんな瞬間はありませんでしたか?

「一年前と比べて、スキルがついた実感がない」
「AIに聞いているのに、自分の言葉で説明できない」
「開発は、承認ボタンを押すだけのタスクになっている」

   

slide-01-skill-not-growing.png

   

AIで本格的に自動化している現場でこそ、このズレが大きくなっていると感じています。

一部の人は、速く出しながらも設計に向き合い、成長しています。
一方で、多くの人は、AIが出したものを承認し、次のタスクへ進みます。
気づけば、考えているようで考えていない。

考える時間が減り、スキルがつかなくなっています。

   

今回は、AI時代における質とスピードについて話をしていきます。

AIを使うことで、速さは出るようになりました。
しかし人間の思考は停止し、気づけば質を犠牲にしたコードを書いています。

そして仕事がタスクに変わり、成長も鈍化します。
組織に残るのは、負のループです。

   

slide-02-task-or-design.png

   

なぜ、AI時代にも開発が遅くなっていくのか?
スピードを求めると、なぜ教育が消えるのか?
エンジニアの仕事はなくなるのか?
AI時代に、どうやってスキルを上げるのか?

質とスピードを中心としながら、AI時代にエンジニアの差がどのように広がっていくのかを話していきます。

動画教材もあります!

この記事から得られること

  • 急いで出しているのに、なぜ現場が速くならないのかが分かる
  • AIを使っているのに成長しない理由に、名前がつく
  • 仕事がなくならない先で、何が残るのかと、AI時代にどう学べるかが分かる

この記事では大きく3部構成になっております。

第一部 急いで出しているのに、なぜ現場は速くならないのか

急げば早く終わるはずです。
なのに現場では、急いで出したあとほど、レビューも修正も増えていきます。

なぜ急ぐほど遅くなるのか、その話をします。

   

第二部 スピードを求めると、なぜ成長しないのか

質とスピードはセットで上がる。
その代わりに切られるのは、教育です。
AIで出せる量が増えたように見えるほど、その教育が先に消えていく話をします。

   

第三部 仕事はなくならない。では、どう学ぶのか

エンジニアの仕事はなくなるのか?
なくならない。分かれるのは、設計する側か、なんとかする側かです。

では、AI時代にどうやってスキルを上げるのかを話します。

この記事の対象者

  • AIで速くなったのに、スキルがついた実感がない人
  • 急いで出しているのに、現場が速くならないと感じている人
  • AIが出したコードを、自分の言葉で説明できない人
  • 仕事がなくなると不安な人
  • ジュニアからミドル、ミドルからシニアへとステップアップしたい人

質を犠牲にすればスピードは上がるは大間違い

雑にやれば早く終わるというのはソフトウェアでは成り立ちません

   

漢字の書き取りをやった頃を思い出してください。
急いで書くと、字が崩れます。
その代わり、早く終わります。

品質が下がれば、スピードは上げられる。
日常ではこの関係が成立しています。

daily-quality-down-speed-up.png
日常では、質を落とすと速くなる

   

ソフトウェア開発においても、この関係が成り立つとみんな信じています。

「納期が間に合わない」
「人が足りない」
「出すものが多すぎる」

その時に選択されるのが、品質を犠牲にしてスピードを取ることです。

アジャイルサムライでは、プロジェクトの制約を4つで説明しています。
スコープ、人、納期、品質。
時間が足りないとき真っ先に切られるのは品質です。

agile-samurai-four-constraints.png
時間が足りないとき、現場で切られるのは品質

   

AI時代になり、コーディングエージェントの普及によって開発スピードが上がりました。
開発がどんどん進んでいるように見えるかと思います。

「とにかく早くタスクをやっていけ」

仕事を早くやって量をこなせという圧力は増えています。
やってみると、こうなります。

   
slide-03-work-increasing.png

   

質とスピードは、相関の関係にあります。

   

slide-04-quality-speed-correlation.png

   

では、ソフトウェアでは、なぜこの相関が成り立つのか。

   

「品質」と一口に言っても、品質特性はひとつではありません。
機能が正しいこと。壊れにくいこと。使いやすいこと。
お客様から見える側もあります。開発者が触りやすいかどうか、という側もあります。

多くの現場で犠牲にしているのは、そのなかでも特に保守性です。

maintainability-three.png
現場が切っているのは、この3つ

   

切られるのはドキュメントを整える時間だと思われがちです。
現場で先に消えていくのは、コードを理解しやすく書くという意識です。

  • AIに任せて、とにかく進める
  • コードは複雑になっていく
  • 人が理解できるコードを、書かなくなっていく
  • 誰も理解しない状態のまま、先へ進めていく

   

slide-05-nobody-can-read.png

   

「あとで直せばいい」と思うかもしれません。

   

slide-06-refactor-later.png

   

AIで市場の競争はさらに早くなっており、さらにタスクが増えています。

モデルはどんどん賢くなっていますが、複雑なコードを理解するにはコストがかかります。
依存がどうつながっているのか。何を変えたら、どこが壊れるのか。
そのぶん、開発スピードも落ちていきます。

つまり、あとで直す、は来なくなっています。

では、どちらが速いのか。

   
slide-07-quality-makes-fast.png

   

保守性への投資を怠ったコストは、3年後に来る話ではありません。

maintainability-one-month.png
損益分岐点は、1ヶ月以内

   

AIを使って早く開発していると、短期的には早く価値が作り出せているように見えます。
しかし、その限界はすぐ来ます。
複雑なコードが残り、次の変更が遅くなっていくという現象が起きます。

AIを使って早くやるのはいいことです。
ただし、早く進めるだけがいいわけではありません。

レビューをする。設計を考える。人が読める状態を残す。
それを飛ばすと、AIを使っていても結局は遅くなります。

   

slide-08-not-tradeoff.png

スピードを求めると教育が犠牲になる

トレードオフでなければ、何が犠牲になっているのか。成長と教育に費やす時間です。

   

質とスピードはセットで上がる。
その代わりに天秤にかかっているのは、成長、多様性、教育に費やす時間です。

tradeoff-education-vs-speed.png
真のトレードオフは、成長か、短期的スピードか

   

エンジニアにAIを使わせて、どんどん開発をしてもらう。
短期的には、速く見えることがあります。
しかし、長期的なスピードにはつながりません。

AIでコードは書けても、AIにはないものがあります。
設計に真剣に向き合うことです。

質とスピードを両立するには、設計が重要です。
設計は、実際に問題を解く過程のなかで身につくものです。

しかし、その教育がAIによって失われつつあります。

   

コードを書く実装の領域は、AIが担う側へシフトしています。
速く終わらせることが求められるほど、立ち止まって考える時間は削られます。
目の前のタスクを消化することが仕事になっていきます。
タスクの消化には学びがありません。

学びがない現場から先に出ていくのは優秀な層です。

最近よく聞くのが、CTOが辞めていく話です。
仕事をさらに効率化しろという圧が上からかかり、タスクのような仕事ばかりになり、やめていってしまうのです。
そして残されたメンバーは、さらにタスクが増えることになり、教育は遠ざかる一方です。

   

これは、あなたが勉強する気がないからではありません。
会社の成果を出すための圧がそうさせているのです。

一部の人は、設計に向き合う時間を自分で残しています。
AIで仕事を進めつつもスキルを上げてキャリアを作り上げています。

一方で、多くの人は、AIが出したものを次へ流す作業で一日が終わります。

ここがエンジニアキャリアの大きな分岐点になっているのです。

   
slide-09-design-or-output.png

   

そして目立つのは、AIが作ったものをよく分からないままイエスと言う人です。

だいたい正しい案を先に見ると、人は自分で考えなくなります。
疑うより、承認する方が楽だからです。これを自動化バイアスといいます。

完全に理解しようとしない。
学ぼうとしない。

以前までは、私たちは考える過程で成長してきました。
コードを読んで、壊して、直して、自分の言葉になる。
その機会が、AI開発によって消えているのです。

   

slide-10-approve-without-understanding.png

   

成長するために、AIへわからないことを質問している人もいます。
しかし、AIの説明を読むと分かった気になりやすいです。
これはインプットです。アウトプットしていないと身につきません。

「昨日、AIに質問して得た学びは何ですか」

   
slide-11-not-learning.png

   

スピード要求がある
↓
作業で埋まる
↓
分からないまま承認する
↓
理解できないコードが増える
↓
さらにAIに頼る
↓
できる人が辞めていく
↓
さらにタスクが増える

このループに入ると、質は落ちます。教育も同時に落ちます。
まさに悪循環が起きるのです。

education-vicious-cycle.png
人が辞めるほど、タスクが増える。教育は、さらに消える

   

若手の実装機会と失敗の経験はAIによって消えつつあります。
キャリアの寿命は設計の答え合わせを重ねた経験の数です。
経験が消えると、単なるコーダーとして競争力を失い、仕事がなくなります。

   

では、その先には何が来るのか。次の章で話します。

エンジニアの仕事はなくなるのか

質が落ちたシステムは、変更に時間がかかります。
スピードを持ってずっとやり続けなければならない状況のなかで、スピードが出ない。

じゃあ、どうするか。
プロンプトを打つ人数を増やします。
バグをなんとかする。開発を進める。人がたくさん要る。

昔の銀行の大規模開発と同じ形です。
コードが複雑になって、多くの人を投下した。
これから起きるのは、そのプロンプト版です。

prompt-human-wave.png
仕事はなくならない。投下される場所が、実装からプロンプトに移る

   

エンジニアの仕事は、なくなりません。
残る仕事は、二つに分かれます。

頭を使って設計する、エンジニアらしい仕事をする人。
それ以外の人。

それ以外に残るのは、品質の仕事です。
AIが作った複雑なコードを、プロンプトでなんとかする。
バグを直す。壊れたら、また打つ。

実装が自分の手でできない。設計ができない。
AIができる具体の仕事しかできない人は、プロンプトを打ち込むタスクにアサインされます。
持てていないコードを、人が引き受ける仕事です。

仕事はなくならないから、安心できません。
人数は要る。なのに、経験は残らない。
給料は上がりにくい。面白くない。辛い。
多くの人が、その側へ入っていきます。

大抵の人は、八割以上が、プロンプトを打ち込む仕事になります。
残る一割以下が、頭を使った仕事をします。
タスクではなく、仕事です。

   
slide-12-eighty-percent-prompt.png

   

その一割以下の年収は、これまでと比べものにならない高さになります。
エンジニアの格差は、大きく開いていきます。

仕事はなくならない。分かれるのは、設計する側か、なんとかする側か。

では、その側に残るには、どう学べばいいのか。次の章で話します。

AI時代にどうやってスキルを上げるのか

現場はスピードを求めます。
「AIを使うな」も、「現場を変えろ」も多くの場合難しいです。

「使うなではなく、使う前に考える習慣をつける」

これが私たちがエンジニアとして仕事を続けていく上で重要になってきます。

AIに渡す前に、設計を考える。
何を解くのか。何ができたら終わりか。どこが懸念点なのか。
問題解決の順番を、自分の頭で一度置くことで、AI以前の成長を取り戻すことができます。

先に答えを見ると判断が寄ります。
自分で仮説を考えておくことで、AIとの差分をしることができそこに成長が生まれます。
   

slide-13-think-before-use.png

   

「自分なら、こう書く」
「何ができたら終わりか」
「どのような懸念事項が存在するか」

生成する前にこれらを考えるだけで大きく変わります。
そして、AIに質問をするときはインプットで終わらせないでください。

AIの説明を読むと分かった気になりやすいですが、それは単なるインプットです。
スキルとして身につくのは、アウトプットまでやったときです。

AIにきいたことを1つでも良いから人に説明してみる。
自分の言葉で1分説明できないなら、自分のものにはなっていないことがわかります。
またはAIに理解度テストを作らせてみるなど定着しているかを確かめる習慣を作るのが大切です。

   

slide-14-output-not-input.png

   

また勉強する価値も落ちていません。
AIがあるからもう勉強しなくていい。そう思っている人もいますが逆です。

AIがあるからこそ基礎が重要になっています

基礎を理解していないと、AIが言ったことを答えだと思ってしまいます。
自分より高い品質を、無条件で出せるわけではありません。

指摘できないのは、レベルが足りていないということです。
分かっていないことを、分かっていない状態になります。

AIの出力に違うところを指摘できるようになる基礎力を磨いていきましょう。
   

slide-15-basics-matter.png

   

AI時代になったからこそ基礎基本を勉強する。
やったかやっていないかで、エンジニアキャリアに差が開きます。

「プロンプトを打ち込むタスクをする」
「問題解決の仕事をする」

あなたはどちらのキャリアを進みたいですか?

おわりに

今回は、なぜAIエンジニアは成長しないのかについて、質とスピードから話しました。

1つでいいです。
AIに渡す前に「何ができたら終わりか」を自分の言葉で書いてから生成してください。

確実にエンジニアの仕事は格差が生まれていきます。
つらいしごとをする人が増えていきます。

その中でこの記事をきっかけに、教育に力を入れてくれる人が増えてくれたら嬉しいです。
いまが本当にキャリアの分岐点なので頑張っていきましょう。

ここまで読んでいただけた方はいいねとストックよろしくお願いします。
@Sicut_study をフォローいただけるととてもうれしく思います。

また明日の記事でお会いしましょう!

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