はじめに
2025年11月18日のMicrosoft Ignite 2025にて、Microsoft 365標準ライセンスで利用できるCopilot Chat機能の大幅な強化が発表されました。本記事では、Microsoft 365標準ライセンス(E1/E3/E5、Business Standard/Premium等)のみで利用できる新機能について解説します。
現在の状況(2025年10月展開完了)
Officeアプリ内でCopilot Chat利用可能
2025年8月中旬から順次展開され、10月に完了
Microsoft 365標準ライセンスで、以下のアプリの右側パネルからCopilot Chatが利用できます
- Word
- Excel
- PowerPoint
- Outlook
- OneNote
現在利用可能な機能
コンテンツ認識
- 開いているファイルのコンテキストを理解
- 現在の文書・スプレッドシート・プレゼンテーションに関する質問に回答
Web検索との統合
- Webデータを参照した回答
- 最新情報の取得
ファイル参照
- 他のファイルを「/」で検索して参照可能
- ファイルのアップロードや切り替えが不要
制限事項
- 現在開いているファイルのみが対象
- 組織データ全体(他のメール、会議、ドキュメント)へのアクセスは不可
- Microsoft 365 Copilotライセンスが必要な機能は利用不可
Ignite 2025で発表された新機能(2026年3月プレビュー予定)
1. Outlook の機能拡張
受信トレイ全体の理解
- 現在:単一のメールスレッドのみ対象
- 新機能:受信トレイ全体、カレンダー、会議を横断的に分析
できるようになること
- メールの優先順位付け(トリアージ)
- 受信トレイ全体からのアクションアイテム抽出
- カレンダー管理の効率化
- 会議準備のサポート
2. Agent Mode の導入
Word、Excel、PowerPoint に追加
Agent Modeは、複数ステップにわたる反復的な作業をCopilotと協働で進める機能です。
特徴
- 段階的な質問と回答による作業進行
- Webデータや参照ファイルの活用
- アプリ内での直接的なコンテンツ作成と改善
アクセス方法
- 各アプリのCopilot Chat入力ボックス内の「Tools」メニューから利用
制限事項
- Webデータと参照ファイルのみ利用可能
- 組織データ(他のメール、会議、ドキュメント)へのアクセスは不可
3. 専用エージェントの利用(制限付き)
Word、Excel、PowerPoint エージェント
これらのエージェントは、Copilot Chatから直接Office コンテンツを作成する機能ですが、Anthropic の Claude モデルへの接続が必要です。
提供形態
- Frontier Program を通じた先行アクセス
- 組織の管理者がAnthropic利用を有効化する必要あり
機能
- Copilot Chatから文書、スプレッドシート、プレゼンテーションを作成
- 複数回のやり取りでコンテンツを改善
- Webデータと参照ファイルを活用
アクセス方法
- Copilot Chat の Tools メニュー
- 「@Word」「@Excel」「@PowerPoint」と入力
重要な注意点
- 組織データへのアクセスは不可
- 管理者による設定が必要
現在と新機能の比較表
| 項目 | 現在(2025年10月〜) | 新機能(2026年3月〜) |
|---|---|---|
| アクセス場所 | アプリ右側パネル | 同左 |
| Outlook | 単一メールスレッド | 受信トレイ全体・カレンダー |
| Word/Excel/PowerPoint | 基本的な質問応答 | Agent Mode(複数ステップ作業) |
| 専用エージェント | なし | Word/Excel/PowerPoint エージェント (管理者設定必要) |
| データソース | 開いているファイル・Web | 同左 + 参照ファイル |
| 組織データ | ❌ アクセス不可 | ❌ アクセス不可 |
Microsoft 365 Copilot ライセンスとの違い
標準ライセンスの制限
Microsoft 365標準ライセンスのCopilot Chatは、以下のデータにアクセスできません:
❌ 組織データへのアクセス不可
- 他のメール・会議
- SharePoint・OneDrive上のドキュメント
- Teams のチャット履歴
- 組織全体の情報
❌ 高度な機能は利用不可
- Work IQ(個人・組織の深い理解)
- Copilot Actions(タスク自動化)
- Teams Mode(グループチャット)
- Sora 2(AI動画作成)
- Agent 365(エージェント管理)
Microsoft 365 Copilot ライセンスの追加機能
✅ 組織データへの完全アクセス
- すべてのメール、会議、ドキュメント
- SharePoint、OneDrive、Teams
- 組織全体の情報
✅ 高度な機能
- Work IQ による深い理解とパーソナライゼーション
- 組織データを活用したエージェント
- 高度な自動化機能
✅ 優先アクセス
- 新機能への先行アクセス
- パフォーマンスの優先度
リリーススケジュール
既にリリース済み(2025年10月完了)
- ✅ Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote の右側パネルにCopilot Chat
- ✅ コンテンツ認識機能
- ✅ Web検索統合
2026年3月プレビュー開始予定
- 🔜 Outlook:受信トレイ全体・カレンダー分析
- 🔜 Agent Mode(Word、Excel、PowerPoint)
- 🔜 専用エージェント(管理者設定必要)
展開方法
- 段階的なロールアウト
- プレビュー期間を経て正式リリース
- 管理者による設定は基本的に不要(専用エージェント除く)
まとめ
現在利用可能(2025年10月〜)
Microsoft 365標準ライセンスで、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNoteの右側パネルからCopilot Chatが利用できます。開いているファイルのコンテキストを理解し、Webデータを参照した回答が可能です。
2026年3月に追加予定
Ignite 2025で発表された主な強化内容:
-
Outlook の機能拡張
- 受信トレイ全体とカレンダーの包括的な分析
- メール管理と会議準備の効率化
-
Agent Mode の導入
- Word、Excel、PowerPointで複数ステップの協働作業
- より高度なコンテンツ作成支援
-
専用エージェント
- Word、Excel、PowerPoint専用エージェント
- 管理者による追加設定が必要
重要なポイント
✅ 追加料金不要
- Microsoft 365標準ライセンスのみで利用可能
- Microsoft 365 Copilotライセンスは不要
⚠️ 制限あり
- 組織データへのアクセスは不可
- 開いているファイルとWebデータのみ
📅 段階的展開
- 基本機能は既に利用可能
- 高度な機能は2026年3月プレビュー開始
参考リンク