想定読者
- 自宅 PC(ローカル)が デュアルディスプレイ
- 会社 PC(リモート)も デュアルディスプレイ
- 双方のパソコンで使用している解像度が同じ
- リモート接続には Chrome リモートデスクトップ(CRD) を使っている
- GPU が NVIDIA Quadro 系(例: Quadro P1000)
「Chrome リモートデスクトップって、
どう頑張っても 1画面分しかフルスクリーンにならない よね…?」
とモヤモヤしている人向けの記事です。
やりたいこと
ローカル側のデュアルディスプレイを
OS からは「1枚の超横長モニタ」として認識させる
→ その状態で Chrome リモートデスクトップを全画面表示
→ 結果として 2画面ぶち抜き でリモート画面を映す
という荒技をやります。
ポイントは Chrome リモートデスクトップ側はいじらない こと。
やるのは「GPU のディスプレイ設定」だけです。
結論(先に)
- Quadro 系 GPU なら、NVIDIA Mosaic を使って
2枚の物理モニタを 1 枚の巨大モニタとして OS に見せかける ことができます - その状態で CRD を全画面にすると、
結果的に デュアルディスプレイぶち抜き全画面 CRD が完成します - ただし、普段のウィンドウ最大化などの挙動も
「横長 1 画面」として振る舞うようになるので、
常用するかどうかは好みが分かれます(後述)
環境
実際に試した環境はこんな感じです。
- OS: Windows 10 / 11
- GPU: NVIDIA Quadro P1000
- ローカル側ディスプレイ: 27インチ ×2(1920x1080)
- リモートツール: Chrome リモートデスクトップ
※ GeForce でも「Surround」で似たようなことができますが、
この記事では Quadro + Mosaic に絞ります。
前提チェック
1. モニタが 2 枚とも同じ GPU につながっているか
- PC 本体の背面を見て、
2本とも「グラボ側の端子」に刺さっているか確認します - 片方だけマザボのオンボード出力、もう片方はグラボ…
みたいになっていると Mosaic にまとめられません
2. Windows 側は「拡張」になっているか
- デスクトップを右クリック → ディスプレイ設定
- 「複数のディスプレイ」が
「表示画面を拡張する」 になっていれば OK
ここまで整ったら、NVIDIA コントロールパネル側の設定に進みます。
1. NVIDIA コントロールパネルを開く
2. 「Mosaic の設定」を開く
左側のツリーから ↓ の順に辿ります。
これが今回の主役です。
💡 見つからない場合
- GPU が対応していない
- ドライバが古い or Studio ドライバでない
などの理由で Mosaic が使えない可能性があります。
設定項目自体がなければ、この方法は残念ながら使えません…。
3. 新しい Mosaic 設定を作る
「Mosaic の設定」を開くと、まだ何も設定していない場合は
があると思います。
- 「Mosaic を構成」や「ウィザードの起動」ボタン をクリック
- Mosaic 設定のウィザードが始まります
4. トポロジ(並び)を設定する
ウィザードの途中で、モニタ構成を聞かれます。
ここで指定するのはだいたいこの辺
-
ディスプレイの数:
2 -
レイアウト / トポロジ:
1 x 2(横に 2 枚) - 向き: Landscape(横向き。縦置きしてないならこれでOK)
イメージとしてはこんな感じです。
設定できたら [次へ]。
5. 使うディスプレイを選択する
次の画面で、検出されたディスプレイが一覧でズラっと出ます。
を確認して [次へ]。
6. 物理的な並びと論理的な並びを揃える
さらに進むと、ディスプレイの「位置合わせ」画面になります。
-
1と2が書かれたモニタのアイコンが表示される - ドラッグ&ドロップで左右の順番を入れ替えられる
ここは 現物の設置順に合わせる のがポイントです。
になっていることを確認して [適用]。
7. 解像度を確認して適用
最後に解像度などを確認します。
たとえば 1920x1080 を 2 枚の場合:
のように表示されていれば OK。
「設定を適用」系のボタンを押すと、
といったダイアログが出るので、[はい] / [OK] を選びます。
8. Windows 側で Mosaic が効いているか確認
もう一度 Windows の ディスプレイ設定 を開くと…
- さっきまで「1」「2」と 2 枚あったはずのモニタが
「1」だけになっている - 解像度が
1920x1080 → 3840x1080
など、横長に増えている
という状態になっているはずです。
これで、
物理的には 2 枚
OS からは 1 枚の超横長モニタ
という状態が完成しました 🎉
9. Chrome リモートデスクトップを全画面にする
ここからはいつもどおり Chrome リモートデスクトップ側の操作です。
OS 的には「1 枚のディスプレイでのフルスクリーン」ですが、
その 1 枚が 3840x1080 の超横長 なので、実際には
2 枚の物理モニタをぶち抜いたフルスクリーン CRD
の完成です 🖥️🖥️
リモート側もマルチディスプレイの場合
リモート側が 2 枚 or それ以上なら、CRD 右サイドのメニューから
を選んでおくと、
「リモートのマルチディスプレイ全部」が
この横長ウィンドウの中にきれいに収まって見えます。
10. Mosaic を解除して元に戻したいとき
「普段の作業がちょっとやりにくいな…」と思ったら、
Mosaic はいつでも解除できます。
-
NVIDIA コントロールパネルを開く
-
「ワークステーション → Mosaic の設定」 を選択
-
いま適用されている Mosaic プロファイルを選び、
- 「無効化」
- 「Mosaic を使用しない」
のようなボタンで解除
-
適用すると、再び
- Windows のディスプレイ設定に「1」「2」の 2 枚が戻る
- 解像度も 1920x1080 ずつの普通のデュアルに戻る
注意点・ハマりポイント
1. ウィンドウ最大化が「2 枚ぶち抜き」になる
Mosaic 有効中は、Windows 的には 1 枚のモニタ なので、
- エクスプローラやブラウザを最大化すると
2 枚分にバーンと広がります
片側だけにきれいに収めたい場合は、
-
Win + ←/Win + →でスナップする - 手動でサイズを調整して、モニタ 1 枚分だけに収まるようにする
などである程度カバーできます。
2. 一部アプリ・ゲームは横長解像度が苦手
超横長解像度(3840x1080 など)を想定していないアプリは、
- レイアウトが崩れる
- フルスクリーンにすると変な位置になる
といったことがあります。
その場合は Mosaic を一時的に切るのが手っ取り早いです。
3. Mosaic の項目がそもそも無い
この場合は残念ながら この方法は使えません。
代替案としては:
- CRD を 2 セッション立てて、
各セッションでリモートの Display 1 / 2 を表示し、
ローカルの左/右モニタでそれぞれ全画面にする - Chrome リモートデスクトップではなく、
マルチモニタ対応がよりリッチな別ツール(RDP, AnyDesk 等)を使う
などがあります。
まとめ
-
Chrome リモートデスクトップ自体には
「ローカル 2 枚にきれいにフルスクリーンで割り当てる」機能はない -
しかし NVIDIA Mosaic(Quadro) を使って
「2 枚を 1 枚の超横長モニタとして OS に見せる」ことで、- CRD の全画面 = 物理 2 枚ぶち抜き
を実現できる
- CRD の全画面 = 物理 2 枚ぶち抜き
-
ただし、Mosaic 有効中は
普通のデュアルディスプレイとしての使い勝手は多少犠牲になるので、
仕事中だけ ON にする、リモート作業時だけ ON にする、
など使い分けると良さそう -
NVIDIA Mosaicではないビデオドライバーの場合は
NVIDIA GeForce RTX も AMD でも intelでも同じような機能が存在しているので
調べてやってみれば可能かと思います。










