AWSのAuto Scalingを学習していると、「冗長性(じょうちょうせい)」という言葉を目にするのではないでしょうか。
また、この言葉はAuto Scaling以外の場面でもよく登場します。
一見むずかしそうですが、これはシステムを止めないための備えを意味します。
この記事では、その冗長性の基本をやさしく解説します。
1. 冗長性とは
冗長性とは、システムを止めないために、同じ機能を複数持たせておく設計のことです。
例えるなら「スペアキー」です。
家の鍵をなくしても、予備の鍵があれば入れます。
サーバーやネットワークも同じで、一つが壊れてももう一つが動けるようにしておく仕組みです。
ITではこれを「冗長構成」と呼びます。
たとえば次のような形です。
- サーバーを二台にして、片方が壊れてももう片方が動く
- 通信経路を二重化して、どちらかが切れても接続が続く
- データを複数の場所に保存して、障害時に復元できる
2. なぜ冗長性が必要なのか
どんなシステムでも、故障や障害は必ず起こります
もし一台のサーバーだけで動かしていたら、それが止まった瞬間にサービスも止まります。
冗長性を持たせておけば、片方が壊れてももう一方が動き続けるため、利用者に影響を与えずに運用を続けられます。
つまり冗長性は、「止まらない仕組み」を作るために欠かせない考え方です。
3. 冗長構成のデメリット
冗長構成は安心できる仕組みですが、欠点もあります。
まず、お金がかかることです。
サーバーを二つ用意すれば、その分の費用が増えます。
また、使われないサーバーが出てくることもあります。
普段は動かない予備を維持するため、電気代や管理の手間も増えます。
つまり、冗長構成は「安心」と引き換えに、「コストと手間」が増える仕組みです。
4. おまけ
ITの世界では、冗長性と似た言葉で冗長的という表現もよく使われます。
冗長性は、トラブルに備えてあえて余分を持つことです。
家の鍵を二本持つような備えをイメージすると分かりやすいでしょう。
一方、冗長的は意味のないムダを指します。
同じ説明を何度も繰り返すような状態です。
つまり、冗長性は必要な余分、冗長的は不要な余分です。
似ている言葉ですが、意味は正反対です。
5. まとめ
冗長性は、システムを止めないために備えを持つ考え方です。
一つが壊れても、もう一つが動くようにしておくことで、安定した運用ができます。
ただし、安心のためにはコストもかかります。
必要な範囲を見極めて取り入れることが大切です。