先日、ズィーバーコミュニケーションズの先輩が書いた下記の記事で、ChatGPTに長く相談しているとチャットが重くなったり、情報が埋もれていく問題に対して「次のチャットへ引き継ぎメモを作らせる」という方法が紹介されていました。
元記事:
https://qiita.com/SatoRyota_zvc/items/c392f0804987593dc179
この記事を読んだあと
「Projectsを使えば、引き継ぎメモはいらないのでは?」
と思い、実際に使い比べてみました。
結論から言うと:
Projectsは“便利な作業空間”ではあるものの、
文脈を正確に引き継ぐ目的なら、引き継ぎメモ方式の方が安定する。
ただしProjectsは、チャットやファイルを整理する場所として便利なので、
長期作業では「Projectsの中で引き継ぎメモを使う」のが一番使いやすい。
という結論になりました。
1. ChatGPTのProjectsとは?
公式ヘルプ:
https://help.openai.com/en/articles/10169521-using-projects-in-chatgpt
ざっくり言うと、
- プロジェクトという“作業フォルダ”を作れる
- その中に複数のチャットを作れる
- プロジェクト全体でファイルや情報が共有される
- 必要に応じて“他のチャットを参照することがある”
という仕組みです。
特に重要なのは
「1つのプロジェクトに複数チャットを作れる」
という点。
今までのChatGPTではできなかった大きな変化です。
2. Projectsは“すべてのチャットを完全に理解している”わけではない
公式説明には "chats can reference other conversations within the same project" とあります。
日本語にすると、「同じプロジェクト内の他の会話を参照できる」 という意味です。
ただし、これは
- 必要だと判断したら参照することがある
という意味であって、
- 全チャットを常に完全に読んで理解している
- すべての前提を正しく継承してくれる
という意味ではない、と実際に使ってみて感じました。
実際、以下のような挙動が起きることがありました。
- プロジェクト内の別チャットを誤って要約する
- 参照してほしい内容を参照していないように見える
- 別チャットや過去の文脈と混ざったように感じることがある
つまりProjectsは、
「理解を保証する仕組み」ではなく
「参照する可能性がある仕組み」
と感じました。
なお、Projectsの参照範囲はメモリ設定やプランによって変わるため、この記事では「実際に使ってみた体感」として整理しています。
3. Projectsはチャット単体は軽くなるが、文脈参照が複雑化する可能性がある
Projectsを使うと、チャットごとに会話が分かれるため、
- 新規チャットは構造的には軽い
というメリットがあります。
一方で、新規チャットであってもプロジェクトに紐づいているため、
- プロジェクトの指示
- 共有ファイル
- プロジェクト内の文脈情報
といった要素の影響は受けます。
そのため厳密には「完全に独立した軽いチャット」というよりも、
プロジェクト文脈の中で軽く動作するチャットという位置づけになります。
4. 引き継ぎメモ方式との本質的な違い
引き継ぎメモ方式とは何か?
元記事で紹介されていた「引き継ぎメモ方式」は、
- 背景
- 前提
- ここまでの経緯
- 決定事項
- 未解決事項
- 次に依頼すべきこと
をChatGPTに整理させて、
新しいチャットの冒頭に貼る方法です。
これは、
「次チャットに必要な文脈を明示的に固定して渡す」方式
です。
Projectsはどう違うのか?
Projectsは、
- 文脈を暗黙的に保持
- 必要そうなら参照する
という仕組みです。
5. 両者の違いまとめ
| 項目 | 引き継ぎメモ方式 | Projects |
|---|---|---|
| 文脈の引き継ぎ | 明示的 | 暗黙的・必要に応じて参照 |
| 再現性 | 高い | 状況によって揺れる |
| 作業の一貫性 | 保ちやすい | 補助的 |
| 新規チャットの軽さ | 軽い | 軽い |
| 情報整理 | 自分で整理する必要がある | チャット・ファイルをまとめやすい |
| 参照対象の管理 | メモに書いた範囲に限定できる | チャットやファイルが増えると複雑になりやすい |
| 必要な手間 | 手間はあるが確実性が高い | 手軽だが曖昧さが残る |
6. 結論:Projectsは便利。でも「引き継ぎメモ方式」は依然として強い
実際に使ってみるとこう整理できます。
- Projectsは、作業フォルダとしてはかなり便利
- しかし文脈の継承を完全に任せるには不安が残る
一方で引き継ぎメモ方式は、
- 次のチャットに渡したい文脈を自分で固定できる
- ChatGPTに「これが前提です」と明示できる
- 長期作業や記事作成でとても安定する
という強みがあります。
7. では結局、引き継ぎメモだけでよいのか?
正直、文脈を引き継ぐことだけが目的なら、
引き継ぎメモだけで十分だと感じました。
特に、以下のような作業ではProjectsを使わなくても問題ありません。
- 1本の記事を書く
- 1つの実装方針を相談する
- 1つの調査テーマを深掘りする
- 前提や決定事項を正確に引き継ぎたい
この場合は、チャットの最後に引き継ぎメモを作り、
次のチャットの冒頭に貼るだけでかなり安定します。
一方でProjectsが便利なのは、以下のような場合です。
- 複数のチャットをテーマごとにまとめたい
- 関連ファイルを同じ場所に置いておきたい
- 記事作成、調査、実装などを並行して進めたい
- 後から「あの作業どこだっけ?」となるのを防ぎたい
つまりProjectsは、文脈を正確に渡すための機能というより、
作業全体を整理するための場所だと感じました。
そのため自分の結論は、
「文脈の引き継ぎはメモで明示する。Projectsは、そのメモや関連チャットを整理して置いておく場所として使う。」
です。
まとめ
- 文脈を正確に引き継ぐだけなら、引き継ぎメモ方式で十分
- Projectsは“作業フォルダ”として便利
- ただしProjectsだけで文脈継承を完全に任せるのは不安が残る
- 引き継ぎメモ方式は、重要な前提や決定事項を明示できる
- おすすめは「引き継ぎはメモ、整理はProjects」という使い分け