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Python 使いの C/C++ ことはじめ

Last updated at Posted at 2025-12-26

🔰 はじめに

近年のゲーム開発では Unreal Engine の利用が増えてきました。
それに伴い、Python をメイン言語としているテクニカルアーティストでも、C/C++ のコードを「見る」「少し触る」といった機会が増えてきています。

一方で、

  • Python は書けるけど C/C++ はよく分からない
  • 中身を理解しないまま、なんとなく触っている
  • 難しそうで後回しにしている

という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな Python 経験者のテクニカルアーティスト や、同じように Python は書けるけど C/C++ に興味があるプログラマー 向けに、「C/C++ を触るうえで知っておくと役に立つ考え方や基礎知識」をまとめています。

🤔 Python と C/C++ のざっくりとした違い

書いたプログラムコードの違いはさておき、まずは言語への向き合い方そのものが違います。

例えば「画像を読み込む」プログラムを実装する場合を考えてみます。

  • Python
    「画像を読み込んで」と指示すれば、内部で必要な処理を全部やってくれる
  • C/C++
    「読み込む場所(メモリ)を用意し、そこにどれだけ(バイト数)読み込むか」を、自分で細かく考え、指示する必要がある

これだけを見ると、「C/C++ は面倒だから、Python でいいじゃん!」と思うのも自然です。
ですが、「C/C++ には、面倒と引き換えに得られるものがある」からこそ、今でも多くの現場で利用されているわけです。

C/C++ は「実行速度が速い」とよく言われますが、それに加えて「Python では普段意識しないような内部処理まで、自分でコントロールできる」という大きな特徴があります。

Python は多くの処理を自動でやってくれる反面、見方を変えると常にフルセット処理しているとも言えます。
一方、C/C++ は面倒ですが、その分、

  • 必要な部分だけを読み込む
  • メモリ使用量を事前に把握する
  • データの並びを自分で決める
  • 処理にかかる時間を予測する

といったことが可能になります。

この「無駄を省き、必要なことだけを正確にできる」点が、C/C++ の速い理由の一つでもあります。

🔄 C/C++ プログラムが動くまでの流れ

Python では、ファイルを書いて実行すればそのまま動きます。
一方、C/C++ では少し手順が増えます。

大まかな流れは次の通りです。

  1. コーディング(ソースコードを書く)
  2. ビルド(コンパイル・リンク)
  3. 実行(生成された実行ファイルを動かす)

この流れは、最初は少し面倒に感じるかもしれません。
ですが、この仕組みを理解すると「なぜ C/C++ は速く、自由度が高いのか」が見えてきます。

🛠️ なぜ「ビルド」という工程が必要なのか

Python は、実行時にコードを解釈(インタプリタ)して動きます。
そのため、

  • ソースコード = 実行するもの
  • 実行環境(Python本体)が毎回コードを理解しながら動く

という仕組みになっています。

一方 C/C++ では、

  • ソースコードは 人間が読むためのもの
  • 実行時には CPU が直接理解できる形 に変換される

という考え方を取っています。

ビルドとは、
「人間向けのコード(C/C++)を、CPU がそのまま実行できる形に変換する」
工程です。

この変換を 事前に 行っておくことで、

  • 実行時に余計な解釈処理が不要
  • CPU が最短ルートで処理できる

という状態を作れます。
これが C/C++ の高速さの土台になっています。

🔍 「画像を読み込む」処理を流れで見てみる

ここで、再び「画像を読み込む」処理を例に考えてみます。

👉 Python の場合(イメージ)

Python では、

  • ファイルを開く
  • 必要なサイズを確保する
  • データを読み込む
  • 形式を解釈する

といった処理を、ライブラリが内部でまとめてやってくれます。

プログラマーは、
「画像を読み込む」という やりたいこと だけを書けば OK です。

👉 C/C++ の場合(イメージ)

一方 C/C++ では、より低いレイヤーから考えます。

例えば BMP 画像を読む場合、

  1. ファイルを開く
  2. ヘッダ分のサイズを把握する
  3. ピクセルデータのサイズを計算する
  4. そのサイズ分のメモリを確保する
  5. バイト単位でデータを読み込む

といった流れを、プログラマー自身が組み立てます。

ここで重要なのは、
「どのデータが、どの順番で、どこに配置されるか」
を常に意識している点です。

📐 C/C++ では「メモリレイアウト」を考えながら書く

C/C++ のプログラムでは、

  • このデータは何バイトか
  • どの順番で並んでいるか
  • どこからどこまでが同じ意味のデータか

といった メモリ上の配置(メモリレイアウト) を念頭に置いて実装します。

BMP の場合も、

  • ヘッダ構造体
  • ピクセルデータ配列
  • 行ごとのパディング

といったものが、すべて「バイトの並び」として扱われます。

Python では普段意識しないこの感覚が、C/C++ では「当たり前」になります。

🎯 なぜそこまで考える必要があるのか

この考え方があるからこそ、

  • 必要な部分だけを読み込む
  • 無駄なメモリ確保をしない
  • データ構造をそのままファイルに書き出す

といったことが可能になります。

例えば、BMP を 24bit → 16bit に変換する場合も、

  • どのビットを捨てるか
  • どの順番で詰めるか
  • 1ピクセルが何バイトになるか

を明確に意識しながら実装できます。

✅ まとめ

Python と C/C++ は、単に文法が違うだけではなく、プログラムへの向き合い方そのものが違う言語 です。

Python は「やりたいこと」を書けば、内部の処理はライブラリやランタイムが肩代わりしてくれます。
一方 C/C++ では、

  • メモリをどこに確保するのか
  • どれだけのデータを扱うのか
  • データがどんな並びで存在しているのか

といったことを、プログラマー自身が考え、指示します。

最初は面倒に感じますが、この「自分で考えて決める」感覚こそが C/C++ の速さ・自由度・現場での強さにつながっています。

ゲーム開発やツール開発では、「中で何が起きているか分かっているかどうか」が、トラブル対応や最適化のスピードに直結します。

また、C/C++ に慣れていれば、Python を使うときにも「ライブラリ内部でどんな処理が行われているのか」を想像しながら扱えるようになります。
そういう意味でも、C/C++ を学んでおく価値は十分にあると言えるでしょう。

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