はじめに
「TIOBE Index for November 2025」(2025年11月のTIOBE指数)でこんな面白い見出しを見つけました!
November Headline: Is C# going to surpass Java for the first time in history?
C# は史上初めて Java を追い抜くことになるのか?
つい最近まで、Python の成長率に並ぶ言語はありませんでした。しかし今、Python は頭打ちのようです。Python に代わり、C# が最も急成長していると言われています。C# がこのペースを維持できれば、2025 年の TIOBE プログラミング言語オブザイヤーになる可能性があります1.
かつて長らく「Java vs C#」という構図は “追う C#、追われる Java” でしたが、2024〜2025 年の動向を見る限り、状況が変わりつつあるようです。
興味深いことに、TIOBEインデックスにおいてC#がJavaを上回ったことはありません。現在、2つのライバルの差は1%未満です。今後、エキサイティングな時代が待っています。C#はTIOBEインデックス史上初めてJavaを追い抜くのでしょうか?1.
C# はこのまま史上初めて Java を追い抜くのか?
今回は TIOBE の公開データをもとに、
- C# が強くなった要因
- Java が相対的に下がっている理由
- TIOBE Index の読み方
- 今後の展望
を、勝手にまとめて考察してみました。
1. まず TIOBE Index の前提をおさらい
TIOBE Index は「人気」「話題性」を計測する指標であり、「どの言語が最も優れているか」を示すランキングではありません。

(出典:TIOBE Index )
主な指標は以下の通り。
(TIOBE指標の定義については、こちら をご覧ください。)
- Google / Bing / Yahoo! など検索エンジンのヒット件数
- Stack Overflow の投稿
- ウェブ上のチュートリアル
- 言語名の検索量
つまり、
“その言語がどれだけ世の中で語られているか” を測ったもの
です。
2. C# のスコアが伸びている理由

(出典:TIOBE Index )
今やC#は、Javaの代わりにC#を使用しない理由をすべて取り除いたように見えます。C#はクロスプラットフォームであり、オープンソースであり、開発者が求めるすべての新しい言語機能を備えています。1.
近年の .NET / C# の進化は、単なる言語改善ではなく プラットフォーム全体の再設計レベルで進んでいます。
2-1. .NET が完全クロスプラットフォーム化した
- .NET Core → .NET 5/6/7/8… と統合
- Windows 専用という“制限”が消えた
- Linux / macOS / Docker / Azure / AWS など自由に展開可能
かつて Java が強かった「どこでも動く」という強みを
今は C# も完全に手に入れている 状況です。
2-2. C# の言語仕様がモダンすぎる
- パターンマッチング
- Record 型
- 非同期の標準化
- Source Generator
- Extension Members(C# 14 / .NET 10)
C#の記事はいろいろ書いているので、ぜひ参考にしてください!
C# は「昔ながらの静的言語」ではなく、
Python や Kotlin に近い“現代的な文法” へ変貌しています。
2-3. Unity / ゲーム分野 / XR の強さ
- Unity = C#
- Meta Quest や PSVR などでも C#
- ゲームエンジンがそのまま XR エコシステムへ広がっている
若年層で C# を触る人が増える → 検索量増 → TIOBE 上昇..
という循環もあります。
2-4. Azure との親和性が高い
クラウド時代において Microsoft の存在感は無視できません。
Azure Functions、Web Apps、AI、サーバレスなど、
C# で書きやすい環境が爆発的に広がっています。
3. Java が下がり気味に見える背景

(出典:TIOBE Index )
Java 自体の価値が落ちたというより、エコシステム構造の変化 によるものだと推測します。
3-1. Android が Java 依存から離れた
Android の主流は Kotlin。
Java の検索量が減り、TIOBE のスコアにも影響。
3-2. 大規模エンタープライズ領域は横ばい
Java が強い銀行・保険・基幹業務は 市場が拡大しづらい
(=検索数が増えにくい)。
3-3. “新規プロジェクトで選ばれにくくなった”
クラウド・SaaS・Web API 開発では、
- Go
- TypeScript
- Python
- C#
などの台頭により、Java 一強時代が終わりつつあるように感じます。
4. 実際に順位の推移を見てみる(1985〜2025 年版)
TIOBE の歴代順位表を見ると、Java と C# の立ち位置がどう変化してきたか が一目で分かります。

(出典:TIOBE Index )
① Java は2000〜2010年代の“王者”だった
- 2000〜2015:ずっと 1〜3位 の上位常連
- C# は 6〜11 位付近で、“追いかける側”
② C# が徐々に上位グループへ定着
- 2010:6位
- 2015:4位
- 2020:5位
Java との差は縮まり続け、存在感が安定していく。
③ 2025年は“史上もっとも距離が縮まった年”
- Java:4位
-
C#:5位
→ 差はついに 1つだけ
25年の推移の中でも、ここまで接近したのは初。
5. C# は Java を追い抜くのか?
結論:条件次第では十分あり得る。
● C# が追い抜くシナリオ
- .NET 10 / C# 14 の正式リリース
- Azure + AI エコシステムがさらに普及
- Unity / XR が継続して伸びる
- 新規サービスで C# を採用する企業が増える
この流れが続けば、
TIOBE Index 上で Java を超えるのは時間の問題 かもしれない。
● ただし注意:TIOBE は“人気指標”でしかない
- 「どの言語が競技力で勝っているか」は測れない
- 「実際の現場でどれだけ利用されているか」も直接は反映されない
人気ランキングの順位 = 技術の優劣ではない
という前提だけは忘れてはいけないですね。
6. それでも、この変化は象徴的である
- 10 年以上続いた「Java > C#」の構図が変わりつつある
- Microsoft の開発者エコシステムが再び勢いを取り戻している
- C# は若手・ゲーム・AI・クラウドのすべてに強い
“C# が時代の中心に帰ってきた”
という印象すらあります。
まとめ
- TIOBE Index は検索量ベースの人気指標
- 2024〜2025 年、C# のスコアが急上昇
- Java はエコシステム変化により検索量が減少気味
- C# が Java を追い抜く可能性は十分ある
- ただし、人気ランキング=技術優劣ではない点に注意
“Java が落ちた” というより “C# が上位常連のラインに到達した”
という構図が見えてきました。
-
出典:TIOBE Index ↩ ↩2 ↩3