Amazon EC2 インスタンスにおいて、EBS (Elastic Block Store) ボリュームは必須ではありませんが、ほとんどのケースで EBSボリュームを使用することが推奨されます。理由とともに、EBSボリュームの役割や、必須でないケースについて説明します。
1. EBSボリュームとは?
Amazon EC2 インスタンスにアタッチする EBSボリュームは、永続的なストレージを提供します。これにより、インスタンスが停止したり終了したりしても、データは保持されます。EBSボリュームはインスタンスのOSディスクとしても、データディスクとしても使用できます。
2. EBSボリュームが必須でないケース
実際には、EBSボリュームは必須ではありません。例えば、以下のような場合はEBSを使用せずにEC2インスタンスを運用することも可能です。
a. インスタンスストアを使用する場合
EC2インスタンスには、インスタンスストア(または「エピソディックストレージ」)と呼ばれる、一時的なローカルディスクがある場合があります。このストレージは、インスタンスを起動したときに自動的に提供され、インスタンスの終了時にデータが消失します。
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インスタンスストアの特徴:
- インスタンスの一部として提供され、インスタンスが終了するとデータが失われるため、永続的なストレージとしては不適切です。
- 高速な読み書きが可能ですが、データの持続性がないため、データ保存が重要な場合には適していません。
- 使用可能なインスタンスタイプには制限があり、すべてのインスタンスタイプでインスタンスストアが提供されるわけではありません(例:
t2
,m5
などのインスタンスではインスタンスストアがないことがあります)。
インスタンスストアを使用する場合、EBSボリュームは必須ではなく、インスタンスのデータをローカルストレージに保存することができます。
b. EFS (Elastic File System) や S3 を使用する場合
EBSボリュームを使用せずに、Amazon EFS (Elastic File System) や Amazon S3 などの他のストレージサービスを使用することもできます。
- Amazon EFS: 複数のEC2インスタンスで共有アクセス可能なファイルストレージサービスです。EBSよりもスケーラブルで、分散型ファイルシステムとして複数のインスタンスからのアクセスを容易にします。
- Amazon S3: オブジェクトストレージサービスで、ファイルやデータを永続的に保存するために使用できます。EC2インスタンスとは直接的に関連付けられませんが、APIを介してデータをアップロードしたり、ダウンロードしたりできます。
これらのサービスを使用する場合、インスタンスのローカルストレージ(EBSやインスタンスストア)を使用しない選択肢として利用できます。
3. EBSボリュームが推奨される理由
ほとんどの使用ケースでは、EBSボリュームを使用することが推奨されます。理由は以下の通りです。
a. 永続性
EBSボリュームに保存されたデータは、インスタンスが停止したり終了したりしても失われません。インスタンスストアとは異なり、インスタンスが終了してもEBSボリュームのデータは保持され、別のインスタンスに再アタッチすることもできます。
b. バックアップとスナップショット
EBSはスナップショット機能を提供しており、ボリュームの状態を保存することができます。スナップショットは別のリージョンに保存したり、新しいボリュームとして復元することが可能です。このため、データのバックアップや災害復旧が容易に行えます。
c. パフォーマンスのカスタマイズ
EBSボリュームは、使用するストレージタイプに応じてパフォーマンスを選択できます。たとえば、io1(プロビジョンドIOPS)を使用すれば、非常に高いパフォーマンスを提供でき、gp3やgp2ではコストとパフォーマンスのバランスを取ることができます。
d. スケーラビリティ
EBSボリュームは、サイズやパフォーマンスを動的に変更できます。必要に応じてボリュームを拡張したり、ストレージ容量を増加させることができるため、柔軟に運用できます。
e. インスタンスの終了後のデータ保持
EBSボリュームはインスタンスの終了後にも保持され、別のインスタンスにアタッチしてデータを利用することができます。一方、インスタンスストアはインスタンス終了時にデータが消失するため、永続的なストレージが必要な場合には適していません。
4. 結論:EBSボリュームは必須ではないが推奨
- 必須ではない: EC2インスタンスにEBSボリュームは必須ではありません。インスタンスストアを使ったり、外部ストレージ(EFSやS3)を使うこともできます。
- 推奨される理由: 永続性、バックアップ、スナップショット機能、柔軟なスケーリング、データ保持などの理由から、ほとんどのケースでEBSボリュームを使用することが推奨されます。
したがって、用途や要件に応じて、EBSを使うかどうかを決定することになりますが、データの永続性が重要な場合や、パフォーマンス要件が厳しい場合にはEBSを使用するのが一般的です。