この記事で分かること
- Gemini CLI / Claude Code の導入・認証・主要機能の差
- MCP(Model Context Protocol)やIDE連携などの拡張性
- 非対話(バッチ)実行の有無と使いどころ
- チーム導入時の注意点(プラン/レート制限/データ取り扱い)
- すぐ試せる最短セットアップと比較用プロンプト
2025年8月時点の公式ドキュメントに基づいて記載。各リンクは末尾の参考資料へ。
一覧表(まずは俯瞰)
観点 | Gemini CLI | Claude Code |
---|---|---|
公式性/配布 | Google公式・Apache-2.0でOSS | Anthropic公式(GitHub公開) |
インストール |
npm i -g @google/gemini-cli / brew install gemini-cli / npx も可 |
npm i -g @anthropic-ai/claude-code |
Node要件 | Node 20+ | Node 18+ |
認証 | GoogleアカウントのOAuth / Gemini API Key / Vertex AI | ブラウザ経由のClaude.aiアカウントでログイン |
無料枠/レート | 個人Googleアカウントで60 req/min・1,000 req/day(OAuth)/API Keyは100 req/day(いずれも当時の公開情報) | プラン・時期により利用制限あり(週次レート制限導入。詳細はプラン依存) |
主要モデル | Gemini 2.5系(Pro/Flash等) | Claude(最新世代) |
コマンド起動 |
gemini (非対話は-p ) |
claude (非対話は-p ) |
代表的な機能 |
検索グラウンディング、ファイル/シェル操作、ウェブ取得、チェックポイント、GEMINI.md で文脈定義、MCP対応
|
コード理解・git操作・タスク実行、許可制のコマンド実行、MCP対応、IDE/JetBrains/VS Code拡張 |
IDE連携 | VS CodeのAgent Modeの基盤/Zed統合/GitHub Action | VS Code拡張、JetBrainsプラグイン |
エンタープライズ | Vertex AIでセキュリティ/ガバナンス強化、GCP連携 | 組織ポリシーに応じた運用(データ扱い・サブスク/レートに留意) |
導入と初期設定(5分で両方)
1) Gemini CLI
npm install -g @google/gemini-cli
# または
brew install gemini-cli
# 起動して指示に従う(OAuthでブラウザ認証、もしくはAPIキー/Vertex AI)
gemini
# 非対話(ワンショット実行)例
gemini -p "このリポジトリのディレクトリ構成を要約して、テスト不足箇所を列挙して"
ポイント
- OAuth(Googleアカウント)、Gemini API Key、Vertex AIの3通りに対応。
- **Node 20+**が必要。
- 無料枠(例:OAuth時 60 req/min・1,000 req/day、API Key時 100 req/day)や1Mトークン級の長いコンテキスト(2.5 Pro)が使える。
- 公式GitHub Actionや
GEMINI.md
、チェックポイント機能で長い作業を再開しやすい。
2) Claude Code
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
# プロジェクト直下で実行(ブラウザが開いてClaude.aiログイン)
claude
# 非対話(ワンショット)例
claude -p "このコードベースの循環依存を検出して、修正PRのdiffプランを作って"
ポイント
- Node 18+。初回はブラウザ経由で認証。
- ターミナル中心のUIで、gitワークフロー・許可制実行・MCP・IDE拡張と素直に繋がる。
- 2025年8月時点で週次のレート制限が順次導入(プランにより異なる)。
機能の掘り下げ
MCP(Model Context Protocol)
どちらもMCPサーバを介して外部ツールと接続可能。社内のAPI・DB・ドキュメントビューア等を「安全に道具化」できるのが強み。
- Gemini CLI:設定ファイル(例:
~/.gemini/settings.json
)でMCPサーバを宣言。 - Claude Code:MCPの公式ドキュメント/設定例が充実。
端末×ファイル×Webの連携
- Gemini CLIはGoogle検索でのグラウンディングやWeb取得、ファイル/シェル操作が組み込みツールとして最初から同梱。
- Claude Codeはリポジトリ横断の理解と編集、
/help
系コマンド、許可プロンプトで安全に実行。
IDE連携
- Gemini CLIはVS CodeのAgent Modeの基盤として動作し、さらにZedにも公式統合。
- Claude CodeはVS Code拡張とJetBrainsプラグインを提供。
非対話(スクリプト/CI)
- どちらも
-p
等で非対話実行でき、CIやGitフックに組み込みやすい。 - Gemini CLIはGitHub Actionsも公式提供。
実践スニペット(同じタスクを両者で)
課題:既存プロジェクトで「ユニットテストの雛形追加」と「命名の統一」を進めたい。
Gemini CLI
# 1) 影響範囲の把握と作業計画
gemini -p "テストが未整備のモジュールを列挙し、優先度順に3件、追加すべきテストケースを提案。それぞれのテストファイルの雛形(Jest)と、命名規約(lowerCamelCaseへ統一)の修正計画を出力して"
# 2) 対話モードで雛形の生成とリファクタ提案をレビュー
gemini
> ××モジュールのテスト雛形を作って。命名の統一はPR分割して提案までに留めて
Claude Code
# 1) 現状把握と計画
claude -p "テストが薄いモジュールを3つ挙げ、Jestの雛形と命名規約統一のdiffプランを提案。gitのブランチ戦略とコミット粒度もガイドして"
# 2) 対話モードで編集 → 許可プロンプトで実行
claude
> テスト雛形の追加まではOK。命名統一は別ブランチでPR化して
どっちを選ぶ?(実務の判断基準)
-
Gemini CLIを推す場面
- OSSとして中身を見て運用したい/拡張を自作したい
- 検索グラウンディングやWeb取得を前提にしたリサーチ+実装を織り交ぜたい
- Vertex AI前提でセキュリティ/監査/課金を一本化したい
- 無料枠が比較的厚い環境でまずは試行したい
-
Claude Codeを推す場面
- ターミナル主導でgit/編集/実行の往復を高速に回したい
- IDE(VS Code/JetBrains)と一体の体験に寄せたい
- MCPで社内ツールやリポジトリ横断の知識を安全に繋ぎたい
よくある落とし穴と対策
- レート制限:時間・週次・プランで変動します。CIに組み込む場合は非対話実行の回数を絞る/キャッシュ/チェックポイントを活用。
- 権限管理:どちらも許可プロンプトで危険操作を抑止。組織では実行許可の方針を明文化。
- 長期タスク:チェックポイントや「PRに落とす→人間レビュー→再実行」のループに分解。
-
ナレッジ共有:
GEMINI.md
やMCP設定、プロンプトのテンプレをリポジトリに同梱すると効果大。
参考資料
-
Gemini CLI 公式GitHub(インストール、機能、非対話、MCP、チェックポイント、GEMINI.mdなど)
https://github.com/google-gemini/gemini-cli -
Gemini CLI 公式ブログ(Zed統合、拡張性の考え方)
https://developers.googleblog.com/en/gemini-cli-is-now-integrated-into-zed/ -
Gemini CLI 公式ブログ(発表・無料枠・VS Code Agent Mode)
https://developers.googleblog.com/en/introducing-gemini-cli/ -
Google Cloud(Gemini CLIのCode Assist/IDE連携や認証・割当の位置付け)
https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/whats-new-in-gemini-code-assist?hl=en -
Claude Code 公式ドキュメント(概要・セットアップ・MCP・CLIリファレンス・IDE連携)
https://docs.anthropic.com/s/claude-code -
VS Code拡張(Claude Code)
https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=Anthropic.claude-code -
JetBrainsプラグイン(Claude Code)
https://plugins.jetbrains.com/plugin/25073-claude-code
-(参考)Copilot in the CLI(比較対象)
https://docs.github.com/en/copilot/how-tos/use-copilot-for-common-tasks/use-copilot-in-the-cli